7月の銅の概況及び8月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 7000-9000ドル →
建値 99万-129万円 →
為替 135~139円 (1か月間TTM) 円高
■国際概況
前半は英政局安定期待や売られすぎ警戒からの買い戻しなどのプラス材料もあったが中国ロックダウン拡大や景気後退懸念によるリスク回避の強まりや欧州のインフレ加速や弱気米ISM指数などを嫌気しDOWN
7月15日時点で7216ドル(セツル)と月初価格より1029ドルDOWNの締め。
後半は米ISM製造業景気指数の低下やECB理事会での0.5%利上げなどのマイナス材料もあったが7月の米製造業PMIが52.3に小幅低下、非製造業が47に大幅低下したことを受けて、米金融引き締め政策の方向転換が意識されたことを好感しUP
7月末日 現在、後半スタート価格から715ドルUPの7800ドル。
8月スタート建値は110万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
136.99 → 135.61(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると6月の自動車生産台数は前年比-9.8%の62万6372台
輸出は前年同月比-15.8%の28万55761台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると7月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-13.4%の21万4134台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
6月の新設住宅着工は,貸家及び分譲住宅は増加したが,持家が減少したため,全体で前年同月比2.2%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比2.1%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 74,596 戸。
・前年同月比 2.2%減, 2か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 6,027千㎡。
・前年同月比 4.2%減, 2か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 845千戸。
・前月比 2.1%増, 3か月ぶりの増加。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
輸出
財務省貿易統計によると輸出は電気銅が+25.2%の5万3375t、スクラップが-19.2%の3万1021t。
輸出推移
輸入
電気銅が前年比+43%の708t、スクラップ +51.1%の1万3441t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
6月伸銅品生産量は6万8820トン。前年同月比0.3%減少し、6か月連続のマイナスとなった。14品目中7品目が前年同月実績を下回った。ただ、下回った多くが昨年より僅かに下回る水準での生産量だった。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+4.8%の5万1400t
うち 国内-2.6% 輸出が +285.3%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
【自動車生産】
生産動態統計によると6月の自動車生産台数は前年比-9.8%の62万6372台
輸出は前年同月比-15.8%の28万55761台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると7月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-13.4%の21万4134台
内 乗用車 -12.3%
貨物 -20.1%
バス -37.2%
【住宅着工戸数】
6月の新設住宅着工は,貸家及び分譲住宅は増加したが,持家が減少したため,全体で前年同月比2.2%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比2.1%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 74,596 戸。
・前年同月比 2.2%減, 2か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 6,027千㎡。
・前年同月比 4.2%減, 2か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 845千戸。
・前月比 2.1%増, 3か月ぶりの増加。
【伸銅品生産】
6月伸銅品生産量は6万8820トン。前年同月比0.3%減少し、6か月連続のマイナスとなった。14品目中7品目が前年同月実績を下回った。ただ、下回った多くが昨年より僅かに下回る水準での生産量だった。
伸銅品の需要を支える半導体向けが好調を持続している。上海のロックダウンが解除されてデジタル家電が緩やかな回復をしている。依然、自動車の減産を公表する機会が多いが、特に伸銅品の生産への影響が見えない。ただ、自動車の部品在庫の積み上げが進んだ
銅条
同比3ヶ月ぶりプラス。半導体向けの需要はデータセンターやサーバー向け好調で高位が続いている。車載向けは足元良いが、先細りの懸念があるとの会員企業の意見が出てきている。自動車のコネクタなどの部品向けは、在庫が充当されてきているが、まだ需要がある。ただ、部品によって好不調の明暗がある。上海のロックダウンの影響を受けたが、解除後はデジタル家電の立ち上げが緩やかに回復している。ただ、中国のスマートフォン向けの需要が弱まってきた。
黄銅棒
同比6ヶ月連続マイナス。それでも昨年と差は僅かである。住宅設備機器関連が緩やかに回復している。特にリフォームがけん引している。上海ロックダウンによる部品不足が若干影響を残している。
【電線】
前年比+4.8%の5万1400t
うち 国内-2.6% 輸出が +285.3%
●銅
【輸出】
電気銅 +25.2%の5万3375t
スクラップ -19.2%の3万1021t
【輸入】
電気銅 +43%の708t
スクラップ +51.1%の1万3441t
【見通し】
【自動車】
6月の自動車生産が-9.8%。7月国内販売台数が前年比-15.8%
7カ月連続生産、販売共に大幅減少! 前月に続き上海のロックダウンによる半導体以外も中国からの部品供給の遅れとのこと さらに米の台湾訪問による米中関係悪化による更なる遅れを危惧。
【伸銅品生産】
6か月連続のマイナスとなった。14品目中7品目が前年同月実績を下回った。ただ、下回った多くが昨年より僅かに下回る水準での生産量だった。
伸銅品の需要を支える半導体向けが好調を持続している。上海のロックダウンが解除されてデジタル家電が緩やかな回復をしている。依然、自動車の減産を公表する機会が多いが、特に伸銅品の生産への影響が見えない。ただ、自動車の部品在庫の積み上げが進んだため減少が始まるか?
【電線】
前年比+4.8%の5万1400t
うち 国内-2.6% 輸出が +285.3%
輸出が急回復
今後さらに回復するか期待
・銅輸出は スクラップが内需堅調に伴い減少
・銅輸入は 内需堅調からLM銅価格が暴落した事による割安感から増加。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月銅建値が117万から105万と急落(現在は109万)したこと前月に続きコロナによる生産減からのスクラップ発生減により出物が無く在庫薄。
需要面に関して上海ロックダウンによる中国の部品調達の遅れからの自動車生産、販売の大幅減少傾向があるが伸銅品に関しては一部品目でリモートワーク需要減による需要減はあるもの全体としては旺盛。
ただ米の台湾訪問による米中関係の悪化への警戒感から買い控えが起こる可能性もある
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
① 米欧の金融政策
② 米中関係の悪化
① に関しては
引き締め一辺倒であったFRBがここ最近の経済指標からやや中立にシフトしてとの見解もあるが次回はまだ0.75%を維持するのではないか
② に関しては
ペロシ米下院議長 米大統領の継承順位2位の下院議長による台湾訪問は25年ぶりに訪問
米国の長年の政策である「一つの中国政策」を損なうものではないと表明。「この訪問が危機や紛争に拍車をかける理由にはならない」とし、米国が中国の脅威や好戦的なレトリックに脅かされることはないと述べた。
ただ中国は訪問事態に反発 台湾向け砂輸出停止するなどを行っている
ただこれ以上の悪化はないのでないか
これらを踏まえた8月の銅価格は 7000-9000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は135円~139円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては99万-129万円程度と予測している
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