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大平洋金属とEFT エマルションフローを活用したLIB材料向け原料の製造プロセスを開発

 株式会社エマルションフローテクノロジーズ(本社所在地:茨城県那珂郡東海村、代表取締役:鈴木裕士、以下EFT)は、大平洋金属株式会社(本店所在地:東京都千代田区、代表取締役:青山正幸、以下大平洋金属)と共同で、エマルションフロー技術を活用したリチウムイオン電池材料向けの原料の製造プロセス開発に着手し、コスト面を含めて商業生産にも十分適用できる実用レベルの溶媒抽出プロセスの開発に成功した。

 

 

 EFTは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の開発した溶媒抽出技術「エマルションフロー」を活用した事業を展開するベンチャー企業であり、202145日に設立された。エマルションフローは、従来技術と比較して、低コストで高効率に高純度な元素分離を可能にする革新的な溶媒抽出技術であり、それを活用することでレアメタルを取り巻く社会課題の解決に寄与できると期待されている。EFTでは、このエマルションフロー技術の普及を目的として、レアメタルリサイクル、金属製錬、化学、バイオなど、分離精製、有価成分回収、有機合成などのプロセスに関する顧客の課題に対し、それを解決するエマルションフロープロセスの提案を行うとともに、それを実現するための装置・プラントの設計、製造、導入、技術ライセンス、オペレーション支援等を一気通貫で行う「トータルサポート事業」を展開している。

 

 今回EFTは、大平洋金属との間で、プロセス開発およびプラント基本設計のためのトータルサポート契約(EFカスタムデザイン契約)を締結し、エマルションフローを活用したリチウムイオン電池(以下、LIB)材料向けの原料製造プロセスの開発を進めてきた。将来のカーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車の急速な普及が見込まれるなか、LIBに必要なレアメタル資源の安定的な確保が課題となっている。このような背景から、大平洋金属はLIB材料向け原料の製造販売事業の創出のために、湿式製錬技術を活用した原料製造プロセスの開発を行ってきた。その取り組みにおいて、溶媒抽出工程のコストを下げるためにエマルションフロー技術に着目し、EFTと共同でそれを活用した製造プロセス開発を目指してきた。

 

 同事業では、エマルションフロー装置を用いたラボスケール実験により溶媒抽出プロセスの開発を行うとともに、スケールアップ実験を通じて、それを商業規模で実現する装置検討を進めてきた。その結果、要求される性能を満足するためのエマルションフロー装置の構造最適化や抽出プロセスの最適化を行うことで、従来の溶媒抽出装置であるミキサーセトラーに比べて小規模かつ高効率な溶媒抽出プロセスの開発に成功した。また、開発したエマルションフローによる溶媒抽出プロセスは、LIB材料向け原料に要求される品質を高いレベルで達成できること、さらに、コスト面を含めて商業生産にも十分適用できる実用レベルにあることを確認した。

 

 EFTでは、エマルションフローを活用することで、廃棄されたLIBに含まれるコバルトやニッケル、リチウムといったレアメタルを低コストかつ低環境負荷で高純度に回収する技術を確立し、回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用する「水平リサイクル」の実現を目指している。同事業で得られた成果は、エマルションフローがこれを実現するために十分なポテンシャルを有していることを証明するものであり、EFTの目指すレアメタルの地上資源を未来永劫使い続ける資源循環型社会の実現を加速するものと期待される。

 

エマルションフロー技術説明

 溶媒抽出とは、物質の分離・精製手法の一つであり、互いに交じり合わない液相間における物質の分配を利用することで、目的成分のみを選択的に抽出するための技術。従来の溶媒抽出技術では、液相どうしを「混ぜる」、「置く」、「分離する」の3工程を必要としますが、エマルションフローは「送液」のみで、これら3つの工程をすべて同時に行うことが可能な革新的技術だ。そのため、エマルションフローは従来技術の10倍以上の生産能力を可能とし、ゆえに従来比1/10以下のダウンサイズに加え、ランニングコストの低減を実現できる。また、連続処理が可能な多段エマルションフローを用いれば、99.99%以上の高純度化が可能であり、従来技術のミキサーセトラーと比較して低コストで高効率にレアメタルの高純度精製が可能となる。

 

 

(IR universe rr)

 

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