日本ピラー工業(6490)23/3上期説明会他 半導体向け繁忙で豊富な受注残から増額期待
23/3期8.2%増収0.2%%経常減予想変更無く通期増額期待、24/3期も最高益更新へ
株価2792円(12/7) 時価総額 699億円 発行済株25042千株
PER(23/3DO:6.6X)PBR(1.17X) 配当(DO予)125円 配当性向4.5%
要約
23/3Q1は17.2%増収28.6%営利増と半導体向け好調持続で収益上伸続く
流体制御関連の総合シールメーカー。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品に強味を保ち、特にフィッティング等で90%の高シェア誇る。23/3Q2は売上高119.77億円(18.6%増)、営業利益38.38億円(29.7%増)、経常利益39.54億円(32.4%増)、税引利益30.62億円(48.6%増)、受注145.07億円(23.5%増)、受注残230.92億円(2.8倍)と半導体向け好調持続し、Q1対比でも11.9%増収、29.0%営利増と収益上伸が続いた。
セグメント別では電子機器関連が売上高89.61億円(19.3%増)、営利31.52億円(25.7%増)、受注114.35億円(23.9%増)、受注残高198.51億円(3.0倍)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の活況が続き、新三田工場の能力増強効果のフル寄与も生産が追いつかず受注残高が積み上がる。産業機器関連は売上高30.05億円(17.7%増)、営利6.78億円(56.2%増)、受注30.73億円(22.0%増)、受注残32.41億円(88.8%増)と、こちらもメカニカルシールなどが半導体製造装置向けに伸長、メンテナンス事業も稼働率向上で拡大。利益面では生産性向上、MIX良化で大幅増益に。
市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが84.92億円(25.3%増)と続伸、電子機器部門と産業機器のメカニカルシールが半導体製造装置向けに上伸、CMP向けも順長な伸びに。化学分野は23.07億円(12.4%増)と化学プラント向けが回復、石油・鉄鋼・輸送向けも16.22億円(2.9%増)と石油精製向け堅調も車載アンテナ基板減少で伸び低い。土木は8.81億円(9.4%増)と免震装置が寄与した。
23/3期8.2%増収0.2%経常減予想に変更無く、豊富な受注残から収益増額期待
Q2の収益進捗率が売上で51%、営利で58%、経常利益で62%となっているが、23/3期予想に変更はなく、売上高440億円(8.2%増)、営利118億円(3.6%増)、経常利益118億円(0.2%減)、税引利益83億円(0.2%増)予想を堅持した。半導体需要の反落懸念、フッ素樹脂などの調達難、コストアップ、物流コスト高、販管費で展示会などの費用増を見込み、逆算して下期は同期比売上横ばい、利益は2ケタ減となるが、豊富な受注残高、新三田工場の増力増強の継続などで受注残高の消化が進むとみられ、収益の増額が見込まれる。
事業別では電子機器関連を売上高332億円(9.2%増)、営利100億円(2.7%増)としており、下期は売上高162.80億円(同期比1.1%増)、営利43.87億円(15.9%減)予想となる。現状、今期も半導体製造装置向けの拡大、滁州ピラーで半導体市場向け新製品の立上げを予定、中国でコロナ影響があるとしても影響は軽微とみられ、豊富な受注残高、下期は材料高を一部価格転嫁も見込まれ、収益の増額が見込まれる。実際、同社の最大ユーザーのスクリーンは23/3期SPE会社売上予想が3750億円(17.4%増)、次に多いとみられる荏原の22/12期CMP装置会社売上予想売上が1130億円(9.7%増)、東京エレクトロンも23/3期SPE売上20460億円(5.3%増)など、期初よりも荏原、東京エレクトロンは伸び鈍化予想も、最大ユーザーのスクリーンは同社の電子機器関連売上予想より高い予想となっている。また相次ぐ国内半導体工場新設に伴い、半導体製造装置向けに加え、半導体工場の各種配管設備向けの増大、半導体工場へ同社の免震装置売上も拡大が続くとみられる。このような好環境の中で、メモリ向けの設備投資先延ばしなどの影響は軽微と見られ、受注残高も膨らんでおり、電子機器事業は会社予想を上回る売上が期待される。
産業機器は売上高108億円(6.4%増)営利18億円(13.3%増)予想。こちらは下期売上高50.62(4.3%減)、6.17億円(29.5%減)予想となるが、半導体製造用メカニカルシールが好調で、成熟産業向けが停滞でも受注残高が豊富で、こちらも受注残高消化が進み、同期比減収とはならないと判断され、売上の増額、利益面でもメカニカルシールが23/3期も10%程度の伸びを続けるとみられ、MIX良化で部材高を補い会社計画を上回る収益が期待される。
全体として高水準の受注が継続する中で、豊富な受注残高の消化が進み、収益の増額が見込まれる。
24/3期は半導体前工程の受注減少が懸念されるも、先端デバイス向け等では薬液処理、CMP工程の多用化などで市場全体よりも落ち込みは軽微で、豊富な受注残から増収を確保しよう。実際、能力増強のため福知山第2工場の建設に着手、2023年9月竣工予定で、現有の1.8倍の生産能力となる見通し。24/3期は一部売上寄与が見込め、受注残高の適正水準化が進もう。なお国内ではTSMCやキオクシア、さらにはパワー半導体の工場建設がラッシュとなる見通しで、半導体製造装置向けに加え、免震装置、配管設備向けにも需要拡大が見込まれ、収益拡大を確保しよう。産業機器関連は水素、アンモニアなど、極低・高温・高圧力などで差別化できる製品群が水素エネルギー分野などで加わり、売上維持と利益も多少の減少で止まろう。全体として国内外での設備増強などの負担増を増収効果で吸収し、24/3期も最高益更新が続こう。
株価は23/3期増額期待で連続最高益更新見通しから、1月高値3850円奪回でBUY継続
株価は半導体関連の下落を受け、年初から下げに転じ、10/3には2258円の年初来安値を付けたあと、11/10のQ2決算で好調持続が判明したことで株価が急上昇、2885円まで上昇しこの水準を保っている。現状、会社予想EPS351円に対しPER8.0倍はプライム機械平均PER16.3倍に対し割安感がある。
またバルカー9.8倍、ニチアス7.0倍、イハラサイエンス7.7倍、イーグル工業7.2倍など、類似製品を納入する企業比較と似通ったPER水準であるものの、同分野トップ企業としてPER予想は割安感がある。しかもQ2でも受注残高が積み上がり、23/3期も増額修正含みで連続最高益更新、24/3期も先端半導体設備投資増に伴い収益拡大が続くとみられ、当面1/5高値3850円奪回を目標にBUY継続としたい。
(H.Mirai)
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