JFEスチール 2年連続 SUSMAに出展
RXジャパン株式会社が主催する第13回 高機能素材Week2022は、幕張メッセで明日12月9日まで開催される。第2回サステナブル マテリアル展、通称SUSMA(サスマ)には、「カーボンニュートラル」を目指すと宣言した多くの企業が集結した。その場でしかお聞きすることのできない内容も多く、是非、足を運んでいただきたい。
その中で、金属メーカーは、JX金属グループのようにメタルジャパンとSUSMA両方にブースを設けた企業もあるが、何れかを選択した。
SUSMAにブースを設けた企業:初回からの出展はJFEスチール、中越バルブ工業、日立金属。三井金属鉱業(前回はメタルジャパンに出展)は今回初出展。
メタルジャパンに継続出展:日本製鉄、オーファ、日豊産業、大同特殊鋼、山陽特殊鋼、東洋鋼鈑、三菱マテリアル、日本製鋼所および一般社団法人日本チタン協会、日本マグネシウム協会、日本アルミニウム協会、日本銅センターであった。
2年連続でSUSMAに出展したJFEスチールは、SUSMAの出展のため、JFEスチールの製品(鋼板・鋼板・粉末)の性能のみ展示ではなく、客先での最終製品の展示を行った。たとえば実際にコピー機の形状に加工した電気亜鉛めっきを展示した。めっき付着量を減らし、化成処理の耐食性を改善することで、製造時のCO2発生量を減らすとともに最終製品の軽量化に貢献するものである。さらには、開発品については、自ら最終形にしたものを自作し、その性能を示した。
それに伴い、取材枠ではあるが、写真撮影をさせていただけないものが多く残念に思われたが、取材中、韓国の方が片っ端からリーフレット等を集めて帰って行かれたのを見て、当然のことと感じた。是非、展示会に出向いて、その性能を体感していただきたい。明日まで開催されている。
開発を実際行っている研究所員が多くブースには控えており、詳細な説明を聞くことができる。
前年は二日目に訪問したため、JFEホールディングスの柿木社長にお逢いできなかったので、今回は初日に訪問し、柿木社長のスケジュールに合わせて再訪問した。
写真右は、JFEホールディングスの柿木社長(右)と記者。写真の掲載をお許しいただいた。
今回、JFEブースでの目玉は、ル・マン24時間レースで優勝したTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の「GR010 HYBRID 8号車」の展示である。
TGRのレース車両の駆動モーター向けには高磁束密度と低鉄損を両立する高機能材であるJFE製の高けい素(Si)傾斜電磁鋼板が採用されており、レースに必要なパワーと省エネルギーを高い水準で実現すると評価されている。
JFEホームページより
当社が協賛するTOYOTA GAZOO RacingがWECで総合優勝|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
高速モータ用Si傾斜磁性材料 『JNRF™』を開発~高周波低鉄損と高磁束密度を両立した電磁鋼板~|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
JFEスチールのブースに展示された様子。
JFEブースでのコンパニオンによるプレゼンテーションを見ながら、JFEホールディングスの柿木社長(右)及びJFEスチール福島副社長(写真 左から二人目)に説明されるスチール研の瀬戸所長(右から二人目)。
昨年も紹介したが、写真右は、「BETTER RECYCLE 湘南」プロジェクトから生まれたもの。今年ロゴが決定した。
リサイクル型スチールカップ提案活動のロゴ『Steelish™』が決定~「カーニバル湘南2022」で取り組み紹介~|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
写真左ECOFeeL CUP」は、朝日ユウアス協業に採用されたもの。
- 鉄の高いリサイクル性を活かして、JFEスチールが企画立案したぶりき製のリサイクルカップである。
- 重さ60gと軽く丈夫で、鉄の素材を活かしたスマートなデザインである。
- 薄型で心地よい口当たりで、飲料の冷涼感が直接伝わる。
写真左の右二つの模様は、“JFE”の文字が並んだものである。
JFEスチールは鉄鋼事業の技術力とノウハウを生かして還元鉄粉・アトマイズ鉄粉・合金鋼粉を製造している日本唯一の総合鉄粉メーカーでもある。
1965年から還元鉄粉を、1978年からアトマイズ鉄粉を製造販売している。さらに、JFEミネラルでは、CVD法による鉄粉の研究開発を行っており、あらゆるニーズに応えることができる。写真右は、JFEミネラルの説明担当者殿に写真撮影を特別許可していただいたもの。
機能素材の研究開発 | JFEミネラル株式会社 (jfe-mineral.co.jp)
《農業に適量できる鉄粉 粉美人》
鉄不足と人手不足を解決する、農業用 水稲直播用プレミックス鉄粉。
「鉄×コメ」で稲作の省力化に貢献
日本の稲作農家9割以上は、田植え前に水田とは別の場所で籾(稲の種子)を発芽させて苗を育て(育苗)、その稲を水田に運んで田植えする「移植栽培」を採用している。高齢化や後継者不足が進行するなか、稲作の省力化につながる方法として注目されているのが、籾を直接水田にまいて収穫まで育てる「直播栽培」だ。直播栽培は育稲や田植え作業などが不要で、農林水産省が行った実証事業によると、従来の田植えシーズンの労働時間の2割を削減できるとされている。
JFEスチールは、直播栽培で使用する籾をコーティングする鉄粉を開発し、2014年に「粉美人」として販売開始した。これは国立研究法人農業・食品産業技術総合研究機構で開発された、鉄粉でコーティングした稲種子を直接水田にまく「鉄コーティング直播技術」に適した商品である。鉄粉をコーティングするっことで重くなる籾は、土の表面に定着しやすくなり、大雨などで流れ出すリスクも抑えられ効率的に発芽ができるうえ、鉄粉による固い皮膜に覆われることで鳥にも食べられる被害も削減でき、コーティングしない籾よりも収穫量の増大が期待できる。
現在では、更なる省力化に向けて各地でドローンによる籾まきが試行されている。
S91プレミックス(粉美人)の特徴
tsunagi_rice-250.pdf (maff.go.jp)
<小型複雑形状のモータコアに適した圧粉磁心用鉄粉>
「絶縁被覆純鉄粉 電磁郎」
圧粉磁心用絶縁被覆純鉄粉『電磁郎™』を開発~世界で唯一、広周波数域に対応できる製品ラインアップ確立~|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
JFEスチールは、主にアキシャルギャップモータに用いられる重要素材として、圧粉磁心用絶縁被覆純鉄粉『電磁郎™』を開発した。これにより、JFEグループは電磁鋼板(JFEスチール)からソフトフェライトコア(JFEケミカル)まで幅広い軟磁性材料をラインアップしモータを含むあらゆる電源機器に対してワンストップで最適なソリューションを提供できる、世界唯一の総合サプライヤーとなった。
電磁郎の開発においては水アトマイズプロセスの水流制御技術で粒子球状化を達成。それにより被表面積の拡大を抑制し、粒子一つ一つに均一に絶縁被覆ができることで低鉄損化を図った。さらに、JFEグループには、試作品の評価を専門とするJFEテクノリサーチもあり、きめ細やかな対応が約束されている。
圧粉磁心用絶縁被覆純鉄粉『電磁郎™』を開発~世界で唯一、広周波数域に対応できる製品ラインアップ確立~|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
JFEスチールのブースでは、JFEケミカル、JFEミネラル、JFEテクノリサーチも、同時出展した。
JFEテクノリサーチは、洋上風力発電などの長寿命腐食塗装向けISO12994対応、複合環境サイクル試験を紹介した。
洋上風力発電などの長寿命防食塗装向け複合環境サイクル試験(ISO12944規格など) (jfe-tec.co.jp)
JFEミネラルでは、化粧品用窒化ホウ素、電子部品用窒化ホウ素及び絶縁放熱シート(ラボ作成品見本)を展示した。
BN 化粧品用窒化ホウ素 (BNリーフパウダー®) | JFEミネラル株式会社 (jfe-mineral.co.jp)
BN 電子部品用窒化ホウ素 | JFEミネラル株式会社 (jfe-mineral.co.jp)
最後に。
<横長 手提げ紙袋 大成功>
JFEスチールが配付する横長の紙袋。横巾広すぎて持ち帰るのに、少しやっかいである。これは、他の企業の紙袋の中に入れられるのを防ぐ目的なのでそうだ。今回は紙袋を配る企業が少なく、「大は小を兼ねる」JFEの戦略が大成功。多くの人たちが、JFEのコマーシャルをしながら帰路についた。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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