ダイセキ(9793) 23/2Q3決算メモ 23/2期最高益更新期待も中計減額見直し懸念
23/2期最高益更新見通しで24/2期も緩やかな成長、設備増強で25/2期以降再度高成長へ
株価4490円(1/6) 時価総額2290億円 発行済株51,000千株
PER(23/2期DO予26.3X)PBR(2.98X)配当(23/2予)60円 配当利回り:1.34%
要約
・23/2Q3は8.9%増収9.3%営利増で計画比未達も四半期売上は過去最高を更新
・23/2期3.7%増収5.0%営利増予想変更せず環境ソリューション増額期待も全体で計画並み
・中計目標として25/2期に売上高690億円、営利163億円目標は環境変化で多少見直しも
1/5に23/2Q3決算が開示され1/6に決算説明資料が開示された。23/2Q3は、売上高156.54億円(10/6計画比1.77億円未達、8.8%増)、営業利益35.80億円(同3.25億円未達、9.3%増)と、計画比若干未達成も、四半期売上では過去最高額を更新した。
ダイセキ単体収益は、売上高85.20億円(同3.10億円未達、2.9%増)、営業利益24.14億円(同1.66億円減額、8.1%増)と、計画比若干下振れたのは、鉱工業生産指数が8月ピークに伸び悩み廃液入荷量が伸び悩んだため。
事業所別では自動車関連(名古屋0.6%減)、車載半導体関連(北陸5.8%減)先からの廃液入荷が伸びなかったが、関東(7.2%増)、九州(10.4%増)が堅調で増収を確保した。利益面では原油価格が引き続き高水準に推移、再生重油価格・補助燃料価格も上昇し、半導体不足による顧客の生産調整実施影響などがあったものの総利益率が向上した。
この他、廃バッテリー再生事業のダイセキMCRは、売上高10.18億円(計画比1.08億円増額、20.5%増)、営利2.43億円(同0.03億円増額、20.9%増)と、高稼働率の中で鉛価格は想定を下回るも円安効果で販売価格の上昇が寄与、増収増益続く。不振を極めていたダイセキ環境ソリューションはQ3に挽回、売上高45.14億円(2度目の減額比8.32億円増額、7.9%増)、営利4.74億円(同2.12億円増額、10.7%減)と上振れに。またシステム機工はタンククリーニング工事がコロナ禍での期ずれが多少解消、売上高15.34億円(同0.34億円増額、48.5%増)、営業利益4.32億円(同1.02億円増額、2.2倍)と改善した。
全体としてQ2時点ではダイセキ環境ソリューションの低迷を他の企業が埋める計画を想定していたが、ダイセキ環境ソリューションの収益改善が大きく、ダイセキが鉱工業生産指数の低下影響で伸び悩み、結果としてQ3累計で計画並みの収益となった。
23/2期3.7%増収5.0%営利増予想変更せず環境ソリューション増額期待も全体で計画並み
23/2期会社計画は6/30に減額した売上高590億円(3.7%増)、営業利益136億円(5.0%増)に対し、Q3累計での進捗率が売上で74.6%、営利で72.2%となっており、予想を据え置き、連続最高益更新を見込む。
会社別の変更も無く、ダイセキ環境ソリューションの再減額(売上高で20億円、営業利益で10億円減額)を全体でカバーするとの開示に変更はない。但し、現状、ダイセキ環境ソリューションはQ3に大幅上振れ、本体は未達、全体でほぼ計画線。この状況はQ4も変化しないと判断、ダイセキ本体は計画未達ながら初めて経常利益100億円突破が見込まれる他、ダイセキMCRはQ3累計での進捗率が売上で82.1%も、営利では既に102%と達成、上振れが見込まれる。
全体として、会社計画並みの収益達成が可能で、最高益更新が見込まれる。
中計目標25/2期に売上高690億円、営利163億円は環境変化で多少見直しも成長続く
同社は中期計画として25/2期に売上高690億円、営利163億円を目標として掲げた。しかし足元では回復傾向もダイセキ環境ソリューションの大幅減額が影響、ESG経営強化や温暖化対策などでフォローの風が吹く一方で、金利高懸念、極端な円安、原材料高、生産活動の停滞、またビックプロジェクトの遅延、インパクトの減退など、同社を取り巻く不透明要因も数多い。このため毎年スクロールする中期経営計画について下方修正もあり得るが、シェア拡大などで増収増益確保は可能とみられ、最高益更新継続が見込まれる。
中期的には世界的な脱炭素社会、リユース拡大など、同社ビジネスの拡大加速が見込まれる。ダイセキ本体では関西事業所播磨リサイクルセンターの第1期が稼働の他、九州事業所は23年3月稼働、新設広島事業所も24年1月稼働に向け着工。さらに新規事業用地として名古屋事業所隣接の事業用地1.5万㎡を取得、中京地区でも事業拡張を実行する。またダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCRなども設備増強を行う。加えてグループとしてのシナジー効果も加わる見通しで、この様な事業所の新増設が本格化する2025年以降改めて成長が加速しよう。
(H.Mirai)
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