JFEスチールの鉄鋼スラグ活用の藻場造成事業「Jブルークレジット®」認証を取得
JFEスチールは、神代漁業協同組合(所在地:山口県岩国市、以下、「神代漁協」)および独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校(所在地:山口県宇部市、以下、「宇部高専」)と共同で「岩国市神東地先におけるリサイクル資材を活用した藻場・生態系の創出プロジェクト」を推進している。同プロジェクトでは、ブルーカーボン生態系(*1)により取り込まれた炭素吸収量を算定しており、このたび同結果(79.6t-CO2)が国土交通省認可の技術研究組合である「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合」(*2)が運営する「Jブルークレジット®」(*3)の認証を受けた。漁業協同組合、学術機関、および民間企業が3者で連携して取り組んだプロジェクトとして初の認証例となる。
海洋で生息する生物によって吸収・固定される炭素であるブルーカーボンについて、近年研究が進んでいる。同社はこれに着目し、鉄鋼スラグ製品による藻場の創出や藻場全体の炭素吸収量の算定に取り組んでいる。同プロジェクトは、神代漁協が事業主体となり2012年度から開始しているもので、同社および宇部高専を加えた3者が連携して「マリンストーン®」などの鉄鋼スラグ製品を用いた海藻藻場創出、およびそれによるCO2の吸収量を算定している。
同プロジェクトの「Jブルークレジット®」の購入申し込みの公募は、来年度に行われる予定。
【認証内容】
申請者
神代漁協、宇部高専、JFEスチール
プロジェクト名
岩国市神東地先におけるリサイクル資材を活用した藻場・生態系の創出プロジェクト
認証された吸収量
79.6t-CO2 (2018~2022年に吸収・固定化されたCO2量として)
プロジェクトの概要
- プロジェクト実施場所は山口県岩国市神東地先であり、2013年~2018年にリサイクル資材である鉄鋼スラグ製品を用いて約3.6ヘクタールの岩礁性藻場生育基盤の造成を行った。
- 創出した海藻藻場の岸側は、流動場の抑制に伴う海草生育環境条件の向上により、海草藻場の分布が拡大した。
プロジェクトの特徴
- 海藻藻場の創出及びそれによる海草藻場の拡大によってCO2の吸収量が増加した。
- 藻場の形成によって有用魚類が寄り集まっている。
- 教育・研究の場として活用。
- プロジェクト実施場所において、リサイクル資材を用いた海藻・海草藻場の更なる創出が期待できる。
【プロジェクトの様子】
*1 「2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において,海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され,吸収源対策の新しい選択肢として提示」されました。ブルーカーボンの作用を有する生態系を「ブルーカーボン生態系」と呼んでいる。
https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001394943.pdf
https://www.mlit.go.jp/report/press/port06_hh_000170.html
*2 「海洋の保全、再生、そして活用などブルーエコノミー事業の活性化を図ることを目的とした技術(方法論)の研究開発を、異なる分野と立場の研究者、技術者、実務家らが密に連携して実施するために設立」された。略称「JBE」。
https://www.blueeconomy.jp/
*3 「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合が発行・販売しているブルーカーボン・クレジット」。
https://www.blueeconomy.jp/credit/
(IR universe rr)
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