ファナック(6954) 23/3Q3決算電話会議メモ ロボット伸長続き増益維持見通し
23/3期13.4%増収0.6%営利増予想と増益維持、24/3期もロボット牽引し増益確保予想
株価22365円(1/27) 時価総額45157億円 発行済株201922千株
PER23/3期DO予(25.1X)PBR(2.65X)配当還元率60% 配当利回りDO予2.3%
要約
・22/3Q3は16.5%増収14.0%営利増、受注7.1%減と受注一服も売上は四半期最高額更新
・23/3期予想をQ2の減額修正から増額、13.4%.増収0.6%営利増予想と増益予想に変更
・24/3期もロボット中心に売上拡大、新生産革命の中核企業で拡大期待も利益伸び悩み懸念
22/3Q3は16.5%増収14.0%営利増、受注7.1%減と受注一服も売上は四半期最高額更新
1/27に23/3Q3決算発表、同日電話会議が開催された。23/3Q3は売上高2200億円(同期比16.5%増、Q2比7.5%増)、営業利益525億円(同14.0%増、同16.9%増)、一方で受注は2005億円(同7%減、同8%減)と、収益堅調ながら受注一服となった。
製品別売上では同期比全て増収に。FAは売上625億円(4%増)、国内が工作機械受注拡大で168億円(11%増)、欧州20%増も、最大の中国が383億円(2%減)と伸び悩み、全体で1ケタの伸びに。ロボットは953億円(24%増)と伸長、最大地域の米州が366億円(22%増)、中国も303億円(25%増)、欧州187億円(36%増)など軒並み高い伸びに。EVバッテリー向け等が繁忙、また中国などでは省人化・自動化投資拡大が継続している。ロボマシンは332億円(18%増)と中国向けが140億円(18%増)となり前年同期の反動増、国内も64億円(17%増)。サービスは291億円(22%増)と、米州38%増、欧州16%増などが伸びる。一方、製品別受注ではFAが380億円(46.3%減)と特に国内で大幅減、中国も不振、ロボマシンも262億円(14%減)と中国で減少継続、一方でロボットは1077億円(18.5%増)と欧米、中国で拡大、サービスは286億円(20%増)と欧州向けが伸長した。
地域別売上推移では国内323億円(9%増)とロボマシンが堅調、最大中国は627億円(17%増)とロボットが303億円(25%増)と大台を超え、ロボマシンも140億円(45%増)と反動増に。米州は530億円(25%増)でロボットが366億円(22%増)と牽引した。欧州は385億円(21%増)で、こちらもロボットが187億円(36%増)と牽引、FAも53億円(20%増)と健闘している。一方、受注は国内が241億円(31%減)でFAが大幅減、中国は527億円(7%減)でロボット好調もロボマシンが減少、米州は535億円(16%増)とロボットが増加など。受注全体でロボットの好調、その他は景気減退影響などで受注下降傾向が顕著に。
利益面では資材高や物流コスト高などが嵩んでいるものの、増収効果もあり総利益率は0.1ポイント改善し39.7%となったが、販管費は経費増などで21.5%増となり、販管費比率が0.7ポイント悪化、営業利益の伸びは売上の伸びを多少下回った。
23/3期予想をQ2の減額修正から増額、13.4%.増収0.6%営利増予想と増益予想に変更
会社側ではQ3累計の進捗率、部材調達の緩和で受注残高の消化も進む事を考慮、Q2に期初計画を減額したが、今回は増額修正した。23/3期修正予想は売上高8312億円(Q2修正予想比255億円増額、13.4%増)、営利1844億円(同27億円増額、0.6%増)、経常利益2231億円(同61億円増額、4.5%増)、税引利益1640億円(同45億円増額、5.6%増)予想とし、営業増益維持予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、受注状況がロボットについては引き続き高水準が継続、一方でFA、ロボマシン需要は一服感が出ている。地域的には中国はEV投資に関連し、2次電池向け等で活発な需要が継続、電機向けなどは一服している。他地域でもロボット需要は旺盛で、その他事業の落ち込みをカバーする形に。全体としてロボットについては生産が間に合わない状況が続く。またFAは先行発注の影響が受注に出ているが、かなり先までの受注残が確保されており、売上面で大きな落ち込みはないと見られる。全体として会社修正計画にたいし、ロボットの伸びなどで多少増額修正期待がある。
24/3期もロボット中心に売上拡大、新生産革命の中核企業で拡大期待も利益伸び悩み懸念
24/3期はサイクル的にFA、ロボマシンが伸び悩むと見られ、原価高は峠を越えたとみられるが上期の収益の伸びは期待しにくい。一方、ロボットは世界なEV、自動化運転等の技術革新の進展で自動車向け自動化や高度化設備投資の拡大が継続しよう。特に自動車関連はエンジン製造でのロボット使用箇所が少ないのに対し、EVでは特にバッテリー製造でロボットが多用、電子化で小型ロボット導入が加速する。加えて5G関連、更に協働ロボットが製造業以外で普及加速が期待される。ロボット生産能力が1年前の月産11000台が月産16500台まで拡大目処が立ち、筑波新工場でロボット本体の機械加工・組立・検査の増設、また壬生工場でモーター、アンプ増強など更なる拡大を模索している。またFA関連ではインドなどでNC化が進む見通しで大きな落ち込みとはならないと判断される。このため24/3期はロボット中心に売上増が期待されるが、利益面は大型設備投資による償却負担増、伸びの中心がロボットとなりMIX悪化から利益の伸び率は緩やかなものに止まろう。
(H.Mirai)
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