アドバンテスト(6857)23/Q3決算電話会議メモ SoCテスタ好調で最高益も来期不透明
23/3期31.9%増収48.2%営利増予想維持も23年テスタ市場予測減額し24/3期収益低迷に
株価9910円(2/3) 時価総額19812億円 発行済株191542千株
PER(23/3期DO予14.8X)PBR(5.52X)配当(23/3予)135円 配当利回り1.4%
要約
・23/3Q3は23.1%増収、22.8%営利増とSoCテスタ好調で収益伸長続く
・23/3期予想変更なく31.9%増収48.2%営利増予想は豊富な受注残で会社計画達成可能
・24/3期は半導体市場の不透明感から検査装置需要の減退も有り2ケタ減益懸念
23/3Q2は52.8%増収、営利2倍増とSoCテスタ好調で収益伸長続く
23/3Q3決算が1/31に開示され、電話説明会が同日行われた。23/3Q3は売上高1380億円(同期比23.1%増、Q2比0.6%減)、売上総利益816億円(同25.9%増、同2.1%増)、営利421億円(同22.8%増、同4.4%減)に。
セグメント別では半導体・部品テスト事業が売上高1380億円(同23.1%増、同0.6%減)、営利404億円(同31.3%増、同1.7%減)となった。半導体の減速感の中でハイエンドSoCテスタが堅調に推移、売上は800億円(同26.8%増、同0.3%増)とHPC向け、AI関連が好調、ただしスマホ向けがQ2比減少に。メモリテスタは売上高186億円(同8.8%増、同2.1%減)とメモリ市場が軟調も高性能メモリ中心に投資が継続し、高水準を維持した。利益面では増収効果に加え円安も寄与し同期比大幅増益となったがQ2比では販管費等の増で微減益に。メカトロニクス関連事業は売上高141億円(同29.4%増、同10.2%増)、営利29.8億円(同54.1%増、同18.6%増)。テスタ事業の拡大でEUV対応デバイスインターフェース製品が増加、利益では増収効果で収益性向上に。サービス他は売上高253億円(同18.8%増、同7.3%減)、営利24億円(同49.9%減、同38.1%減)と、データセンター投資やスマホ高性能化などでシステムレベルテスト(SLT)が137億円(同18.1%増、同17.5%減)と市況悪化でQ2比大幅減、一方保守サービスは設置台数増効果で116億円(同23.4%増、同8.4%増)と高水準を維持も、利益面ではMIX悪化で大幅減益に。
地域別では同期比で台湾が減少、Q2でも台湾向け、その他引きが減少した。主力の台湾向けは277億円(同25.1%減、同32.1%減)と、民生向けSoCテスタの減少が影響、一方で中国はIoT端末、産業向け半導体需要増でSoCテスタが伸長し454億円(同54.9%増、同30.8%増)、また韓国は311億円(同57.9%増、同8.7%増)とSoC、メモリテスタともに伸びる。
利益面では製品MIX良化で売上総利益率が同期比1.2ポイント、Q2比で1.6ポイント向上した。一方営業費用など販管費増があり営業利益率は同期比横ばい、Q2比1.2ポイント悪化し29.9%に止まるが、会社想定の営業利益率を確保したとのこと。
23/3期予想変更なく31.9%増収48.2%営利増予想は豊富な受注残で会社計画達成可能
同社はQ2で計画を上回ったが、不透明要因を考慮しQ1で増額した23/3期会社予想を据え置いた。今回Q3で売上進捗率75%、営利進捗率75.9%と、ほぼ計画線にあることから、今回もQ1時点の売上高5500億円(31.9%増)、営利1700億円(48.2%増)、税引利益1300億円(48.9%増)は変更無し。
通期予想に変更はないが、部門別売上では半導体システムを3970億円(Q1修正比120億円増額、Q2修正比80億円増額、38%増)と再増額を見込む。同社は7月時の2022年SoCテスタ市場見通しに対し、10月に従来よりレンジを下げて予想、今回さらに見直し、2022年暫定で上限はドルベースで0.3B$引下げ4.1B$(4.7%減)とした。但し同社SoCテスタ売上は3245億円(同100億円増額、同45億円増額、44%時)としており、微細化進展でテスト時間が伸びる傾向継続、先端プロセス採用加速で計画を上回っている。全体市場はアップル向けの伸び悩みでライバルのテラダインの伸びが低まったことでシェアが60%弱に向上している模様。メモリテスタは7月時点の市場予想を変更せず、約1.2B$~1.3B予想(7.7%減~横ばい)としている。市況軟化を考慮し前回は売上高予想を期初計画並みの690億円としたが、これを725億円(10月予想比35億円増、期初計画比でも20億円増額、14.5%増)に増額、市場シェアも50%程度と多少上昇している模様。メカトロ関連は売上高505億円(同35億円減額、19%増)とメモリ減速の影響の中でハイエンドメモリ向けに先端技術投資が寄与している模様。メカトロニクス関連も530億円(10月予想比25億円増額、25.3%増)予想と、EUV露光の普及、テスタの増額を受けて増額に。一方、サービス他は売上高1000億円(同105億円減額、16.5%増)と減額を見込む。内訳はSLT(システムレベルテスト)が550億円(同115億円減額、10.7%増)と、民生機器の低迷で投資金額の見直し、消耗品を含めSLT需要の減退、先延ばしなどで大幅縮小に。一方、保守・サービスは450億円(同15億円増額、24.7%増)と機器納入累積台数の拡大で安定した伸びに。全体として豊富な受注残高を抱え、Q3での計画取りの進捗を受け、為替前提もQ4が1$=130円としており、計画通りの着地が見込まれる。
24/3期は半導体市場の不透明感から検査装置需要の減退も有り2ケタ減益懸念
同社はQ2時点においてBBレシオが1を上回っていたとの説明があり、Q3累計でも1を上回ったとしている。但しQ3では1を下回った模様で、Q4にかけて受注減速が加速すると見られる。但し、前期末受注残高が3922億円あり、少なくとも23/3Q3ではこの数字を上回っている事になり、23/3期会社予想売上5500億円をベースに23/3期末でも約9ヶ月程度の受注残高を抱えると見られる。実際、同社のリードタイムは9~12ヶ月水準で推移しているとのことで、一部キャンセル、納期延長要請も一部にとどまり影響は軽微とのこと。
同社は2023年の半導体テスタ需要について、SoCテスタについては約3.5B$~4.2B$(15%減~2%増)、メモリ・テスタについては0.9B$~1.2B$(30%減~0%)と少なくとも上期は大幅調整が避けられないとしている。昨年10月時点で豊富な受注残高があり、リードタイムが9ヶ月から1年を要し、微減収から10%増収を想定していたが、今回は受注残高があるものの、環境悪化も有り、15%減を下限に売上減少の可能性を示唆、但し先端製品の検査需要、車載向けなどの堅調から1ケタ成長確保を目指すとのこと。現状、この認識は正しいと判断され、少なくともメモリテスタは20%近いマイナスが懸念され、SoCテスタ、メカトロニクス製品も減少が見込まれ、全体として24/3期は一部イタリアのCREA社(パワー半導体テスト装置メーカーで6月に買収発表、8/10に買収完了、)、今回3月発表の台湾ShinPuu社(プリント基板サプライヤー、規模は不明も従業員240名規模、4月買収完了予定)などの買収効果なども多少寄与すると見られるが影響は軽微で、24/3期収益は減収2ケタ減益が避けられないとみられる。
(H.Mirai)
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