中国はレアアースの輸出を制限し、米国の半導体圧迫に強力に反撃する
最近、中国がレアアースや太陽光発電などの技術輸出を制限するとのうわさが勢いを増しているが、これは中国がついに米国の半導体封鎖に大規模な対抗措置を発動し始めたことを意味する。中国は『中国輸出禁止・輸出制限技術目録』を改訂中で、各方面の注目を集めている。2月9日、商務省の報道官はこれについて、リストは特定の業界を対象としたものではないと強調した。しかし、それでも米国の多くのハイテク企業は気をもんでいる。
近年、米国の中国に対する各種制裁、封鎖の手段は狂気に近い。2021会計年度までに米国がすでに発効した制裁措置は累計9400件以上に達している。特に米国は2022年10月に規制措置を導入し、中国向けにスパコンや人工知能用半導体の先端技術や製造装備を開発・輸出する条件を引き上げた。
1、米国のチップ技術封鎖が再びエスカレートしている
チップ産業の分野では、米国が比較的高い位置にあることは間違いない。この分野での中国の発展を制限するため、米側は2つの角度から着手することを選んだ。1つ目は、台湾、日本、韓国などの地域と国家といわゆる「チップ4者連合」を結成し、世界のチップ生産能力をコントロールし、中国がハイエンドチップを大量に入手できないようにすることだ。2つ目はオランダ、日本と正式に合意し、これを受けてオランダ側が深紫外線リソグラフィ装置の対中輸出を停止したことだ。日本側は『外国為替及び外国貿易法』を改正することで、中国側が自国の設備をチップ生産に使用しないようにすることを選択した。
このことから、中国側に対する米国側のチップ封鎖は再びエスカレートしており、米メディアも米国側のやり方は中国側の反発を招くとの見方を示している。行動の具体的な実行者であるオランダや日本は、実は今回の件であまりメリットを得ていない。リソグラフィ装置を大量に購入し、使用できる国は世界に多くなく、これらの国や地域とそのチップメーカーの経済収入が打撃を受ける。
2、中国は対抗措置を取り、技術輸出を制限する。
中国側の『中国輸出禁止・輸出制限技術目録』改訂版の意見募集が終了した。新版『目録』によるとレアアース、太陽光発電、レーザーレーダーに関連する技術や製品の輸出が制限され、中国の対米対抗措置が本格化する可能性がある。
中国側の対抗措置は比較的強硬なものだ。レアアース分野を例にとると、中国は大量のレアアース資源を持つと同時に、世界トップレベルの加工量を誇る。中国のレアアース業界に対する掌握力は、米国の国際チップ産業に対する掌握力よりはるかに強い。米側の行為は政治的・経済的な覇権抑止によって行われることが多い。
レアアースは現代電子機器を製造する重要な原材料であり、民生用電子機器でも武器の誘導システムでも、レアアースを使用する必要がある。軍事分野では、ほとんどのハイテク兵器にレアアースが使用されており、例えば米国のパトリオットミサイルやM1A1戦車、F22戦闘機などに使用されており、さらには米軍の歩兵や接近戦兵器システムの暗視機器にもランタンが大量に混用されているが、これはレアアースの一種である。
このほか、中国の太陽光発電製品の生産や関連技術においても、先頭に立っている。米国は太陽光などのクリーンエネルギー産業に力を入れており、これには大量の太陽光発電設備を調達する必要がある。中国の製品は技術的にもコストパフォーマンス的にも世界最高だと認める。
(趙 嘉瑋)
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