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中国のタングステン、レアアースの市場動向とEVの流れ

 先日中国市場の関係者と意見を交わす機会があり、その中で中国の市場の値動きに対する奇妙な話、そして国家糧食・物資備蓄局(SRB)の動向について話を伺うことが出来た。中国が推し進める電気自動車普及の政策について、超低価格EVの情報も絡めてお届けする。

 

タングステンの不思議な値動き

 

 タングステンの市場価格についてはそこまで価格の推移が乱高下しない状況が続いている。

その上で中国国内の相場値とLMB(LondonMetalbulletin)の相場値を比べてみると、LMBの方が中国相場より少々値が高い状況で推移をしている。

LMBのタングステンAPT相場が330〜340$/MTUであれば、中国国内相場が320〜330$/MTUと常に10$前後のズレが生じているのだ。

 

(出典:MIRU.com タングステンAPTの相場表。欧州の相場値)

 

 本来ならば製品価格はより安値に近い値段に設定し、市場に流通させるのが一般的である。

しかしLMBにおけるタングステンの相場値が乖離した状態のまま維持され続けているのは、欧州圏でのタングステン消費に陰りが生じているからだという。

実際の所、在庫を抱えている状態が続けば、市場の値動きは鈍化するし取引自体が成立しにくい。

その結果、欧州圏と中国国内市場では未だにタングステンの価格がズレている奇妙な状況が継続する可能性は高いとの事である。

 

原材料確保に動く中国

 

 中国の国家糧食・物資備蓄局(SRB)は2月末からイットリウムやエルビウムといった鉱物資源の備蓄に入るという。

MIRU.comのグラフを参考にすると、確かに酸化エルビウムに関しては2022年9月、並びに11月で1kgあたり仲値は39ドルまで値が落ちていたもののその後は値上がりが続き、現在は1㎏44.5ドルの仲値を付けている。

 


(出典:MIRU.com 酸化エルビウムの相場表)

 

 酸化イットリウムも今年1月時点では仲値が1kgあたり8.15ドルであった所が現在は8.75ドルとこちらも値上がり傾向にある。

どちらもハイテク産業向けの素材であり、特にレーザーに対する用途としてどちらも使い道が存在する。

もちろんイットリウムはLEDや電極等にも使われる素材である。

希土類鉱石に含まれるイットリウムの確保は、中国が更にハイテク産業や電気自動車等の開発に力を入れる傾向の現れと言えるだろう。

 

(出典:MIRU.com 酸化イットリウムの相場表)


 

新エネルギー車の普及と今後の課題

 

 中国では現在国をあげて新エネルギー車(New Energy Vehicle)の生産に取り掛かっている。
普及台数において新エネルギー車は合計1000万台を目指す、という目標すら立っている程だ。

ここで言う新エネルギー車とは電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を引っくるめた総称であり、これは中国独自の定義となっている。

通常のハイブリッド車(HV)はこの枠組には入らないが、「低燃費車」という名称で優遇措置を設けている。

そんな状況の中、中国で最も注目を集めている電気自動車メーカーの一つが「上汽通用五菱汽車」だ。

同社は上海汽車、広西汽車、GM(ゼネラル・モーターズ)の合弁会社として2002年に設立され、現在は低価格クロスオーバーSUVである「宝駿」シリーズや「五菱」ブランドの自動車を手掛けている。

そしてこの「五菱」ブランドの電気自動車である「五菱・宏光ミニEV」が驚異的な売れ行きを示しているのだ。

 

(出典:Wikipedia Jengtingchen - 投稿者自身による著作物、 CC 表示-継承 4.0、 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=95891671による)

 

 これまで中国国内での新エネルギー車の売上は、2018年時点でのBYDによる年間19.4万台、次いで同年の北汽新能源の14.3万台等、多くても20万台に届かない数であった。

しかし上汽通用五菱は2020年に「五菱・宏光ミニEV」を発表。その低価格ぶりとそこそこの性能で同年のトレンドを掻っ攫い会社合計で16.4万台の新エネルギー車を売り上げた。

2021年には42.3万台とその規模は倍以上に膨れ上がり、テスラの32.2万台やBYDの29.7万台に大きな差をつけている。

 


(台数:千台 出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング
https://www.murc.jp/library/report/global_220912/)

 

 五菱・宏光ミニEVは電気自動車として考えれば非常に低価格である。

最低限のベースグレード車は電池容量9.3kWhで価格は2万8,800元(約45万円)、中級グレードでも3万2,800元(約51万円)、エアコン付きで電池容量13.9kWhの上級グレードでも3万8,800元(約60万円)という安さでありながら、4人乗り可能かつ全長2,917mm、全幅1,493mmというマイクロカーレベルのコンパクトさを誇る。

 

 しかし4人乗りとは言いつつ、荷物を積載するには後部座席を畳む必要が出てくる。

また出力面でも大きな問題があり、宏光ミニEVは最高出力20kW、最大トルク85N・mで車重およそ700kg。

現在話題沸騰中の日産自動車株式会社の手掛ける日産・サクラは最高出力47kW、最大トルク195N・mで車重1070〜1080㎏。

日産・サクラは日本の軽自動車の備える平均値に近い性能で纏まっている電気自動車であることを考えると、宏光ミニEVは街乗り以外の用途には向かず坂道や高速度の走行は不適となるスペックである。

また車体の小ささも相まって、サスペンション等の制動力や居住性にもやや不安が残る。

 

 一般的に厳寒期において電気自動車の性能が低下する事から、中国の自動車市場では純粋な電気自動車以外のいわゆるハイブリッド車の生産も継続している。

また確かに安価な電気自動車といえど農村部等の郊外においては未だに高嶺の花という状況であり、より安く手に入るのは中古車として市場に流れている新エネルギー車だ。

一例として、Sequoia Capital China(紅杉資本)とソフトバンク・ビジョン・ファンドから2億米ドルの資金調達を完了したChahaoduoo Group(車好多集団)の運営する中古車販売プラットフォームの「Guazi(瓜子)」では、2万元でも中古のEVが購入できる。

充電インフラの整備体制も十全と言える状況ではない事から、車両の普及速度に対してインフラ面の整備がどこまで追いつくかという課題も残っている。

いわば一つの品あまり状態と言えるだろう。

 

 鳴り物入りで新エネルギー車の増強を急ぐ陰には、ブームに乗るだけ乗って後は野となれ山となれというこれまでの体勢を繰り返す様な思惑が見え隠れするのではないだろうか。

 

英語記事はこちら

 

 

(IRUNIVERSE ICHIMURA)

 

 

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