グレンコア ルサールからのアルミニウム購入契約をキャンセル
グレンコアのゲイリー・ネイグル社長は、ロシアのアルミ大手ルサール・インターナショナルからアルミニウムを購入する160億ドル規模の契約を、同社が昨年2月のウクライナ侵攻後に導入した「ロシアとの新規取引は行わない」方針に従い、来年の契約満了時に更新しないことを明らかにした。
同社では、この方針を導入したにもかかわらず、既存の契約は守り続けてきたが、今後は、ロシアとの新規取引は各国政府から要請があった場合のみ行うとしている。
ルサールが同等の規模の新たな取引に応じられない場合、ロンドン金属取引所(LME)の倉庫へのロシア産アルミニウムの搬入が増加し、需要の低迷する時期に世界価格への圧力が高まる可能性がある。
ネイグル氏は、「ウクライナ情勢がどのように進展するかより、同社の姿勢が変わる可能性がある。政策の変更を伴う全ての状況が予見できる訳ではない。世界で何が起きているかに基づいて、自社の政策を修正する」と述べた。
ネイグル氏のコメントは、ビジネス・ライバルの1つであるトラフィグラグループが、ルサールから独自の金属供給を確保するための交渉中であると報道された数週間後に発表された。トラフィグラは、制裁を遵守すると述べている。ルサールは欧米の制裁下にない。
グレンコアにとって、ロシアの大企業との関係を終結させるのは、大きな転換を意味する。なぜなら、ルサールの金属は長年にわたり、世界の主要なアルミニウム取引業者としての地位を支えてきたからだ。銅や石炭など他の多くの商品とは異なり、自社で生産資産を持たない同社にとって、この取引は不可欠である。
2020年、ルサールは160億ドル規模の契約を発表し、その下で生産量の約3分の1をグレンコアに売却することになった。同契約は2025年まで延長される可能性があるとロシア企業は当時述べていた。
グレンコアは顧客や株主のためにロシアと新たな取引をする必要はなく、エネルギー取引の利益は昨年64億ドル増加し、記録的なものとなった。昨年は、ロシア以外の物質を交換することで、世界にサービスを提供し、取引ビジネスでも良い実績を発揮できていた。
IRuniverse MK
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