金、1週間半で8%上昇 プラチナとの価格差2倍に、安全資産買いで円も高い
■金の独歩高が鮮明化
20日のニューヨーク市場で金先物相場は一時1トロイオンス=2014ドルと2022年4月以来ほぼ11か月ぶりに節目の2000ドル台を突破した。2022年末から低迷が指摘されていたが、欧米の銀行破綻を受けたリスク回避ムードの高まりを受け、安全資産としての金を買う動きが広がっている。
(NY金とNYプラチナ価格の推移 $/toz)
金とプラチナの価格差は20日にほぼ2倍に達した。年初時点ではプラチナの方が高かったのが逆転し、「ワニの口」よろしく差が開いた。金は米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻が伝わった3月10日ごろからぐんと値上がりし、上昇率は報道直前の9日から21日までの1週間半で8%に達した。株式市場では金関連株を買う動きが広がったほか、黄金ETFにも資金が流れ込んだ。
■ドル円も10日前後から上昇、1か月ぶり水準に
金の上昇と歩を同じくしてやはり安全資産である円を買う動きも進んだ。円ドル相場は20日に一時1ドル=130円台半ばまで上昇した。
(為替円相場の推移 TTS円ドル)
しかし、円高の動きがこのまま続くかは不透明だ。日銀は植田和男・次期総裁が現在のゼロ金利政策を変える意向を崩していない。一方、米国は小幅ながらも利上げは続ける方向だ。投資資金は金利が高い方向に流れるため、中長期的には米国に資金が流入する動きは変わらないとみられる。ちなみに中国も利下げ方針を取っており、海外資金は中国からも流出方向となる可能性が高い。
■銅相場はさえない
さらに、景気の先行指標とされ「ドクター・コッパー」の異名を持つ銅相場の推移は変わらずさえない。
(LME銅相場の推移 $/ton)
世界景気の先行が引き続き明るいとはいえなさそうな中、金や円の高騰がいつまで続くか、また他の鉱物価格にどこまで影響するか、注視しておく必要がある。
(IR universe Kure)
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