中国リチウム企業、相次ぎ減産か 価格下落で生産諦め
中国のリチウム生産企業の間で操業停止や減産の動きが出てきているようだ。2022年末から急激に進むリチウム価格の低下を受け、採算が合わずに生産を諦める事態に追い込まれている。
■生産減らし価格下落に対応
中国経済紙の証券日報(電子版)が7日までに伝えたところによると、炭酸リチウム生産を手掛ける深圳上場の江西特殊電機の関係者が、同紙に対し減産に踏み切っていることを認めた。中国では2023年2月ごろからリチウム採掘を取りやめる動きが出ており、中国江西省宜春市の雲母鉱で採掘している一部企業が操業を停止したとも伝わっていた。
MIUのプライスデータによると、中国国内での炭酸リチウム価格は3月末時点で前年同期の半値近くになった。2022年11月中旬に付けた過去最高値(1トン=59万1000元)から2023年4月6日(29万9000元)までの下落率は5割近くに達する。
過去3年間の中国の炭酸リチウム価格の推移(99.5%china)(RMB/mt)
急落の要因は電気自動車(EV)向けの需要が回復していないこととされる。中国汽車工業協会が3月上旬に発表した中国の1-2月のEV販売台数は約93万台と前年同期に比べ21%増えたが、伸び率は22年通年の93%から縮小した。証券日報によると、EVメーカーが値下げに踏み切り、最終製品価格の低下がリチウム安の背景になっているという。
■どこまで下げるのか
リチウム価格の先行きについては見方が分かれる。市場では「需要が戻る気配がない」(証券日報)との警戒が根強い。一方、7日付の中国経済紙の証券時報は「大手のガンフォンリチウムが1トン当たり最低25万元で卸価格を設定することで同業と協調した」との情報を伝えた。こうした動きを支えに、20万元程度で下げ止まるのではないかとの観測も浮上している。
一般に、リチウム採掘には1トンにつき30万元以上のコストがかかるとされる。値下がりが続けば生産を諦める企業が一段と増えるほか、電池やEVの生産にも影響するなど供給網(サプライチェーン)上の悪循環が発生する恐れも浮上している。
関連記事:リチウム市況 値下がり続く――20万元ラインが目先の節目に!? | MIRU (iru-miru.com)
(IR universe Kure)
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