太陽光パネルの適正なリユース・リサイクルへ――太陽光パネルリユース・リサイクル協会 第一回総会
一般社団法人 太陽光パネルリユース・リサイクル協会は29日、都内で第一回総会を開催した。太陽光パネルの大量廃棄が想定される2030年代半ばを見据えて、適正なリユース・リサイクルスキームの構築を進める狙いで設立された。挨拶に立った濵田篤介代表理事は、➀太陽光リユース・リサイクルにおける健全なマーケットの形成 ②リユース・リサイクルの品質基準づくり ③今後必要となる法整備において、立法機関の諮問的カウンターパートになる――と、協会運営の3つの目標を掲げた。
(濵田氏)
総会では協会会員メンバーらの紹介の後、設立記念講演が行われた。登壇者と講演テーマはそれぞれ次の通り。
➀環境省環境再生・資源循環局総務課
水谷努・リサイクル推進室長
「太陽光発電設備のリユース・リサイクルに係る環境省における取組等について」
②経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課
津田健人・課長補佐
「太陽光パネルの廃棄・リサイクルについて」
③東海大学の細田衛士副学長
「どうする太陽光パネルの2R」。
環境省の水谷氏は、アンケート結果を基に、台風等の災害発生によって廃棄パネルの回収からリユース・リサイクルに至る流れに違いが出ている現状について解説した。台風多発などの災害要因により20年度の回収量は34万3千枚(6936t)にのぼり、このうち66.5%に相当する23万1千枚(4613t)がリユースに回ったのに対し、災害が少なかった21年は回収量11万3千枚(2257t)に対し、リユースは8.4%相当の1万枚(190t)だったという。
また、パネルリサイクルにおいて、カバーガラスとセルを含むバックシートを物理的処理して分離する技術が高度なものとされる中、パネル重量の60%を占めるガラスのリサイクル促進が今後の課題だとした。
(水谷氏)
経産省の津田氏は、太陽光パネルに含まれる有害物質の情報提供をテーマに講演した。太陽光パネルには、その種類によって有害物質として鉛、セレン、カドミウム、ヒ素が含まれているが、今後大量廃棄されるパネルの有害物質情報を処理事業者などに提供するため、その情報提供を再エネ特措法の省令改正を通じ、認定基準に追加する必要性を指摘した。具体例としして、FIT・FIP制度の各認定案件の申請時にパネルの型番・含有物質の情報を登録させデータベース化し、それらを処理事業者などに提供する枠組みなどに触れた。
(津田氏)
東海大学の細田氏は、適正廃棄に比べ2R(リユース・リサイクル)の視点が欠如していることを挙げた。
再エネ促進法で「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」が創設されたが、あくまで廃棄の費用を積み立てるだけで、適正にリサイクルされるか、その点が担保されていない。さらに、処理施設に向かう正式な物流の仕組みや、積立金がそこに分配されるなどの「受け皿」が形成されていないことについても言及した。
(細田氏)
(IRuniverse G・Mochizuki)
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