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コンテナ運賃動向(2023年5月)下落基調続く国際海運市場

 先月4月25日付けの拙稿「コンテナ運賃動向-2023年4月」からはや1か月が過ぎた。この間の運賃状況とそれに影響すると思われる関連情報を世界の海事メディアで何点か拾ってみたので以下ご紹介したい。

 

アジア発北米向け運賃が依然として下落傾向

 前回同様、ノルウェーのゼネタ(Xeneta)社のコンテナ運賃情報「Xeneta Shipping Index by Compass」(XSI―C)https://xsi.xeneta.com/ 5月20日付けの情報で対象は40フィート・コンテナのスポット運賃であり、各種サーチャージも含まれたもので過去1か月間の運賃の増減を以下の表にしてみた。

 

(単位:米ドル)

 

 上記の表から分かるように、東アジア発北米西岸向の運賃下落額が286ドルと他航路と比較して大きい。同様に、Xenetaとほぼ同日のFreightos Baltic Index (FBX) の世界コンテナ運賃指標でも東アジア発北米西岸向が他の航路より大幅に下げて1,309ドルだった。

 

アジア発米国行きの荷動きと運賃

 (公財)日本海事センターが米国のPIERS(Port of Import/Export Reporting Service)注)の統計データをもとに発表している、「日本・アジア/米国間のコンテナ貨物の荷動き動向」によると、北米航路往航(米国向け)、2023年3月が20フィート換算で1,278,220個で、前年同月比33.3%減、7 か月連続のマイナスだった。特に、中国積みが前年同月比 38.9%減、ASEAN 積みが同 29.7%減少だった。米国からの復航、2023年1月は、466,945TEUで前年同月比9.4%増だった。

 

 注)PIERS(Port of Import/Export Reporting Service):世界最大の海上貿易データべースで、米国のIHS Markitが運営。米国税関から入手した米国港湾に入出港する船舶からのB/L情報を生データ入力し、国連のデータ等と併せて検証、分析、その内容には定評がある。

 

 2023 年 3 月の北米往航(アジアから米国)運賃指数は、前年比 78.0%減の 2,443 ドル/40ft で 10 か月連続のマイナスだった。 北米復航(米国からアジア)運賃指数は、前年比 24.8%減の 1,367 ドル/40ft で 8 か月連続のマイナス。

 

日本発の運賃はどうか?

 

(単位:米ドル)

 

 上の表からも分かるように、日本発の運賃も千ドルを超えて下落している。また、以前の拙稿でも度々書いたが、アジアの他地域発と比較すると日本発は依然として割高。

 

 また、日本に関して気になる最近の動きは、海運大手のマースクは5月17日、スイス船社MSCとの定航アライアンス「2M」で運航するアジア―北米航路「TP8」(中国、青島と米国西海岸、オークランド間)で東京への寄港を休止すると発表した。東京への直航便として、競争力のあるトランジットタイムを提供していただけに残念。

 

 総じて、今後は中国発の輸出コンテナ需要の回復がいつになるのか、夏なのか或いは秋にずれ込むのかが大きな焦点となってくるし、それによってコンテナ運賃の底打ちが広く認識され、世界経済の善の巡環になることを期待したい。

 

現コンテナ運賃のBIMCOによる分析

 

 5月25日付けのギリシャの海事メディアSafety4Seaによると、コンテナ運賃がコロナ禍において70-80%下落し、需給バランスが悪化したにもかかわらず、定期コンテナ船運航社の現在のコンテナ運賃(スポット)はコロナ禍前の2019年の水準より32%高いとの分析を世界の商船隊の60%の船主を代表するBIMCO(デンマーク、コペンハーゲン)が発表と報道。

 

 この高水準維持の主たる原因は、運航各社による減速航行、減便と不稼働船の増加にあるとのコメントを付け加えている。

 

余剰コンテナの整理に追われるコンテナ船社

 

 2020年に拡大発生したコロナ禍がもたらした世界的な物流網の混乱、特に都市と港湾の封鎖、感染拡大による港湾作業員の不足によって、コンテナ貨物が港湾に滞留した。海運会社もコンテナ船を減便させたため、空のコンテナが数多く港に滞留し、輸出地でコンテナ不足が慢性化したのは記憶に新しい。それとは真逆の現象が今起こっているようだ。

 

 5月25日付けの英国イーザインThe Loadstarによると、コンテナ需要減に対処すべくコンテナ船社がとってきた減便と減速運航は世界のコンテナ・デポで行き場を失った空コンテナが積み上がり、保管料の大幅上昇を招いていると伝えた。コンテナ運賃の下落による収入減に苦しむコンテナ船社にとって経費節減は至上命題であり、余剰コンテナの中古市場への放出とコンテナ・リース会社へのコンテナ返却に奔走中と伝えている。

 

 更に、The Loadstarは英国の海事コンサルタントのDrewryによるコンテナの製造・リースに関する調査報告の結果として、「コンテナ製造は過去14年間で最低レベルにまで低迷する可能性が高く、その結果、中国のいくつかのコンテナ製造工場が閉鎖されたり、大幅に生産水準を下げて稼働している。」とのコメントを引用した。

 

 また、同メディアはコンテナの製造、販売、リース、再利用、特に空コンテナをどのように迅速・効率的に次の顧客に再配置させるのかといったデジタル情報を提供しているドイツのハンブルグに拠点を構える民間コンサル企業のContainer xChangeの関係者のコメントを紹介しており、「増大する空コンを収容できる十分なスペースが確保できないコンテナ・デポが増えている。」とのことだ。

 

パナマ運河通航制限

 

 更に気になる動きとして、パナマ運河庁(ACP)は、水不足によりネオパナマックス船 注)の喫水制限を実施すると5月18日発表、通航船舶に対して、19日(水)から喫水制限(最大許容喫水50フィートから47.5フィート:約1.5メートル)を実施する旨。ACPは「今期の降雨は例年に比べ不足気味で、3月に運河を通航したネオパナマックス船は全体の27.76%占め、コンテナ船44.7%、ガス運搬船25.4%、ばら積み船13%などの構成となっていた。

 

 注)ネオパナマックス(Neo-panamax)船:2016年のパナマ運河拡張工事以降の新設閘門を通過できる最大サイズとして作られた船。最大喫水15.2m、船幅49m 以下、載貨重量トン8~12万重量トン位の船。長さは最大366m。

 

 既に、3月下旬に影響が想定される対象船舶には通知済とのことで、また、パナマ国立水道局(Idaan)も「いくつかの国内浄水場では貯水水位低下により稼働が止まっている。2023年に水不足が更に深刻になった場合に備えて、飲料水の合理的な使用を呼びかけている」と発表していた。

 

 2022年度のパナマ運河通航量は1万4,000隻以上で、政府の年間歳入は25億ドル(約3,300億円)に上ったとのことだが、ACP当局は、今後渇水が長期化すると航路を変更する海運会社が出てくることをもっとも懸念している模様。

 

 これに関しては、筆者が最近得た情報によると、昨年の米国西海岸港湾での混雑と労使交渉のもつれ等から西岸港湾を避け、パナマ運河通行料を払ってでも東海岸のサバンナ、チャールストン、ニューヨークにコンテナ船を迂回させた事例が多数あり、ニューヨークなどは其のお陰でコンテナ取扱高が増えロスアンゼルスを抜いた。それら東岸の港湾に加え、メキシコ湾岸の港湾、例えば、ヒューストンも最近コンテナターミナルの増強・拡大を実施している模様。

 

 今後のパナマ運河情勢に注視しながらも、米国内の港湾間競争が更に激しさを増すことも想定されるが、荷主とフォワーダーにとっては選択ルートのオプションが増えかなりのプラスと思われる。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

 

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