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特別講演会『2021年の中国チタン工業の状況』 @日本チタン協会

 『より多く、より広く、より便利に世界中でチタンを使ってもらえるようにする』ため、チタンの適用拡大、需要開拓に向けて取り組んでいる一般社団法人日本チタン協会は、2023年5月25日に東京・神田の学士会館にて、2023年度通常総会・講演会・交流会を開催した。

 

 講演会は指定席制をやめ、交流会も久しぶりの立食ブッフェ形式となった。

 

 役員改選では、廣瀬孝会長(日本製鉄副社長)が退任し、第二副会長の山尾 康二氏(東邦チタニウム株式会社 代表取締役社長)が新会長に選出された。

 特別講演会に先立ち、山尾新会長が挨拶された。

 

 製品の付加価値の向上を図るべく、日本チタン協会としては、チタンの需要の創出、用途拡大を推進する上で、産業事故防止の徹底、産官学の連携によるチタン産業の地盤強化、チタンの国際標準化の取組を進めるとともに、各産業への展開を進め、チタン産業の認知度を高めていきたいと、チタン産業の発展に尽力される旨を挨拶された。

 

 

 専務理事には神戸製鋼所出身で日本チタン協会事務局長の村上 仁氏が就任した。

 

 村上 仁専務理事・事務局長が司会進行を務めた。

 

 

日時、会場及びプログラムは下記のとおりであった。

1.日 時  2023年5月25日(木)16:15-17:20[交流会(201号室)〜19:00]

2.会 場  学士会館 202号室 東京都千代田区神田錦町3-28

3.プログラム

15:00~16:00 通常総会、第338回・第339回理事会                

16:15~16:20 山尾新会長ご挨拶[東邦チタニウム(株)代表取締役社長]

16:20~17:20 特別講演会 伊藤喜昌氏[(一社)日本チタン協会 コンサルタント]

 

交流会 開会あいさつ 加藤丈晴新副会長[(株)神戸製鋼所 執行役員]

    乾杯発声 寺井 建新副会長[日本製鉄(株)参与 チタン事業部長]

    中締め 高田雅章新副会長[神鋼商事(株)執行役員]

 

特別講演会

『2021年の中国チタン工業の状況』

 伊藤喜昌氏は、2021年の世界のチタン産業、中国チタン工業の発展現況、中国チタン産業の経済活動及び中国チタン工業における未解決の問題点と対策について講演された。概要を紹介する。

 

1.2021年の世界のチタン産業

 2021年の中国のチタン(酸化チタン換算)の産出量は、285.7万トンと世界の産出量827万トンの約1/3を占める。

 

 中国は、2011年に酸化チタン生産量世界一となった。2位は南アフリカの100万トン、3位はモザンビークで97万トン。以下、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、ウクライナと続く。

 

 2021年の世界のスポンジチタン生産量は、227,229トンで、中国が139,929トンと半分強を占める。その他の国は、日本が36,563トン、ロシア27,000トン、カザフスタン16,000トン、ウクライナ5,400トンの順となる。

 

 中国は、2008年にスポンジチタン及びチタン展伸材生産量世界一となった。

 

<スポンジチタン製造>

 中国の2021年のスポンジチタン生産量は、13万9,929トンであった。

 

 中国はスポンジチタンを1958年に製造開始し、2011年には生産能力は128,500トンまで達した。その後一時(2015年~2017年頃)過剰生産の抑制によって生産能力を15万トン台から10万トンを下回るまで落とした時期もあったが、2022年の生産能力は22万5千トンまで順調に上昇し、生産量は17万5千トンに至っている。

 

 中国では、スポンジチタン生産会社の上位5社の生産量合計が、全生産量の6割を占める。

 2021暦年実績では、攀鋼集団鈦(チタン)業(四川省)が24,271トン(17.3 %)、朝陽金達鈦業(遼寧省)が17,786トン(12.7 %)、洛陽双瑞万基(河南省)が20,000トン(14.3 %)、貴州遵義が15,670トン(16.7 %)であった。

 

《製造メーカーの分布》

 中国のスポンジチタン製造メーカーは、遼寧省、貴州省、河南省、四川省及び雲南省に分布している。雲南省の雲南新立有色金属は2000年に入ってから設立された。

 

[参考情報:我が国におけるチタンの状況:スポンジチタンの統計推移(暦年)]

 日本の金属チタンの生産量について振り返ってみると、日本では1952年(昭和27年)にスポンジチタンの国産化に成功し、1954年には展伸材の工業生産も開始した。

 

 かつては、日本でも数社がスポンジチタンの製造に携わったが、現在は大阪チタニウムテクノロジーズと東邦チタニウムの2社である。

 チタン協会集計値による日本のスポンジチタンの生産及び出荷推移を参考に図1に示す。

 生産量が60,000トンを超える年もあったが、現在は下回っている。

 

図1 日本のスポンジチタンの生産及び出荷推移

 

 スポンジチタンの出荷量は、2019年には過去最高の60,737トンを記録した後、2020年に入ってから新型コロナ感染拡大影響による航空機大幅減産に伴い、特に米国向け輸出が急減して、2020年は34,098トン(前年比60 %減)にまで急減した。2021年には航空機生産の回復(単通路機)による米国向け回復、中国向け増などのよって、43,488トンまで増え、完全に底を打った。

 

 さらに、ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁(ボーイングがロシアのチタン製品の購入を停止)等により米国展伸材メーカーからのスポンジチタン引き合い増などにより、日本スポンジメーカーの稼働率は極めて高くなってきている。直近の出荷量は2022年1-11月では国内向け16,645トン、輸出は32,549トン、計49,194トン(年換算54,000トンペース)まで急回復している。

 

<チタンインゴット>

 2021年、中国のチタンインゴットの溶解量は、121,303トン(溶解メーカー25社)

 

<チタン展伸材製造>

 2021年、中国のチタン展伸材の製造量は、135,941トン(メーカー29社)と過去最高記録となった。

 板材が70,130トン、棒材が24,974トン及び管材が15,402トンであった。

 用途別では、化学が58,591トン(46 %)、航空宇宙22,450トン(18 %)

 

《製造メーカーの分布》

1.陜西宝鶏地区(中国チタンバレー):宝鶏鈦集団、西北有色金属研究院が中心企業約600社、技術者1.7万人、労働者4万人以上

2.四川雲南地区(中国緑色新チタンバレー):最も新しいチタンバレー(2012年以降成長)

3.広東江浙地区(珠江三角州):広州、香港、深圳市、マカオを結ぶ三角地帯

4.東北鈦谷(遼寧省エリア)

 

《産業構造》生産量は、年々、約1.5倍増えている。板材(50%)、棒材(18%)が主体

 2019年からの産業製品推移を下記表に示す。

 

《需要(用途)》化学工業が47 %、航空宇宙が18 %を占める。その他、医療、船舶、冶金、電力が3~5%

 

[参考情報:我が国におけるチタンの状況:インゴット及び展伸材の統計推移(暦年)]

図2 日本のインゴット及び展伸材の出荷推移

 

 日本の展伸材の出荷量推移については、5年間連続で増加を続け2018年には、18,922トンまで増えたが、2019年は16,303トン(前年比86 %)と減少に転じ、2020年は12,544トン(前年比77 %)にまで減少した。2021年は月ベースで底を打ったものの年ベースでは11,834トンに留まった。2022年には、国内向け5,298トン、輸出8,905トン、計14,203トンまで回復してきている。21暦年を2,400トン超えた。

 

 日本チタン協会がまとめた2022年(1月~12月)の国内チタン展伸材出荷量は前年比20.0%増の1万4203トンとなった。船舶などに搭載されるプレート式熱交換機(PHE)向けなどの大口分野において、コロナ禍で落ち込んでいた需要回復が本格化し、3年ぶりのプラスとなった。

 

 全体の6割に当たる輸出は24.9%増の8,905トンとなった。輸出の半数を占めるPHE向けは24.2%増の4,341トン。大きく回復し、過去2年間は届かなかったコロナ禍前の19年実績(3,832トン)を上回る高水準だった。

 国内向けは12.7%増の5,298トンだった。国内向けでは最大分野の電解が10.5%増の1,437トンとなり、コロナ禍前の19年(1,319トン)並みの水準に回復した。

 22年12月単月では、前年同月比30.1%増の1,350トンとなり、9か月連続でプラスだった。

 

《中国政府の政策》チタン産業を重要視して優遇している。

電気料金の高騰に対して、電力価格上昇の上限を規定し、チタンスクラップ、スポンジチタンの正常な生産を保証している。

  • 高チタンスラッグ産業⇒大規模な設備と自動化のペースが加速
  • チタン化学産業⇒高い成長の勢いを維持、高級塩化、二酸化チタンの生産量の更なる増加
  • スポンジチタン産業⇒ハーフプロセス企業から完全プロセスに移行を指導
  • 展伸材産業⇒製品ラインを更に改善するよう主導的な役割を政府が担っている。

 

《チタン鉱石市場》

 中国のチタン原料の対外依存度は約40%→チタン鉱石の輸入を増やし、需要に対応する。

 

《中国チタン工業の未解決の問題点》

  • 海外チタン原料への依存度が高すぎる。
  • 高品質スポンジチタンの急速需要に追い付いていない。
  • チタン展伸材の品質向上が必要
  • 新しい応用分野に関する生産技術詳細とマニュアル不完全

《中国チタン工業の未解決の問題点に対する対策》

  • 企業が海外資源を開発し、高品質の資源をタイムリーに確保する。
  • スポンジチタンとインゴットの全体的な生産工程レベルを調整する。
  • 業界全体のレイアウトを合理的に導ぎ、建設の重複と低レベルの競争を避ける。
  • Ti及びTi合金の新分野への応用分野・部門を超えて共同で推進する。

 

交流会のようす

 

 

 交流会の開会あいさつをされる加藤丈晴新副会長。チタン協会事務局の木村欽一氏及び一部報道を除いてマスク姿は見られない。

 

 

 寺井 建新副会長による乾杯の発生。大きな声でとおっしゃって乾杯となった。手前写真左は、司会進行を務められる村上事務局長。

 

 

 和気あいあいと交流中の皆様。 左は、特別講演をされた伊藤喜昌氏

 

 明珍火箸の第53代当主宗敬氏も日本橋高島屋で開催中の伝統工芸展から駆け付けられた。

 

チタン協会事務局 木村欽一氏(写真左)と第53代 明珍宗敬氏(右)

 

 

 円盤状に打ち抜かれたチタンの板(写真右)を、中央の写真のように鍛錬によって形作り、左のチタンの“おりん”を製造されている。

 チタンの酸化皮膜で美しく金色に輝く、音色が響きわたるおりんである。

 チタンの火箸風鈴及び花台も人気である。

 

 

 2023年度 特別講演会・交流会への参加企業は下記のとおり。

 

賛助会員:ELGジャパン(株)、(株)アロイ、北産業(株)、神鋼鋼線工業(株)、双日エアロスペース(株)、大和化成(株)、トーホーテック(株)、東京ステンレス研磨興業(株)、(株)東京チタニウム、日鉄工材(株)、(有)明珍本舗、森松T&S(株)、森村商事(株)。

 

正会員:(株)大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム(株)、(株)神戸製鋼所、日本製鉄(株)、大同特殊鋼(株)、三井物産メタルズ(株)、住商メタレックス(株)、アルコニックス(株)、神鋼商事(株)、日鉄物産(株)、阪和興業、愛知製鋼、伊藤忠メタルズ(株)、伊藤忠丸紅鉄鋼(株)。

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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