工作機械工業会5月受注速報 5月22.2%減の1193億円と減少加速、当面弱含み続く状況
工作機械5月受注は1193億円(22.2%減)、5ヶ月連続で内外ともに減少続く
6/12の15時に日本工作機械工業会の2023年5月受注速報が開示された。5月受注は1193億円(同月比22.2%減)と5ヶ月連続減、内外共に5ヶ月連続減、2021年2月の1056億円以来の低い数字となった。同月比で20%を超す減少となったのも2020年8月の23.2%減以来の落ち込みとなっている。なお確報は6/20公表予定。
内訳は外需が817億円(同月比21.3%減)と中国の景気回復遅れ等で5ヶ月連続減、3ヶ月連続で2ケタ減、2021年8月の813億円以来の低水準に。なお5月としても2014年5月の837億円に次ぐ歴代6番目の金額に止まった。内需は376億円(同24.0%減)と9ヶ月連続で同月比減少、8ヶ月連続で500億円に達せず、2021年5月の332億円以来の低水準で、内需の弱さが継続している。
全体として世界的な景気減速感、金利上昇などの影響に加え、従来牽引していた半導体向けの反動減なども影響が継続している。当面受注について弱含む展開が続くとみられるが、年後半には自動車生産増、半導体設備投資の再拡大の方向性も見えると思われ、秋口には受注のボトムを確認する動きとなろう。
鍛圧機械5月受注は0.7%増252億円で国内17.4%減も海外17.2%増で補う
工作機械と同じ金属加工機械である鍛圧機械の5月受注(6/8発表)は252億円(0.7%増)となった。経済環境が不安定で、全体的に弱含みの状況が続いている。国内が98.78億円(17.4%減)となった。内訳は自動車関連、鉄鋼、一般機械が減少。輸出は153.12億円(17.2%減)と、昨年11月の154.59億円以来の150億円乗せに。インド向けが13.3倍と大型受注で大幅増、北米も4.2倍、一方、中国、韓国・台湾など減少に。機種別ではプレス系が164.3億円(7.1%増)、大型プレス66.3%増、油圧プレス17.1%増などで、プレス系で大型案件があった。板金系は87.6億円(9.5%減)と、パンチング40.2%減、レーザプラズマも10.3%減と不振だった。
4月工作機器生産額は14.1%減の156.4億円と5ヶ月連続減少し減少率も拡大
工作機械に関連する工作機器では、日本工作機器工業会が6/12に発表した23年4月の生産額は156.4億円(14.1%減)と5ヶ月連続同月比マイナスとなり、減少率も拡大している。主力ボールネジが26.17億円(24.7%減)と20%超の減少が継続している。直動軸受も49.98億円(20.0%減)と同様な動きに。両製品とも工作機械に加え、受注急落の半導体製造装置向けなどの影響を強く受けての生産額急減となっている模様で、今後、マイナス幅が拡大する懸念がある。
米国4月の金属加工機械受注は38.7%減の3億3670万ドルで21年1月以来の低水準
AMT(米国製造技術協会)が発表した米国の4月金属加工機械受注(6/12発表)は3億3670万ドル(同月比38.7%減)と大幅な減少となり、2021年1月の3.28億ドル以来の低水準となった。最大顧客層のジョブショップからの受注が39%弱減少、月次のジョブショップからの月次受注として2017年1月以来最大の減少となった。また3月に大口受注を獲得していた自動車向けも大幅減となった。金利高、インフレ進行、景気後退懸念の中で企業の設備投資意欲が減退、特に価格と金利の圧力を受ける中小企業をユーザーとするジョブショップからの受注減少が続く見通しにある。
(H.Mirai)
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