豪政府、重要鉱物の産業育成に5億ドル拠出へ 2030年までの長期計画発表
2023/06/21 12:36
オーストラリアの産業科学資源省は6月20日、ホームページ上で、2023年~2030年までの鉱物資源政策を発表した。リチウムなどのレアメタルやレアアース(希土類)を巡り、加工を含めた産業育成に向けて総額5億ドルを支援する。
新政策では、(1)強固で安全なパートナー国との協調を通じた、多様かつ強靭で持続可能なサプライチェーン(供給網)の構築 (2)重要鉱物資源の加工能力の向上(3)再生エネルギーのリーダー国としての重要鉱物資源の利用(4)地下資源の付加価値向上による地域住民や先住民の雇用機会拡大― を基本方針とした。
同省のキング資源省が発表資料に寄せたメッセージによると、具体的には、米国、英国、日本、韓国、インド、欧州連合(EU)といったパートナー国との連携に向け、投資や開発企業・機関を誘致するための新規事業を立ち上げる。また、高付加価値の資源開発促進における再生可能エネルギーや低排出技術利用について、10億~30億豪ドル規模の基金の利用を可能にする。高度人材の移民受け入れなども増やし、加工分野の能力向上も支援していく。同省は、鉱物資源の輸出を増やすことで約26万人の新規雇用の拡大が望めると試算した。
豪州はリチウムなどの世界的な産出国。5月の主要7カ国(G7)などを経て、欧米諸国が重要鉱物資源の過度な中国依存からの脱却を急ぐ流れでの発表となった。6月20日はEUの欧州委員会も初の経済安全保障戦略を発表し、対中国を視野に「デリスキング(脱リスク)」姿勢を打ち出している。一方で、中国の李強首相は同日、訪問先のドイツでショルツ独首相と会談し、経済協力などを話し合った。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2024/04/27 タングステン輸出入Report#90塊粉線くず輸出 2024年タングステンくず輸出大幅増加中
- 2024/04/26 【貿易統計/日本】 2024年3月のレアアース(希土類)輸出入統計
- 2024/04/26 【貿易統計/日本】 2024年3月の酸化コバルト輸入統計
- 2024/04/26 【貿易統計/日本】 2024年3月のスポンジチタン輸出入統計
- 2024/04/26 貿易統計(24年3月):スポンジチタン輸入量は5ヵ月連続で増加
- 2024/04/26 貿易統計(24年3月):スポンジチタン輸出量2ヵ月連続で増加
- 2024/04/25 チリのリチウム開発、政府主導の色強める 中国企業の関与は当初想定よりも縮小か
- 2024/04/25 6/19-20 MIRU Rare earth Symposium in Tokyo with 2024 REIA Annual Conference & JOGMEC
- 2024/04/24 生産動態統計(24年2月):耐火物レンガ
- 2024/04/24 6月19日‐20日開催 レアアースシンポジウム in Tokyo 講師紹介 東京大学大学院工学系研究科長・工学部長/教授 加藤 泰浩氏