国際自動車リサイクル会議(IARC)その2 ELV指令改正がもたらす関連業界への影響について議論
21日にスイス・ジュネーブで始まった国際自動車リサイクル会議は、初日セッション終了後、会場となっているインターコンチネンタルホテルでネットワーキングディナーが開催された。
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今回のディナーテーマは「トロピカルナイト」。参加者は花柄のシャツやドレスの着用が奨励される。プールサイドで始まったカクテルでは、会場入場時に参加者の首にはハワイアン・レイがかけられた。その後でディナーに移り、最後はダンスパーティーと盛り上がりを見せた。(写真参照)
会議2日目22日は、欧州委員会環境総局から担当者のJaco Huisman氏を迎えELV指令改正がもたらす関連業界への影響をテーマにした議論が欧州の自動車関連業界団体や生産者責任組織などから参加者を交えて行われた。
担当者のHuisman氏から、欧州委員会による提案書(法案)の発表が7月の2週目に予定されていることが明らかにされた。発表を前に詳細には触れられないとしながら、以下のような新法案の主要項目の概要説明があった。
- 循環性を促進する設計に関する要件強化
- 再生材の使用(カッパー、スチール、プラスチックなどの再生材含有ターゲットの設置、プラスチックについてはポスト・コンシューマー由来)
- リサイクルの質向上(処理法における要件、解体手順における要件など)
- 拡大生産者責任の強化(これまでとは異なるアプローチにより加盟各国におけるスキームの設置、財政面での責任の明確化)
- 回収率の向上(自動車の輸出・貿易におけるトレーサビリティの改善・登録システムの改善)
- 規則の適用範囲の拡大(バイク・トラック・バスも対象)
スペインの自動車業界団体からは、自動車のデジタルパスポートの導入における業界の基本的な立場が表明された。自動車業界はすでにIDISなどのデータ共有システムを構築しているため、デジタルパスポートとの相互互換性や更なる投資の必要性、データの安全性などについて懸念を示している。フランスの自動車業界団体からは、EUレベルの規制改正に先駆けて、国内における拡大生産者責任組織が強化されることが説明された。欧州リサイクル協会(EuRic)からは、リサイクラーからの規制要件への「希望リスト」が提示され、加盟国間における準法状況の格差改善、中古車と使用済自動車の定義の明確化、現行の登録システムの改善、拡大生産者責任スキームの改善(特にコスト負担に関する要件の明確化)などが挙げられた。
プレゼンテーションでは、大手自動車リサイクラーLKQやスウェーデン Autocirc から、リユース・リファービッシュへなどへの取り組みなど欧州の自動車解体業の現状が発表された。午後のセッションでは、リサイクル技術に焦点が当てられ、最新の原料回収技術、回収率を引き上げる精製技術や、ドイツ研究機関から今後必要となる燃料電池のリサイクル技術などが発表された。最後のセッションは、リサイクル業界の全体の大きな課題の一つであるプラスチックリサイクル技術をテーマに、BASF・オランダSABIC ・ベルギーEastmanから発表があった。内容の詳細は追ってレポートする。会議セッションは本日で終了し、明日24日はワークショップとプランとツアーとなっている。
なお2024年のIARCはベルギーのアントワープに決定した。
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SCHANZ, Yukari from Geneva, Switzerland
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