6月の銅の概況及び7月の見通し橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 8000-9000ドル →
建値 120万-135万円 →
為替 140~145円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半、5月の米雇用統計で、市場は非農業部門の雇用者数が19万人程度増えたとの予想、などのマイナス材料もあったが5月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数は50.3と前月(51.9)から低下した。改善を見込んでいた市場の予想(52.3)に反する結果だったこと、米FRB6月のFOMCで利上げを見送りったことを好感しUP。
6月15日時点で8457ドル(セツル)と月初価格より440ドルUPの締め。
後半はNYダウが年初来高値を更新し、2022年12月以来、半年ぶりの高値を付けたこと、ニューヨーク連銀の5月の消費者調査における1年先の期待インフレ率は4.1%と、約2年ぶりの低水準だったことなどのプラス材料あったが中国の企業収益懸念やFRBの追加利上げ予定による経済成長と金属需要減少観測、28日閉幕した欧州中央銀行(ECB)主催のポルトガルでの国際金融会議は、米欧英の中銀トップがインフレ抑制へ強い決意を表明を嫌気しDOWN
月末日 後半スタート価格から396ドルDOWNの8165ドル。
7月スタート建値は126万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
140.19 → 145.99(円)
出典 MIRU
【国内指標】
【自動車生産】
生産動態統計によると5月の自動車生産台数は前年比+49%の59万532台
輸出は前年同月比+49.7%の28万614台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると6月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+31.5%の25万9794台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
5月の新設住宅着工は,持家は減少したが、貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比3.5%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比11.8%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 69,561 戸。
・前年同月比 3.5%増, 4か月ぶりの増加。
○新設住宅着工床面積は 5,487千㎡。
・前年同月比 1.4%減, 4か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 862千戸。
・前月比 11.8%増, 先月の減少から再びの増加。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
【輸出】
電気銅 +20.7%の6万905t
スクラップ +8%の3万688t
輸出推移
【輸入】
電気銅 +48 %の1049t
スクラップ -33.7%の9607t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
5月伸銅品生産量の速報値は4万9,920トン、前年同月比16.8%減少し、17か月連続のマイナスとなった。5万トンを下回ったのは、2020年8月以来である。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+4.2%の4万4700t
うち 国内+4.3% 輸出が -2.1%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
【自動車生産】
生産動態統計によると5月の自動車生産台数は前年比+49%の59万532台
輸出は前年同月比+49.7%の28万614台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると6月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+31.5%の25万9794台
内 乗用車 +33.6%
貨物 +17.7%
バス +127.5%
【住宅着工戸数】
5月の新設住宅着工は,持家は減少したが、貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比3.5%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比11.8%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 69,561 戸。
・前年同月比 3.5%増, 4か月ぶりの増加。
○新設住宅着工床面積は 5,487千㎡。
・前年同月比 1.4%減, 4か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 862千戸。
・前月比 11.8%増, 先月の減少から再びの増加。
【伸銅品生産】
5月伸銅品生産量の速報値は4万9,920トン、前年同月比16.8%減少し、17か月連続のマイナスとなった。5万トンを下回ったのは、2020年8月以来である。
14品目中13品目において前年同月実績を下回った。久々に5万トンを下回ったが、5月の連休による稼働日数が少なかったことも一因にあり、稼働日数で割ると前月と同じだった。
伸銅品の需要は、半導体関連が車載向け引き続き好調だが、それ以外が低調である。また、民生用や自動車用の端子は在庫消化が進まず、伸銅品の生産につながる新規の需要が生まれていない。
銅条
同比9ヶ月連続マイナス。2020年以来の少ない生産量となった。ただ、1日あたりの生産量としては、4月と変わらず、連休による稼働日数の少ないことも要因となっている。車載向け以外の半導体が低調である。中国向けの民生用コネクタの在庫消化が終了するとの情報もある。
黄銅棒
同比17ヶ月連続マイナス。住宅設備向けは、新規住宅分が伸びない。自動車関連のバルブは中間在庫などがまだ残っており良くない。
【電線】
前年比+4.2%の4万4700t
うち 国内+4.3% 輸出が -2.1%
【輸出】
電気銅 +20.7%の6万905t
スクラップ +8%の3万688t
【輸入】
電気銅 +48 %の1049t
スクラップ -33.7%の9607t
【見通し】
【自動車】
5月の自動車生産が+49%。6月国内販売台数が前年比+31.5%
5か月連続 生産,販売 共に回復の兆しあり今後に期待
【伸銅品生産】
5月伸銅品生産量の速報値は4万9,920トン、前年同月比16.8%減少し、17か月連続のマイナスとなった。5万トンを下回ったのは、2020年8月以来である。
14品目中13品目において前年同月実績を下回った。久々に5万トンを下回ったが、5月の連休による稼働日数が少なかったことも一因にあり、稼働日数で割ると前月と同じだった。
伸銅品の需要は、半導体関連が車載向け引き続き好調だが、それ以外が低調である。また、民生用や自動車用の端子は在庫消化が進まず、伸銅品の生産につながる新規の需要が生まれていない。
【電線】
前年比+4.2%の4万4700t
うち 国内+4.3% 輸出が -2.1%
中国スマートフォンやデジタル家電の低調はあるものの自動車生産が堅調に伴い増加 今後に期待。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】今月銅建値が118万から128万と上昇傾向だった
在庫は伸銅品生産減 発生減から在庫薄
需要面に関しては今月も自動車生産販売の回復から一定の需要は出るが スマホ。エアコン需要の回復が遅れているため需給は低位安定
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
1、米FRB利上げ停止後の金融政策
2、中国景気回復の動向
1に関しては
英国 カナダ ECBが利上げを継続してること、米経済指標や失業率を見る限り利上げ停止の材料は見当たらない。
2に関して
米中摩擦や中国経済指標の低迷、不動産市況の低迷から早期回復はないとの見解
これらを踏まえた5月の銅価格は 8000-9000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は140円~145円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては120万-135万円程度と予測している。
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