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全固体電池は次世代の競争のカギになるか

 最近、トヨタ、ホンダ、日産を含む日本の自動車メーカーが次々と全固体電池の研究開発と商用化のスケジュールを発表し、業界の注目が再び全固体電池に集まっている。

 

 技術面から見ると、全固体電池技術は電気自動車の充電時間を短縮し、走行距離を大幅に増やすことが期待されている。現在、中国、ドイツ、米国を含む多くの国のメーカーが全固体電池技術を展開している。次世代電池の発展経路の1つである全固体電池は、将来の電気自動車応用の主流技術となるだろうか。

 

1、日系企業が追い越そうとしている

 

 6月末、トヨタはパワーバッテリー関連技術を高らかに披露した。中でも、固体電池への布石は注目に値する。トヨタは2027年から2028年の間に、全固体電池の電気自動車への実用化を実現する計画を打ち出している。

 

 トヨタ以外の日本の他の自動車メーカーもすでに全固体電池の技術レイアウトを発表している。このうち日産は2024年に全固体電池を量産するための生産ラインを日本に建設し、2028年には独自開発の全固体電池を搭載した電気自動車を市場投入する計画だ。ホンダは2020年、高エネルギー密度の全固体電池のプロトタイプを開発し、2024年春に全固体電池の生産ラインを稼働させ、2025年以降に新モデルに全固体電池を採用する計画を発表した。

 

 トヨタ、日産、ホンダのすべてが「リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)」に加盟している。2025年までにエネルギー密度500Wh/kgの固体電池の開発を目指しており、日本の複数の材料・自動車・電池企業がLIBTECに参加している。日本政府は2018年、同組織に16億円の支援を行った。最近では、経済産業省が全固体電池の開発・生産を促進するため、トヨタとグループ会社に1178億円の補助金を出すと発表した

 

2、中国の電池技術は依然として優位にある

 

 中国電池産業研究院の呉輝院長は、「世界はいずれも固体電池を未来の電池技術発展の方向の一つとしている。しかし、現在の全固体電池の最も重要な一部の問題は解決されていないため、産業化のプロセスの面から、世界各国に明らかな差はない」と述べた。

 

 一方、先ごろ行われた2023年中国自動車フォーラムにおいて、寧徳時代新能源科技股份有限公司の呉凱首席科学者は、「全固体電池には現在、解決が待たれる核心的な問題がある。トヨタが今、全固体電池を量産できると言えば、疑念を示す。しかし2027年までには、私も予測できない。トヨタはコスト半減と言っているが、標的の分母がいくらなのか、外部にはわからない」と、トヨタの固体電池計画への疑問を率直に語った。

 

 もう一方、ある日本の自動車メーカーに就職したアナリストは、「中国企業は電池分野で飛躍的な発展を遂げている。現在、中国の電池メーカーは新材料、新技術に注目を向けている。日本が新型電池の開発スピードを維持できなければ、市場競争で劣勢になり、利益を圧迫することになる」との見方を示した。

 

 呉輝院長によると、日本の自動車メーカーはこれまで戦略の選択にミスを犯し、リチウム電池の発展期を逃してきた。水素燃料電池乗用車も大規模に普及する見通しはたっていない。そのゆえ、日本の自動車メーカーは次世代電池である全固体電池に力を入れるしかない。

 

 ある業界関係者は、中国や日本のほか、欧米や韓国も固体電池に力を入れていると指摘する。中国科学院院士で清華大学の欧陽明高教授は、「現在世界ではすでに多くの人が全固体電池技術の革新運動に投入されているが、人工知能技術の登場に伴い、新材料の探索効率が向上し、開発期間が短縮された。世界的な努力により、全固体電池は成功を収めることができる」と述べた。

 

3、新技術の応用は秩序ある推進の必要がある

 

 中国工程院の孫学良院士は今年6月、「中国は近年、準固体・半固体電池の研究で世界をリードしており、全固体電池の分野でも中国は非常に良い発展のチャンスを持っている」と公表した。

 

 東呉証券の研報によると、自動車メーカーは固体電池を採用しており、安全性が短期的な駆動要因となり、エネルギー密度が長期的な駆動要因となる。半固体技術は2023年に小ロットの積み込みを開始する予定で、全固体電池の商業化にはなお5-10年かかる。現在、中国の半固体電池の発展は比較的良好で、衛藍、清陶、鋒リチウム、輝能など多くの主要固体電池企業はいずれも酸化物・固液混合電池技術の推進に力を入れており、一般的に2023年に半固体電池の量産車搭載を実現する。

 

 2022年12月に発売される嵐図追光は、自社開発の電池システム「雲母」を採用し、搭載する電池パックには業界初の量産車搭載の半固体電池を採用している。これは業界初の半固体電池搭載電気自動車でもあるという。上海汽車集団は今年6月、清陶能源に追加投資して固体電池技術の配置を深化させることを提案した。衛藍新能源は6月末、蔚来に固液混合電解質を採用した新電池を納入し、1回の充電で1000キロ以上の航続が可能となった。

 

 中信建投の研究報告によると、固体電池は安全性の一部の優位性を発揮・強化し、エネルギー密度の優位性の獲得を目指し、倍率、サイクル寿命、技術性をさらに最適化すれば、その優位シーンにおけるコア潜在顧客を強化できる。性能とコストが飛躍的に向上すれば、その市場余地は拡大し、リチウム電池の重要な技術路線となり、2025年までに世界の各種固体電池市場は1000億元規模に達する可能性がある。

 

 呉輝院長は、「全固体電池は2030年頃には量産車搭載が可能で、前期には先に家電分野に応用されるだろう」と予想した。ある業者は、「固体電池が産業化を実現すれば、高エネルギー密度で安全性に優れているという優位性がEVの発展をさらに後押しするだろう。しかし技術的な問題が解決できなければ、これらの優位性は体現できない」と話した。

 

(趙 嘉瑋)

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