中国経済、厳しさ鮮明 不動産が一段の悪化、融資も急減 7月指標一覧
8月15日までに発表の中国の経済指標は同国景気の悪化が鮮明化しつつあることを示す内容となった。不動産開発投資額は1-7月に前年同期比8.5%減少し、減少率は1-6月の7.9%から拡大した。不動産市況の低迷を背景に鋼材をはじめ材料需要の低迷も続きそうだ。
中国の2023年の主要経済指標
(注)単位は新規融資以外は前年同期比増減で%、固定資産投資と不動産開発投資は1月からの累計、GDPは四半期。
(中国国家統計局、中国海関、中国汽車工業協会、中国人民銀行などの発表をもとにIR Universeが作成)
7月の経済指標で異変と言えるのは、消費者物価指数(CPI)が2年5ヶ月ぶりにマイナスに転じたことと、人民元建て銀行融資が前月の10分の1に急減したことだろう。景況感指数が好不況の境目である50を下回る状況が続く中、企業が融資を得て事業を拡張しようとする意欲が衰えている。また、不動産市況の悪化が続き住宅ローン需要も激減しているとみられる。
中国経済の支柱は不動産と貿易とされるが、もう一つの支柱である外需もさえない。7月の輸出は前年同月比14.5%減とおよそ3年半ぶりの大きな減少率を記録した。指標の発表前に既に「そろそろ一般の人が、景気が悪いと感じるレベルになってきているのではないか」(金融アナリストの川上敦氏)との声があったが、実態はやはりかなり悪そうだ。
中国人民銀行は8月15日、短期金利の1つである中期貸出制度(MLF)の1年物金利を0.15ポイント引き下げた。中国の実質的な政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPF)はMLF金利を基準に設定されるため、8月21日の定例見直しで金利が引き下げられる可能性は高い。
金利引き下げは人民元の対他国通貨での下落を誘いやすい。中国で取引をしている場合は留意する必要があるだろう。
(IR Universe Kure)
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