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静岡県焼津市:シティプロモーションの新しいアピール方法継続のススメ

2023年7月29日から30日の2日間にかけて、東京都千代田区のベルサール秋葉原にてVR法人HIKKY主催の「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」が開催された。
今回の記事ではふるさと納税などを通してシティプロモーションに力を入れている、静岡県焼津市の取り組みについて記載していく事とする。

 


多様化する地域の情報発信と流行り物
 

 新型コロナウイルス感染症の流行からしばらく経ち、その間多くの旅行に関する支援が行われてきた。
特に観光業で産業を成り立たせている地域では文字通りの死活問題という次元で産業が干上がり、回復に時間が掛かる程の手痛い打撃を受ける事となった。
そういった中で自治体はその魅力を様々な方法でアピールする事となった。
実際に観光に行くことが出来ないならばと物産展をもり立たせたり、あるいはふるさと納税の返礼品に魅力のある物を用意するといった策を出していく。
その中で昨今注目されているのは、バーチャルな観光体験である。


 古くはWebページで観光案内を行う自治体が注目された事もあるが、最近ではYoutubeでも公開されている様な360度の様子を映す動画やドローンによる空撮映像などが積極的に公開されている。
特にその場に足を運ぶ事が出来ない状況のユーザーにとって、ネット上の観光案内や擬似的な体感コンテンツは自治体の評価を大きく上げるものである。
そして昨今「メタバース」というキーワードで大きく盛り上がっている仮想空間における自治体のアピール活動は、キーワードで検索しただけでも相応の数が出てくるほどになっている。
とはいえここには一つ大きな落とし穴も存在する。


 実際にコンテンツを展開するにしても、コンテンツを展開する先や訪れる客層、アピールする材料を明確に設定しない事にはこのコンテンツがあふれる時代では淘汰されてしまう事になる。
以前にニュースにもなった旅行会社大手株式会社JTBが2021年4月に発表したバーチャル・ジャパン・プラットフォーム事業などはその最たる例であり、コンテンツとしての品質はもちろんの事明確なターゲットやコンセプトが煮詰まらないままにリリースするというのはともすれば企業や自治体の「理解度」を露呈する事になってしまう。
同プロジェクトに関して継続した情報が無いという状況がまさに推して知るべしと言えるだろう。


 多くの自治体が新しい状況を模索する中で、静岡県焼津市は積極的に仮想空間を活用しシティプロモーションを中心とした観光コンテンツを提供している。


加速する魅力発信の双方向性


 静岡県焼津市は駿河湾に面した静岡県中部に位置する。
静岡市にほど近く、ベッドタウンとして機能する他にも江戸時代からカツオ漁が盛んな焼津漁港を有する。カツオやマグロの水揚げ額は堂々の全国一位という実績を持つ程に遠洋漁業が活発な地域だ。
そんな同市は先日VRソーシャル・ネットワーキング・サービス「VRChat」で開かれた「バーチャルマーケット2023 Summer」と今回の「バーチャルマーケット2023 リアルinアキバ」にてブースを出展している。

 

 

 バーチャルマーケット上では今回三度目の出展となる静岡県焼津市ブースでは、地域特産の海鮮丼などの非常にクオリティが高い3Dモデルの展示と海釣りが体験できるコンテンツを設置。
沖に浮かぶ船からルアーを使って魚を釣り上げ、釣った魚はコレクションする事が出来るというギミックが備えられている。
マグロやカツオといった魚はもちろん、リュウグウノツカイの様な実際に釣り上げられるか非常に怪しいレアな魚も釣り上げる事が出来るゲーム性を備えている。
今回リアル会場ではこのミニゲームに一度トライする事が出来、そこでマグロを釣り上げたらツナ缶をプレゼントするという企画が開催されていた。
筆者も挑戦した所、残念ながらマグロは釣れなかったものの会場に挑戦の様子が映し出されていたために観客の笑いを釣り上げる事は出来た。
なおリアルブース内にはこれまた精巧な海鮮丼等の模型が置いてあった為、リアルでもバーチャルでも来訪者の腹を空かせる事に余念がないやりようであった。

 



 

 

 これまではマグロの解体ショーというギミックを搭載したブースを設営していた静岡県焼津市ではあるが、今回は「これまでとは違うもので、かつ焼津をアピール出来る物を展示したかった」と担当者は語る。
実際にバーチャルマーケットや秋葉原でのリアルイベントに出展するという事は、同市の認知度を高めるための貴重な手段であるという。
特にバーチャルマーケットに来訪するユーザーというのはある程度パソコン等の機器に親しみがある様な「やりたい事にお金をつぎ込む」層が多く、加えて国外のユーザーもブースを訪れる事が出来る為海外へのアピールにも繋がる。
その結果として国内・国外問わず「焼津市に行きたいと思ったから行く」と意欲に火がついたユーザーが実際に現地を訪れれば非常に大きなプラスの経済効果が生まれるのである。
その上こういった取り組みに積極的に参画する自治体というのは今のところ少数であり、継続的に出展している事自体が自治体のプロモーションにも繋がるとの事だ。


 地域が秘める魅力の発信方法を、新しい局面に昇華していく静岡県焼津市。今後もどういった出展を行っていくのか、自治体の仮想空間利用の先達として大いに邁進して欲しいものである。

 

(IRuniverse Ryuji Ichimura)

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