マンガン市場近況2023 9月:やや温まりつつある市場感 為替要因で上昇
9月中旬週のマンガン市場のデータを元に、中国市場におけるマンガン需要を紐解いていく。
現在の中国国内でのマンガンの価格は前回のレポート時(マンガン市場近況2023 8月:下げ止まり感はありhttps://www.iru-miru.com/article_detail.php?id=62409)と比較し、おおよそ横ばいか微減という傾向だがメタルマンガンは前回より反発して急騰している。
メタルマンガンフレーク 99.7%min Ex-VAT FOB Chinaの価格は12,700-13,000人民元/トン (USD1,749-1,791 米ドル/トン)と前回から大きく値を上げた形だ。
前回のレポートに記載した通り、値下がりの動きは収まったようである。
後にその価格は上昇しており、サプライヤー側もこの動きに乗った為必然的にこの価格帯での取引成立が増えているとの事である。
シリコマンガン65/17Chinaに関しては、6,650-6,850 人民元/トン (899-926 米ドル/トン)と前回のレポートから100人民元/トンの値上がりを見せている。
注目すべきは米ドルベースでは価格の変動が一切ないという事であり、この1ヶ月程の間で人民元の勢いがやや弱まったものと見て良いものだろう。
シリコマンガンは60/14も6,050-6,250人民元/トン(830-858 米ドル/トン)となっておりようやく底値からは脱した感がある。
メタルマンガンフレーク(99.7% Ex-VAT FOB China US$/ton) 3ヶ月の値動き
シリコマンガン(65/17 FOBChina US$/ton) 3ヶ月の値動き
豪州産マンガン鉱石 45%minは需要と供給がほぼ安定しているのか、価格は38.6-39.6人民元/dmtu(5.32-5.46 米ドル/dmtu)とほんのわずかな下落を見せたが、それでも市場価格は安定している状態だ。
米ドルベースで見てみれば前回のレポートから一切の価格変動を見せていない。
フェロマンガン(Mn75%min C8%max EXW China)は6,650-6,850人民元/トン (906-934 米ドル/トン)とこちらは前回のレポートから100人民元の上昇を見せている。
こちらも先の豪州産マンガン鉱石 45%min同様米ドルベースでの価格変化は起きていない状態だ。
中国国内でどの品目も安定した需要があるのか、市場の値動きは激しくない状態で継続している。
豪州産マンガン鉱石(Mn44%min Mn1%当たりUS$) 3ヶ月の値動き
高炭素フェロマンガン(Mn75%min, C8%Max Europe EUR/MT) 3ヶ月の値動き
現在の中国市場におけるマンガンの状況については、マンガンフレークの生産を徐々に再開していたり、あるいはシリコマンガンの生産を停止し在庫調整をしたりと高騰する製品価格に苦慮している状況が伺える。
全体的な高価格に対して供給も相応に増加すると見られており、それを考えれば次週以降は価格の低下が引き起こされる可能性は存在する。
ある意味市場が不安定な状態
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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