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日・カナダ 蓄電池サプライチェーンづくりへ――協力覚書に署名

 経済産業省は22日、カナダ政府と蓄電池サプライチェーンづくりを進めていくことで合意したと発表した。日本企業のカナダ進出の円滑化を図り、日加間で上流から下流までカバーする包括的な蓄電池の供給網を整備するという。同国を訪問中の西村経産相が21日、現地で協力覚書に署名した。米とFTA(自由貿易協定)を締結している同国産の鉱物や電池部品が活用できれば、米のインフレ抑制法(IRA)の税額控除対象車種としてEVを北米で拡販する道筋が広がる。今回の合意で、日本勢はその新たな足掛かりを得たことになる。

 

 

 覚書では、カーボンニュートラルと経済安全保障の観点を踏まえて、 持続可能で信頼性のある蓄電池サプライチェーンを構築するため、両国が以下の分野で協力することがうたわれている。

 

  • 日本企業によるカナダへの投資等に対する両国の公的支援の促進
  • 日本企業とカナダの関係規制当局との相互理解の促進
  • 日本企業とカナダの先住民との有意義な関係構築の促進
  • 重要鉱物等の蓄電池サプライチェーンにおける緊急時の協力
  • 蓄電池サプライチェーンにおける再生可能エネルギーの利活用促進
  • カーボンフットプリント算出等の国際標準に関する議論

――など。

 

 具体化に向けて、両国では局長級の政策対話の場を設け議論を深めていくという。カナダはニッケルやコバルト、リチウムなどリチウムイオン電池の生産に欠かせない重要鉱物の埋蔵量が豊富。

 

 IRAで定められた「クリーンビークル*」を購入する際に、所定の税額控除を受けるには様々な要件が付いている。使用鉱物比率などもその一つで、期限を切って、その要件をクリアするよう迫っている。中国依存からの脱却を見据え、同法では基本的には鉱物から部品まで米国とFTA締結国でそのサプライチェーンを完結させる方向が打ち出されている。カナダは米のFTA締結国の中でも、ニッケル、コバルト、リチウムなどリチウムイオン電池の生産に欠かせない重要鉱物の埋蔵量が豊富である。

*クリーンビーヒクル:バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリット車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称

 

 両国の合意に合わせて、民間企業による合意文書も2つ交わされた。①パナソニック エナジーと黒鉛製造を手掛けるカナダのNMGとの負極材料の量産化に向けた協力の推進②車載用電池の開発・製造・販売のプライムプラネットエナジー&ソリューションズ、カナダの探鉱企業 FPX Nickel Corp、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)による「ニッケルの電池サプライチェーンに関する覚書(non-binding MOU)」である。

 

 パナソニック エナジーとNMGは2022年10月に、オフテイク契約に関する覚書を締結し、材料調達に向けた協業を行ってきたという。「電池材料へ加工する技術的な進展があったため、今後更なる連携の強化を図り、負極材料の量産化に向けて協力を進めていく」としている。

 

 また、「ニッケルの電池サプライチェーンに関する覚書」は、環境負荷の低い持続可能な電池サプライチェーンの構築に向けて、FPX 社が開発するカナダ・ブリティッシュコロンビア州の Baptiste Nickel Projectで採掘されるニッケルを、バッテリーEV をはじめとした電動車用リチウムイオン電池の正極材として活用するため、3社が技術情報と専門性を共有し、共同で検討を始めることをうたっている。

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

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