欧州、トルコ経由でロシア産金属を入手か 銅や亜鉛など、外電報道
トルコが銅や亜鉛といったロシア産金属の貿易輸出地として機能しているようだ。西側諸国は表向き、ウクライナ侵攻を受けたロシアの貿易への制裁を続けるが、実際にはこうした経由地経由でロシアの資源が欧州に輸出されているという。英経済紙フィナンシャル・タイムズが9月26日に伝えた。
■ロシア→トルコ→イタリア→その他の欧州?
報道によると、ロンドン上場の石油金属貿易業者が2023年5月、トルコからイタリアに輸出された銅板を少なくとも5000トン購入したが、それはロシアのウラル鉱業冶金会社(UMMC)が製造したものだったことが、税関の文書などから確認できたという。UMMCは2022年に英国と欧州連合(EU)が幹部を制裁対象とし、2023年夏には米国が同社自体を制裁対象に含めた。
フィナンシャル・タイムズは、スイスの資源大手グレンコアがこうした貿易に関わっていたと指摘する。一方、グレンコア側は、貿易は侵攻前の契約の最終部分であり、制裁発効後はこうした貿易に関与していないと説明しているという。
■トルコの大きな輸入元はロシアと中国、輸出先はドイツとイタリア
トルコは西側による対ロ制裁に加担していないこともあって、金属に限らずもともとロシアからの輸入は多い。トルコ統計機構(TUIK)が発表した同国の7月の貿易統計によると、「other countries(その他)」を除いた貿易相手では、輸入は中国が全体の14.3%で最大だが、ロシアも11.3%と2番目の比重を占める。輸出先ではドイツが8.5%、イタリアと米国がそれぞれ5.5%と大きい。
トルコの2023年7月の貿易相手国
(出所: トルコ統計機構:TUIK)
■銅や亜鉛、原油やLPGも
フィナンシャル・タイムズによると、ある上級トレーダーは「トルコはロシアの亜鉛と銅、そして比重は比較的小さいもののアルミニウムの中継点だ」と話したという。トルコと同じくアラブ首長国連邦(UAE)や中国も、こうした軽油店として機能しているという。
フィナンシャル・タイムズはまた、原油についても9月24日に、「ロシアは手段を巧妙化させ、既に先進7か国(G7)による制裁の大半を回避している」と伝えていた。さらに、ロイター通信は9月27日、「ロシアの液化石油ガス(LPG)生産業者が、8年間停止していたクリミア半島ケルチ港を経由するプロパンとブタンの定期輸出を再開した」とも伝えた。ロシア産LPGガスも西側諸国の制裁対象になっているが、輸出先は中国やトルコなど、制裁に加担していない国が相手となると見られているという。
(IR Universe Kure)
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