第10回メタルジャパン(高機能 金属展)最終日迎える――CN時代を彩る高機能金属製品並ぶ
幕張メッセで4日から開催中だった「第10回メタルジャパン(高機能 金属展)」(主催:RX Japan)が6日最終日を迎え、この日も多くの来場者で会場はにぎわいをみせていた。出展企業は約2倍に増えた海外勢も含め、前回に比べて140社増の910社(同時開催展含む合計社数)となり、カーボンニュートラル時代の演出役として欠かせない高機能金属の市場の広がりを感じさせた。最終日の会場から人気ブースのいくつかを紹介する。
まずは、会場でひときわ目立つJX金属の大きなブースである。圧延銅箔や電子材料向けの高純度タンタル粉などに強みを持つ同社らしくブースには先端商品が並んでいた。
独のグループ会社TANIOBISが製造・販売する高純度塩化物粉末/タンタル・ニオブ化合物に注目した。タンタル・ニオブ国際研究センター (TIC)からその研究論文で国際的なグスタフ・エケベルグ賞を受賞したとの発表があったばかりだからだ。
製造・販売する製品群にはシュウ酸ニオブ溶液やシュウ酸ニオブアンモニウム(NAmOx) などがある。シュウ酸ニオブ溶液はモル単位での調合が可能で、触媒や電子セラミックなどの製造に使用されている。また、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造で、チタン酸バリウムにNAmOxを添加すると、容量の温度依存変化低減効果があり、適用拡大が期待されているという。
商談展という性格にふさわしく、各社それぞれのコーナーで進む商談風景を目にしながら、次に向かったのは東邦亜鉛のブース。鉄粉、鉄箔に力を入れた展示となっていた。
「電解鉄粉マイロンパウダー」は電解鉄を機械粉砕した高純度電解鉄粉で、反応性に富み、溶解性も優れているという。用途は触媒、鉄粉樹脂、還元剤、高純度試薬などになる。
鉄箔は高純度電解鉄圧延した製品で、通常の鉄箔と比較して不純物が少ないため、良好な耐食性、磁気特性を示すという。
鉄粉、鉄箔の展示に力を入れた背景をブースの担当者に聞いたところ、「亜鉛の精製時に廃棄物として鉄が含まれている。それを有効活用出来ないかということで、鉄粉、鉄箔製品を始めた。鉄粉はアンモニア触媒でも活用されるので、今後にも期待したいし、販売活動を一層推進したい」とのことだった。
リサイクルの流れを加速するうえで欠かせない装置メーカーのブースも回ってみた。最初にみたのは、粉砕・分散機器の専門メーカーであるアイメックス。研究開発向けとして展示されていた卓上・小型ビーズミル「イージーナノRMBⅡ型」に目を引かれた。スラリーとビーズを入れて回すだけで粉砕・分散処理が可能で、ビーズ径φ0.03~2.0mmで使用できるという。小回りが利いて応用範囲が広そうな印象を受けた。
左写真:イージーナノRMBⅡ型 右写真:ジルコニアビーズ(左端)と白濁のスラリー(中央)を混ぜ合わせることで透明なスラリー(右端)が出来上がる
最後に見たのが放電精密加工研究所のブース。プレス加工に強みを持つという。「工作機械並みの高精度」をコンセプトに独自開発した直動式デジタルサーボプレスを主力としており、金属のほかフィルム、樹脂、炭素繊維材料、粉末材料といった様々な素材の加工に対応できるよう、製品をシリーズ展開している。会場には粉体成形用の最新機種になるZENFormer plus 3×4が展示され、セラミックス粉末の成形実演を行っていた。
写真左:ZENFormer plus 3×4 右:アルミナ粉末を成形することによって完成する4H形状のチップインダクタ。銅線を巻くことによって電子材料として使用されるという。
銅線が巻かれた100倍モデルの4H形状
主催者の集計によると、3日間の総来場者数は5万人を見込んでいるという(前回:4万4000人)。会場の熱気がアフターコロナの到来を感じさせた。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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