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東京製鐵 2023年11月契約売出 4か月連続、全品種販売価格を据え置く

 小松﨑裕司取締役常務執行役員営業本部長は、2023年10月16日(月)の記者会見にて、11月契約の鋼材販売価格について先月に引き続き全品種据え置くとした。

 一方、物流2024年問題への対応として11月1日より、全工場、全中継地起点の製品に係る陸上運賃体系(トラック輸送)の大幅な価格改定を他社に先んじて実施する。地域、個社毎に、国交省の標準的運賃※1を元に、持続可能な物流を実現すべく大幅に値上げする。例えば、時短対策として、往復の高速道路の利用料金も負担する見直しも実施することを発表した。値上げ幅については非公表。

 

 鋼材販売価格の据置は7月に内外価格差是正及び特に薄板類において、中国からの輸入材の流入抑止を目的に鋼板薄板類7品種、厚板及び異形棒鋼の建値を下げて底値を示して以来4か月連続となる。H形鋼を含む一部板類においては、総じて底入れ感がでてきているものの、原油及び為替の動きを重視しつつ、今月は、先月に引き続き全品種販売価格を据え置いた。

 

 上記物流2024年問題については、中継拠点を多用する物流体制の再構築にも今後取り組む。デリバリーに支障がでないよう、引き続き製品輸送の手段確保に努めるとした。

 

 なお、陸上運賃体系の改定に伴うコストの、転嫁の仕方については、今後の検討とした。

「大幅値上げ」の詳細については、今月末の決算発表の際、説明があるようである。

 

 東京製鐵においては、持続可能な物流の実現ということで、2022年以降から現在に至るまで、陸上中継地を24か所から足元38か所に増加してきたが、北は北海道から九州に至るまでの中継地を、今後も拡充させていく方針。特に東北地方、北陸地方、九州の南の一部がネックとなると予想される。

 

※1 国土交通省の標準的運賃

000275060.pdf (mlit.go.jp)

 国土交通省では、令和2年4月24日に、トラックドライバーの労働条件の改善・ドライバー不足の解消を図り、安定した輸送力を確保するため、トラック運送事業者が法令を遵守して持続的に事業を行う際の参考となる標準的な運賃の告示を行った。

 

<東京製鐵の基調コメント>

 

 「海外マーケットですが、今も各国においてインフレ抑制政策が継続し、景気持ち直しへの見通しは未だ混沌としており、特に中国では政府による景気刺激策が打ち出されているものの、その効果は薄く景気の回復には不安要素が残っています。

 一方、米国では雇用の堅調さと個人消費の増加等、景気は維持されています。

 この様な景況感の下、鉄鋼製品の商況は世界的に様子見が続きその取引価格は精彩を欠く状況ではありますが、各国の鉄鋼メーカーでは、エネルギー価格の上昇のほか、主原料に留まらず、諸々のコストの高止まりが続き、足元の採算は一層厳しさが増しているため、今後も販価是正の動きが進むと考えられますが、引き続き中国及び世界の鉄鋼需給を注視して参ります。


 国内マーケットですが、建材品種においては、下期入り後も、一部の地域では計画の見直しや工期遅れの他に、季節的要因等が加わり、未だ足元では鋼材の荷動きは鈍い状態にあります。然し、公共工事の着工も徐々に進み、民間工事においても期ズレの大型案件が動き出したことから、鉄鋼メーカーへの鋼材手配は増加傾向にあります。また大型サイズを中心に短納期の引合も多く、流通在庫でも一部の品種やサイズでは、品薄感や歯抜けとなる状況にあります。この様な鋼材手配の傾向が続くと思われることから、今後の商況の展開に期待をいたします。


 鋼板品種ですが、引き続き自動車関連業種向けは緩やかな回復傾向にありますが、その他の製造業では、底堅い需要が継続しているものの、足元では輸出向けの伸び悩みも影響し、新規受注量及び生産量が低迷している為、鋼材の商況は全国的に緩慢な状況となっております。

 

 これまでの輸入鋼材の影響が残り、国内市況も反転に力を欠く展開となっていますが、他方で、国内鉄鋼メ-カ-各社の供給抑制姿勢が続き、国内の薄板在庫量は低位で推移をし、また、厚板在庫についても漸減傾向にあることから、今後の更なる需要の回復による需給バランスの改善と鋼材市況の好転が待たれます。


 以上のような状況のもと、鉄鋼メーカーにおいては資源価格やエネルギー価格等が高値で推移し、製造コストのほかに、当社では物流2024年問題への対応として、全工場、全中継地起点の製品に係る陸上運賃体系を、国土交通省が策定した「標準的な運賃」を元に大幅に見直すとともに、往復の高速道路料金も負担するといった運賃の見直しを、11月より実施いたします。

 この様なコストアップ環境において、製品価格への転嫁が喫緊の課題となっておりますが、足元の国内外のマーケット状況を鑑み、11月契約は全品種据置きといたします。
 引き続き、需要に見合った生産を継続し、需給の調整に努めます。」

 

 

<小松﨑裕司取締役常務執行役員営業本部長補足コメント> 

 

 海外ですが、全体感は底ばい。多少為替に伴うドルベースの調整は当然あるものの、メーカーとしても採算的には厳しく、一部メーカーでは、高炉メンテナンス後の再稼働を遅らせるなどの供給調整の動きも出てきているようである。国慶節も終わり、本格的には来週からの中国の商況をみていきたい。※1業界紙情報参照

 

 中国をみてみると、9月の輸出は806万トンと高い水準にある。政府により景気下支えの政策があるといえども、鉄鋼需要に盛り上がりには欠ける。足元、需給アンバランスな状況であると言わざるを得ない。また、下期の生産調整の進展具合には注視していく。

 

 国内に目を向けると、建材については、マーケット価格をみると、特に、H形鋼ですが、もちろん地域差はあるものの、ここに来て総じて底入れ感が出てきたとみている。市中在庫は適正レベルであり、過剰感は薄い。特に、大型サイズ中心に品薄、歯抜けがあり、市中においても短納期の引き合いに応えられないという状況も聞こえてくる。需要の回復次第ではあるが、今後の商況、市況の好転に期待したい。

 

 東京製鐵のH形鋼のロール状況は現在、12月ロール分に対応中である。

 

 鋼板については、厚板、薄板共に、在庫の減少トレンドは継続している(業界情報※2)。国内における供給体制は、自動車分野の回復度合い、これまでの仕入れ抑制の動きがからみると、もう一段の需給バランスの改善は進むと予想している。どのような需給バランスになるかは、年内にはみえてくるとみている。

 

 輸入鋼材については、第4四半期の商談が始まっており、値上げの動きもありが、引き続生き動向を注視したい。

 陸上運賃の改定、エネルギー価格をみても、諸コスト上昇は今後予想されるので、十分に注意していく。マーケットは地域によっても、品種によっても差はあるものの、底入れ感にあるとみている。採算確保のタイミングを探っていくが、この11月契約については、国内外の状況をもう少しみていくべく、全品種据え置きとさせていただいた。

 

<※1業界紙情報>

国慶節明けの中国鉄鋼市場 上海先物は下落スタート

 大型連休の中秋節・国慶節が明けた中国鉄鋼市場は、鋼材市況に下押し圧力がかかる形で取引が再開された。9日の上海先物市場では、熱延コイルの取引価格(来年1月限月)がトン当たり3,700元台半ば(約515ドル)と連休前から50元ほど、下落。10日続落し、3,700元近辺まで下げる場面があった。

 中国鋼鉄工業協会(CISA)によると、9月下旬の加盟企業の1日当たりの祖国生産は206万6,400トンとなり、直近では8月下旬の204万5,600トンに次ぐ低水準となった。

 

 中国の9月上旬の粗鋼生産量は215万8,800トンと8月下旬から11万トン増であった。

 大型連休を前に鉄鋼生産は減速したものの需要も弱く、9月末時点のメーカー鋼材在庫は1,524万6,800トンで前月末から53万トン増加した。

 

 今後は冬季の大気汚染対策で鉄鋼生産が抑制されると見込まれるものの、大型連休の間に鋼材在庫はさらにふえているものともられ、地合いが悪い中で、在庫調整は進みにくいようである。

 

<※2業界紙情報>

 薄板3品在庫、7月末は8万トン減の393万トンと400万トン台を割った。

 8月末薄板3品の国内在庫[(メーカー、問屋、コイルセンター、速報ベース)は7月末(393万トン)比で6万9千トン増の400万1千トンと再び400万トン台となった。例年8月は季節パターンとして盆休みの影響で7月よりは増加する傾向にある。

 過去10年平均では15万トン増えているので、今回の増加幅はそれを下回った。2022年8月比では47万トン減と大幅に減少している。

 

 メーカーでは「自動車分野をはじめとした製造業のサプライチェーンの需要回復とともに、在庫調整が着実に進展していることがうかがえる」としている。

 

 8月末の在庫の内訳は、メーカー在庫が前月7月比11万2千トン増の171万6千トン、問屋在庫が3万6千トン減の81万3千トン、コイルセンター在庫が7千トン減の147万2千トンと、問屋及びコイルセンターの在庫は減少した。

 

 品種別在庫数量は、熱延が前月比2万5千トン増の198万4千トン、冷延が1万4千トン増の81万トン、表面処理が3万1千トン増の120万7千トンだった。

 また、在庫を同月の生産量で割った8月の座右孤立は2.98か月となり7月(2.73か月)比で上昇した。

 品種別在庫率は熱延3.49か月(7月は3.19か月)、冷延3.42か月(同2.79か月)、表面処理2.25か月(同2.18か月)だった。

 

 今後の動向としては、過去パターンではみると、9月以降は年末にかけて減少する傾向にある。なお、過去10年平均では9月の減少幅は3万8千トン減となっている。

 

 

<H形鋼とホットコイルの販売価格推移比較>

<販価推移履歴>

 図1に示すように、2021年5月契約において16年振りにホットコイル販価がH形鋼を上回る逆転現象が発生したが、その6か月後の2021年11月に戻した。2022年4月契約の値上げにより、H形鋼(12万1千円)とホットコイル(12万円)との販売価格差は、再び1千円に縮まった。

 

 2022年9月契約において、コイル4品種(ホットコイル・縞コイル・酸洗コイル・溶融亜鉛コイル)を、8,000円の値下げ、カットシート(熱延鋼板・縞鋼板・酸洗鋼板)、角形鋼管及び異形棒鋼は5,000円値下げとした。これにより、H形鋼とホットコイルの販売価格差は9,000円となっていた。2023年4月契約で、H形鋼を更に3,000円値上げしたことで、販売価格差は12,000円となった。H形鋼の値上げは、2022年5月契約ぶりである。

 2023年7月契約でホットコイルを1万円値下げしたことで、販売価格差22,000円となった。2008年10月に21,000円差となって以来の値差を2023年11月も継続する。

 

図1 H形鋼とホットコイルの販売価格推移比較

 

 

2023年11月契約の品種別販売価格(O/T NET ベース価格)トン当たり円。

<品種別販売価格>

4か月連続で、全品種据置

  H形鋼=12万7,000円(2023年4月契約にて3,000値上げ。)

  縞H形鋼=13万7,000円(2023年4月契約にて3,000値上げ。)

  I形鋼=12万8,000円(2023年4月契約にて3,000値上げ。)

  溝形鋼=12万3,000円(2023年4月契約にて3,000値上げ。)

  角形鋼管=12万8,000円(2022年9月契約にて5,000円値下げ)

  U形鋼矢板=13万9,000円(2023年4月契約にて3,000値上げ。)

  異形棒鋼=9万8,000円(2023年7月契約にて5,000円下げ)

      厚 板=11万8,000円(2023年7月契約にて1万円下げ)

  ホットコイル=10万5,000円(2023年7月契約にて1万円下げ。)

      縞コイル=10万8,000円(2023年7月契約にて1万円下げ。)

     酸洗コイル=11万円3,000円(2023年7月契約にて1万2,000円下げ。)

     溶融亜鉛メッキコイル=13万7,000円(2023年7月契約にて7,000円下げ。)

     熱延鋼板11万2,000円(2023年7月契約にて1万円下げ。)

     縞鋼板=11万5,000円(2023年7月契約にて1万円下げ。)

     酸洗鋼板=12万2,000円(2023年7月契約にて1万2,000円下げ。)

   [申込締切日:2023年10月18日(水)12時まで]

 

<輸出環境>

輸出の環境は、現在成約済みのものが、ホットコイルでFOB 600ドル〜610ドル(先月の横ばい)。H形鋼がFOB 760ドル~780ドル(先月の横ばい)。

 

<生産量について>需要に見合った生産体制を継続

 10月の予定:全体として29万トン(前月比1万トン増)。H形鋼が9万5千トン(前月と同じ)、ホットコイル14万トン(前月比5千トン増)[内 輸出は4万トン(前月比5千トン増)]、厚板4万トン(前月比5千トン増)。

 

物件価格及び在庫販売価格について

下記の価格で本日10月16日(月)午後より販売

価格はいずれも建値と同額

H形鋼 12万7,000円

異形棒鋼  9万8,000円

厚板 11万8,000円

 

 

国内鉄スクラップ(特級)購入価格について

 

<原料価格についてのコメント>

 先月からほとんど、変化なく、引き続き円安であり、輸出の円建てのFOB価格は堅調に推移している。海外からの買いも足元積極的でない。一方、原料炭の価格が310ドルぐらいから360ドルを超えてきている。高炉の原料価格が強いこともあり、為替を含めて、そのあたりの価格次第ではあるが、目先は横ばい基調とみている。

 

鉄スクラップ(特級 H2)価格の変化    単位:円

 

<9月19日以降のスクラップ価格の値動き>

 

 東京製鐵は全4工場(田原、岡山、九州、宇都宮)と高松鉄鋼センター、22年6月に開設した名古屋サテライトヤードの6か所で、月間トータル約30万トン規模の鉄スクラップを購入している、国内大手普通鋼電炉メーカーでは唯一、鉄スクラップ購入建値を一般公開し、プライスリーダーとして国内外の鉄鋼メーカーや、商社、ヤードディーラーに影響を及ぼしている。

 

 東京製鐵は、9月16日以降、価格変動はなかった。

 

 

<その他 スクラップ関連 業界紙情報>

 

 8月の鉄スクラップ輸出量(財務省・貿易統計)は56万8千トン(7月は56万7千トン)で前年同月比14.6 %(7万2千トン)増加した。前年同月を上回ったのは4か月連続。主力の韓国向けは減少に転じたが、ベトナム、台湾、バングラディッシュ向けなどの増加が寄与した。

 インド向けも2万トン超えと増加が目立った。

 

 前月比では0.1 %(800トン)増。2か月ぶりの前月比増となったがほぼ横ばいで、2か月連続で60万トンを下回った。

 

 主な向け先別の輸出量は、韓国18万4千トン(前年同月比7.6 %減)及びタイ8千トン(同2.8 %減)が減少した。

 一方、ベトナム13万7千トン(前月10万1千トン)(前年同月比20.1 %増)、台湾8万1千トン(同31 %増)、マレーシア2万2千トン(前月3万トン)(同73.1%増)、バングラデシュ6万5千トン(前月2万3千トン)(同約2.5倍)、中国2万トン(前月1万6千トン)(同61.2 %減)、フィリピン1万6千トン(前月1万4千トン)同44.9 %増)及びインドネシア1万3千トン(同約2.1倍)と増加した。

 

 10月12日に実施された関東鉄源共同組合による10月契約分の鉄スクラップ輸出入札ではトン当たり5万236円(9月5万1,316円)(H2相当,FAS、船積み期限11月30日)となった。前月(5万1,316円)比1,080円減の落札価格で1万5千トン1件が落札された。向け先はバングラデシュ。バングラデシュでインフラの整備や、インド向けの中間材(ビレット)の製造もしているため、引き合いはある。

 

 先月東京製鐵は、9月分契約の入札を受けて、9月13日に田原工場、名古屋サテライト及び宇都宮工場の鉄スクラップ購入価格を上げ、輸出対抗の姿勢を示したが、今回は、動きはなかった。

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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