日本製鉄、加テックの石炭分離会社に出資 グレンコア主導で合弁、世界第2の事業規模
日本製鉄は11月14日、北米最大の非鉄金属メーカーであるカナダのテックリソーシズ(Teck Resources Limited)が分離する製鉄用の原料炭企業に、20%出資すると発表した。この合弁企業はスイスの資源大手グレンコアが権益の77%を保有して主導し、韓国鉄鋼のポスコ・ホールディングスも3%を保有する。
各社がホームページ上でそれぞれ発表した。新会社の名称は「エルク・バレー・リソーシズ(EVR)」で、高品質の原料炭の供給で世界2位の規模になる見通し。日本製鉄の出資額は13億4000万ドル(約2000億円)。日本製鉄はもともとテックの石炭事業に2.5%出資しており、この持ち株分を移行した上で追加の株式を取得することで出資比率は20%となった。持ち分法適用会社とし、連結決算に計上する。
一方、グレンコアは69億3000万ドルを現金で支払い、買収完了後約2年以内に、統合した石炭事業を分割する。米ブルームバーグ通信などは、グレンコアとしてはEVRの取得によって石炭事業を自社から切り離せるため、ニッケルなどの多事業に注力しやすくなる効果があるとの見方を伝えた。
ロシアによるウクライナ侵攻などで原料炭の供給ルートが細る中、製鉄各社は調達先の確保を急いでいる。テックを巡っては、グレンコアはそもそも同社全体に対し2023年3月に225億ドルでの買収案を提示して、拒否されていた。今回の石炭事業に関してもJFEホールディングス傘下のJFEスチールが出資交渉に動いているとの報道もあった。
プレスリリース(日本製鉄): 20231114_100_01.pdf (nipponsteel.com)
プレスリリース(グレンコア、英語): Acquisition of a 77% interest in Teck’s steelmaking coal business for US$6.93 bn (glencore.com)
関連記事:加テック、7-9月期は大幅減益 JFEが石炭に出資の憶測、グレンコアも名乗りで三つ巴? | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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