加テック、7-9月期は大幅減益 JFEが石炭に出資の憶測、グレンコアも名乗りで三つ巴?
カナダ・バンクーバーに拠点を置く北米最大の非鉄金属メーカーのテック・リソーシズ(Teck Resources Limited)は、10月23日、2023年7-9月期決算で純利益が前年同期比63%減の2億7600万カナダドルだったと発表した。同社を巡ってはロイター通信が10月19日、消息筋からの情報として、JFEホールディングス傘下のJFEスチールが、テックの冶金(やきん)用石炭事業への出資を検討していると報じていた。
■モリブデン生産見通しを大幅引き下げ
テックは原料炭のほかに銅、亜鉛などの採掘やモリブデンなどの鉱物開発を手がける。7-9月期は売上高も前年同期比16%減少する減収減益だった。石炭などの主要製品価格は上昇したが、カナダのケベック州で夏に発生した山火事や港湾ストライキの影響で相殺した。
テックはさらに2023年通期の生産量見通しについて、地質調査や工場建設の遅れから、銅をこれまでの33万-37万5000トンから32万-36万5000トンに、モリブデンを4500万-6800万ポンドから3000-3800万ポンドに、それぞれ引き下げると発表。石炭についても生産量が落ちるとの見通しを発表した。
この発表を受け、株式を公開する10月24日の米ニューヨーク株式市場で、テック株は前日比9%下落した。
■JFE、9月から出資交渉か 新日鉄は2月に10%取得
ロイターによると、JFEは9月からテックへの出資を巡り交渉しているという。JFEはウクライナ侵攻を受けた西側諸国による対ロシア経済制裁を背景に、原料炭の調達ルートの多様化を模索しているようだ。JFEが求めている出資比率や金額は不明で、テック、JFEはともにこの件に対しコメントしていない。
製鋼用石炭の生産国はオーストラリア、カナダ、ロシアなど。日本勢は2023年2月、新日鉄が、テックが事業分割する予定の石炭事業について、発行済み株式の10%を1100億円で取得すると発表したばかりだった。
一方、スイス資源商社のグレンコアもテックの石炭事業への出資を検討しているとされ、そちらの提示額は8億ドルと伝わる。グレンコアは2023年3月、テック全社について、225億ドルでの買収案を提案したが、テック側が拒否した経緯がある。
(IR Universe Kure)
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