トヨタ自動車は7月30日~8月1日にかけて東京ビッグサイトで開催された「SPEXA -【国際】宇宙ビジネス展」にブース出展し、JAXAと共同で研究開発する有人与圧ローバー「ルナクルーザー」の模型を展示した。同機体は宇宙空間での探査を可能とするRFC(再生可能燃料電池)など、トヨタ独自のテクノロジーが詰め込まれたもので、多くの来場者の関心を惹いた。
有人与圧ローバーは宇宙飛行士が生活をしながら移動可能なモビリティのこと。従来の開放的な月面ローバーとは異なり、車内では宇宙服無しで活動が可能となる。一方、気温差が約300℃(-170~120℃)にも達する環境下においては、宇宙飛行士の生命を維持する装置などを継続的に稼働させるための大量のエネルギーが必要となる。また、昼と夜がそれぞれ2週間続くなど、月面と地球とでは環境が大きく異なるため、月面環境に適した効率的なバッテリーシステムが求められる。
RFCは昼に太陽光で水を電気分解し、水素と酸素を貯蔵。それらを活用し夜に発電を行う仕組み。膨大なエネルギーを消費する有人与圧ローバーの生命線といっても過言ではない。水と太陽光があれば、半永久的にエネルギーを供給できるため、離島でのエネルギー確保や災害支援においても活躍が期待されている。
ルナクルーザー背面
ルナクルーザーは全長約6m、幅約5m、高さ約5m。搭乗人数は2名で最大速度は15km/hとなっており、1回の充電で18㎞の連続走行を可能とする。RFCのほか、トヨタが誇るオフロード走行や自動運転の技術も実装される見込みだ。
2019年にトヨタとJAXAが探査ミッションへの挑戦に合意して以降、着実にプロジェクトを推進してきたが、31年の月面走行の実現までにはさらにいくつもの課題を超えていかなくてはならない。RFCをはじめとしたトヨタ技術のさらなる進化に期待したい。
(IRuniverse K.Kuribara)