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猛暑日本に! ヤード条例に! SDGs時代にFRP素材のエコ敷板 宏幸

2025/08/04 15:11
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猛暑日本に! ヤード条例に! SDGs時代にFRP素材のエコ敷板 宏幸

今年の2月にもReportしているが、神奈川県足柄の宏幸株式会社は貴金属スクラップのリサイクルからFRP、CFRPのマテリアルリサイクルまで幅広くこなすユニークなリサイクラーである。
https://www.iru-miru.com/article_detail.php?id=72898

 

 同社の高谷宗良社長は宏幸の経営以外にも欧州と香港で非鉄スクラップのトレーディングを行っていたという。
かねてからオリジナルのリサイクル道を追求してきた高谷社長は、例えば小型家電リサイクルでも単なる破砕ではなく「機械で分解」に力を入れた。

これは選別技術を追求している早稲田大学の大和田教授ご指導とともに完成させたオリジナルの機械を設置している。オリジナルゆえに機械の撮影はNGであったが

独特のフォルムと随所に宏幸のアイデアが詰め込まれた処理設備で確かに他ではあまり見かけないシステムであった。

 

  なかでも驚いたのは、小型家電(スマホ含む)をマシンに入れると、前述したように破砕するのではなく、まるで人の手で分解されたようにリチウムイオン電池と本体が分離していること。

これは一体型のスマホでも同様に分離されている。そして重要なことは、そのままスマホをマシンに投入しても発火、火災は起きたことがなく、火災リスクはほぼゼロ、という点である。

全国の自治体ではこのリチウムイオンバッテリーが原因で発火し、場合によっては大きな火災となり工場じたいの操業が止まるほど大問題になっている。

この宏幸が開発した処理機械を用いればそういった火災リスクはなくなるゆえ、自治体にも提案できる画期的なリサイクルマシンといえよう。

 


(宏幸の貴金属リサイクルシステム)

https://hirokou-group.jp/services/material-manufacturing


 そしてここからが本題ではあるが、FRP、CFRP、GFRPのマテリアルリサイクルである。

これは前回でも報じているが、世の中にはFRP、CFRP、GFRPの素材はかなり普及している。

https://hirokou-group.jp/services/blade


 FRPを原料としたものでいうと、風車ブレード、ユニットバス、飛行機、船などが代表的なものである。ここには例えばベステラ社が解体した風車のブレードも持ち込まれる。

LIXILなどの浴槽メーカーもリサイクルには取り組んでいる、とアピールしているが、実はここ宏幸にバスユニットが持ち込まれて、粉砕、混錬してマテリアルリサイクル原料あるいは製品化されているものが多い。

その流れを簡単に記したものが以下である。

 


 ここで廃電線、とあるのは、被覆銅線の皮であるPVCのことである。宏幸ではPVCも全国から集荷しており、FRPと混錬して製品化している。ここも同社の特徴である。

その主要な製品は以下である。

 

 

 なかでも実際に筆者が宏幸の工場に行った際に感動したのはエコ敷板。

FRP、PVC再生材を100%使ったリサイクル製品で、工場やスクラップヤードで鉄板代替で使うニーズが爆上がりで

担当の武田氏によると

「需要に対して供給が全く追い付いていない」とうれしい悲鳴を日々あげているとのこと。


 訪問した7月25日、現場は35度近い猛暑。日傘がないと日射病で倒れてしまうような強い日差しの日。

それこそ鉄板に玉子を落とせば一瞬にして目玉焼きが出来るほどの熱さ(暑さ)であった。

私も経験あるが猛暑日のスクラップヤードで鉄板敷板を歩くと、靴が溶けてしまいそうな危険な熱をもっている。

それが、このエコ敷板ならば熱くならない。実際に素手で振れてみたが、全く熱くない。かつ軽い!
さらに一般の鉄の敷板に比べるとコストもかなり抑えられる(鉄板に比べると1/3程度の価格で販売)。

すべてにおいてメリットしかないエコ敷板はこれまた前述したように、各地の工場やスクラップヤードからの引き合いが強く、特にヤード条例が敷かれている千葉県からのスクラップ業者からのオーダーは引きも切らない。オーダーが殺到している状態である。

 

 エコ敷板は厚みが3パターンあり、10mm、15mm、22mmとある。22mmは耐荷重が200トン超と業界最高水準を誇る。

またエコ敷板は軽量であることから、物流積載面でも鉄と比べてメリットがあり、結果的にCO2削減効果も期待できる。

ましてや、処理難物のPVC、FRP、GFRP、CFRPを原料とした製品であるため、一石二鳥、一石三鳥のSDGs時代にふさわしい製品であろう。


 そして、同社ではこのFRPリサイクル事業を全国に拡大させることを考えている。

ちなみに彼らは産廃のライセンスはもっていない。しかし全国からPVC、FRPを「逆有償」で集めている。

なぜそれができるのか?

宏幸はプラスチックに関する資源循環等の促進等に関する法律のいわゆる第2号認定を取得している。

この第2号認定は広域認定のライセンスよりも取得は難しいが、その効力は絶大。なぜならば、この第2号認定を取得すると、全国レベルで許可不要でプラスチックのリサイクルを

展開することができるからであり、それゆえに全国からFRP、PVCも逆有償で受け入れることができるのである。

足柄のポツンと一軒家的な工場である宏幸は底知れぬポテンシャルをもったリサイクル企業である。

 


(手が触れても全く熱くないエコ敷板)

 

 


(山北駅で宏幸の武田氏(左)と棚町)


(IRUNIVERSE Tanamachi)

 

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