米電池スタートアップのシラ、シリコン負極材工場に着工 初の車載向け、米政府が支援
米国の次世代電池材料スタートアップ企業であるシラ・ナノテクノロジーズ(Sila nanotechnologies、本社:米カリフォルニア州)は11月29日、自社ホームページ上で、同社初のチタン・シリコンを使った車載電池向けアノード(負極)材工場の建設に着工したと発表した。同工場は2022年に米エネルギー省(DOE)の支援を獲得している。
発表によると、工場はワシントン州モーゼスレイクに位置し、2025年の始動を目指す。製品は独メルセデスベンツを含む大手自動車メーカーに供給する見通し。
同社が生産する車載電池向けアノードは、セルに従来のグラファイトではなくチタン・シリコンを用いる。これによりエネルギー密度がグラファイト使用よりも2割ほど高くなり、電気自動車(EV)の航続距離の延長と充電時間の短縮が実現するとしている。
シラは発表資料中で、同社の工場建設はリチウムイオン電池業界に変革をも散らすだけでなく、エネルギー安全保障面における米国の主導的地位の保持に役立つと指摘した。米DOEの製造・エネルギーサプライチェーン局は2022年、シラを100億ドルの支援金の支給企業に選定した。シラはこれに応え、同地で数百人の雇用を拠出する計画だ。
シラは米テスラの元社員らが2011年に立ち上げた電池スタートアップ。メルセデスベンツとの関係は、2022年にベンツの高級SUV「Gクラス」のEV用リチウムイオン二次電池にアノード材が採用された。シリコンベースのアノード材についてはフィットネス用マシンの電池向けに供給した実績があるが、本格的な車載向けは今回の工場での生産が初めてとなる。
関連記事:米国LiB産業を牽引するイニシアティブプレーヤーの展開図 | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2024/05/08 東邦チタニウム:24/3期決算を発表。25/3期は化学品の赤字転落で増収減益予想
- 2024/05/08 ユミコア・フィンランドLiB電池材料工場・再生可能電力拡大
- 2024/05/08 タンタル原材料輸出入Report #114フッ化タンタル輸入 米国からの輸入量減少
- 2024/05/08 タンタル・キャパシタ輸出入Report #67輸出 24年1-3月輸出額32年ぶり最低記録更新
- 2024/05/08 MLCC輸出入Report #61輸出編 インド向け輸出急増
- 2024/05/07 銅板輸出Report #56 米国の車載向けの輸出減少続く
- 2024/05/07 銅条輸出Report#43 タイ向け輸出好調 中国向け輸出も底を脱したがまだ物足りず
- 2024/05/07 コンテナ運賃動向(2024年4月)、5月に入り一気に上昇
- 2024/05/07 日中コンテナ荷動き(2024年2月)―輸出減でも輸入増
- 2024/05/06 週刊バッテリートピックス 「米IRA事実上緩和」「三井住友が台湾ゴゴロと協業」など