半導体製造装置輸出Report #58 台湾向け輸出台数回復の兆しか マレーなども回復へ
日本からの半導体製造装置の輸出は、中国向けの台数が伸び悩んできている。それでも、輸出平均単価は、韓国や米国並みの水準に上昇している。輸出回復の兆しでは、台湾や米国向けに見え始めた。またマレーシアやシンガポール、ベトナム、タイ向けも増えてきた。
【1】半導体製造設備輸出概況
財務省の貿易統計によると、半導体ウェハ製造装置と半導体デバイス製造装置を合計した2023年10月の日本からの輸出額は1,882億円だった。前月は5か月ぶりに2千億円を超えたが、再び割りこんでいる。前年同月比15.4%減少し、7か月連続のマイナスとなった。
2023年1-10月の同累計輸出額は、1兆9.191億円、前年比12.2%減少した。引き続き、シリコンウェハ製造装置の輸出が堅調で、輸出全体では昨年に次ぐ多い輸出額で推移している。
【2】半導体デバイス製造装置(前工程/後工程)輸出概況
2023年10月の半導体デバイス製造の前工程と後工程の製造装置を足した日本からの輸出額は、1,639億円、前年同月比20.5%減少した。こちらも7か月連続のマイナスとなった。
2023年1-10月の同累計輸出額は、1兆7,416億円、前年比15.2%減少となった。2年前の同累計とは、約1千億円の差にまで縮まった。
10月の同輸出台数は823台、前年同月比33.4%減少し、11か月連続のマイナスとなった。この後に述べるように、同輸出平均単価が上昇しているため、輸出額の方が昨年との差が小さい。輸出台数で見ると、昨年との差が歴然となっている。
10月の1台あたりの輸出平均単価は、1億9,917万円だった。前月より2,175万円安だった。前月は5か月ぶりに2億円を超えたが、再び割った。それでも2023年3月以降、平均で2億円前後で推移している。
【3】半導体デバイス製造装置(前工程/後工程)輸出先
相変わらず、中国向けの同輸出は、韓国や台湾向けと比べてもあまり落ち込んでいない。それでも、今回10月の中国向けの同輸出台数は、前年同月比で19.5%減少しており、4か月連続のマイナスとなった。
中国向けの同輸出で目立つのは、前回も少し詳しくし紹介したが、同輸出平均単価の上昇ぶりである。過去、韓国や米国向けの同輸出平均単価が高く、中国向けは主要な4地域(中国、台湾、韓国、米国)の中では、韓国向けが最も高く、米国向けが続き、中国向け最も単価が安かった。しかし、直近では、米国向けと肩を並べてきて、韓国向けの単価にも迫ってきている。
一方、2023年に入って急速に輸出台数を減らした台湾向けだったが、ここに来て再び増加してきている。まだ単月の輸出台数としては、昨年や一昨年を下回っているが、このまま再び増加するのか注目したい。
今回詳細な説明をしないが、米国向けの輸出台数も台湾向けと同様にV字の回復の兆しが見えている。あと、マレーシアやシンガポール、ドイツ、ベトナム、タイ向けの輸出も増えている。
2023年10月の半導体デバイス製造装置の主要な輸出先と輸出台数と、1台あたりの輸出平均単価は以下の通りである。
韓国 65台2億3千万円
台湾 101台1億7千万円
中国 365台2億3千万円
米国 111台2億7千万円
シンガポール 39台 5千万円
マレーシア 28台1億1千万円
ドイツ 32台1億6千万円
ベトナム 9台 9千万円
タイ 24台 3千万円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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