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東京製鐵:24/3期3Q決算を発表し業績見通しを修正 説明会開催

 1月19日16時半、東京製鐵は15時発表した24/3期の業績発表を受けてZoomにて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら

 

<24/3期3Q実績>

〇総括

●2023年10月20日公表の通期業績予想を上回る進捗率で着地。

 月計画に対する進捗率は営業利益で82.6%、経常利益で83.7%、当期利益で90.4%。

●3Q累計期間では、製品出荷数量が計画を下回ったものの、出荷価格は想定通りに推移し、エネルギーコストなど各種資材の購入単価の低減が続いた。

 国内の建築案件が工期の遅れが今3Qも続いたため、出荷量は計画を下回った・・・3Qの出荷量は845,500トンの計画に対し794,800トンと、50,700トン下回った。

 販売価格は、ほぼ想定通り推移・・・3Qの販売価格は106,600円/トンに対し106,600円/トン。

 コスト面ではエネルギーコストや各種資材価格の低減もあり、計画を上回った。

 

 今下期の営業利益を150億円と計画。3Q75億円、4Q75億円と二分すると3Qは86億円と11億円上振れした。

 

図表1、24/3期3Q実績(百万円)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

〇製品出荷量

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

 3Qの製品輸出比率は22.1%、2Qが19.7%だったので輸出は伸びた。3Q累計でも25%と、前年同期と比べこちらも増えた。

 

 鋼板と条鋼の割合はグラフの右側の棒グラフ。鋼板のうち薄板が46%、厚板が12%。条鋼は形鋼が39%、丸棒が3%。

 

 価格は表記の通り、一方で鉄スクラップ価格は若干の値上げがあった。我々も最近2,000円/トン引き上げた。海外勢の買いの姿勢が強まってきたため、少し懸念をしている。後ほど説明する。

 

〇製品出荷単価・鉄スクラップ購入単価・メタルスプレッドの推移

●今3Qでは、前期比で製品出荷単価が低下し、鉄スクラップ購入単価が上昇した結果、メタルスプレッドは、約4,000円/トンの悪化となった。

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

〇営業利益増減要因(3Q累計の実績比較)

 数量は、前期の234万1,000トンに対し、今期は10万4,600トン増え244万5,600トン。

 単価は、前期の11万4,300円/トンに対し、11万円/トンと、4,300円/トン下落した。

 鉄スクラップ価格は5万4,900円/トンから、3,200円/トン下落して5万1,700円/トン。

 この結果、スプレッドは製品価格の下落を鉄スクラップ価格の下落でカバーできず、1,100円/トン縮小した。

 営業利益は332億円が30億円マイナスし302億円となった。

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

※コストについてはエネルギーコストが7%上昇。これが大きく営業利益が減益となった。

 

 四半期ベースの比較及び計画との比較は資料の6ページ、7ページを参照。

 

図表2、四半期ベースの業績推移(億円、千トン、千円/トン、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

<業績予想>

〇24/3期業績予想

●今後の見通しは、冬季修繕への対応や、「2024年問題」への対応としての輸送費などによるコスト上昇が懸念される状況。

●通期の利益予想は、3Q累計期間の業績を勘案し、2023年10月20日公表の予想から見直しを行った。

 簡単に言うと3Q上振れ分を通期に加味した。

 

図表3、24/3期業績見通し(百万円)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

〇営業利益増減要因

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

 今4Qの計画は販売数量が85万トン、単価は10万6,600円/トン(3Q対比変わらず)、鉄スクラップ価格は5万3,000円/トン(同900円/トン上昇)。この結果スプレッドは5万3,600円/トンと鉄スクラップ価格が上昇した分縮小する。

 

※コスト上昇は、電力価格上昇を想定。修繕費が例年より増えると厳しめに想定している。

 

 なお、前回見通しに対して出荷量は4万6,400トンの減少。メタルスプレッドが500円/トン悪化するとみている。

 

<トピックス>

「関西サテライトヤード」の開設を決定

 輸出スクラップを国内に取り戻す方針として、一昨年の名古屋サテライトヤードの第二弾。2024年5-6月の運転開始を目指

 

ベンチャーEVメーカー・FOMM社との協働

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

 電炉材を自動車にどれだけ使えるのか試してみた。同社鋼材は72%使用できた。左側の写真中央は、元東大総長で三菱総研理事長の小宮山宏先生で、電炉材比率を拡大するによってカーボンニュートラルに直結するとの持論を持っているとの事。著書「新ビジョン 2050」において、カーボンニュートラルを実現できる社会を「プラチナ社会」と名付けている。

 

大手ゼネコン・竹中工務店との協働

 昨年4月の大成建設とイニシアティブを締結したCO2にこだわったものをつくっていくとのコンセプトの第二弾。スクラップ大手の巖本金属、岸和田製鋼、共英製鋼と協働し業界の垣根を超えた「サーキュラーデザインビルド」を始動させた。

 

 

(IRuniverse 井上 康 )

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