旭化成 フィンランド水素プロジェクトにアルカリ水電解システム供給
Central Finland (フィンランド中部)の脱炭素化に貢献
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎)は、7月30日、Central Finland地区で脱炭素プロジェクトを推進するCentral Finland Mobility Foundation(本部: フィンランド ユバスキュラ市、以下「Cefmof」)より、1MW級のコンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3(アクアライザー・シーキューブ)」を受注したと発表した。
Cefmofは、フィンランド ユバスキュラ市、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(以下「TGR-WRT」)と一般財団法人トヨタ・モビリティ基金によって設立され、Central Finland地区の脱炭素化を水素の活用を通じて支援する現地社団法人。※1
水素プロジェクトについて
現在、フィンランドのユバスキュラ市で、水素を燃料とするバスや乗用車の導入を通じて、水素を活用したモビリティ分野の活性化を図るプロジェクトが、Cefmofやユバスキュラ市をはじめとする関係者の連携により進められている。同プロジェクトは、Central Finland地区内で、水素を製造・使用する「地産地消モデル」の構築を目指していおり、フィンランド初となる商用水素ステーションの開設※2に合わせて、その隣接地に旭化成のコンテナ型アルカリ水電解システムが設置される予定。
コンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3」
水素社会を世界規模で実現するためには、さまざまな気象条件下での運用課題の検証と、技術的信頼性の確保が必要。ユバスキュラ市では、冬季に厳しい寒さとなることから、寒冷地環境におけるアルカリ水電解システムを含む水素供給インフラや燃料電池車の運用実証を行うことが可能だ。凍結リスクなどの寒冷地特有の課題に対応しながら実証を進めることで、フィンランドを含む寒冷地における水素社会の実現に向けた重要な一歩となる。
旭化成の水素関連事業について
旭化成は、水素関連事業を将来の成長ドライバーとなる「戦略的育成」事業の1つとして位置付け、本格的な事業化に向けた投資を行っている。旭化成の既存事業であるイオン交換膜法食塩電解事業を通じて蓄積してきた顧客基盤、技術などの無形資産を水素関連事業に活用することで、多様なパートナーとの協業などの活動が着実に進捗していく。
旭化成は、これまで実証を行ってきた大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer™」に、今回コンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3」を新たにラインアップに加えた。Aqualyzer™-C3は、新規に水電解システムを導入する企業向けのエントリーモデルとして、また、小規模な分散型設備を構築するために適したシステム。今後は、本システムを通じて、初期導入を支援しつつ、将来的なスケールアップにも対応することで、大規模システムの本格導入へとつなげていける体制を整えている。※3
同プロジェクトは、アルカリ水電解システムの商用化後、旭化成において初の受注案件。旭化成は、2025年12月末にAqualyzer™-C3をユバスキュラ市に設置し、2026年上期の本格稼働開始を目指す。今回導入されるAqualyzer™-C3は、1時間あたり約3台分の燃料電池車(FCV)を充填できるグリーン水素を製造可能。現在、旭化成はCefmofおよび複数のパートナー企業と連携して、同システムの製造を進めるとともに、現地での設置工事を推進しています。導入後のメンテナンスおよびオペレーションにおいても、旭化成が継続的にCefmofをサポートする予定。
各社責任者のコメント
旭化成 執行役員(グリーンソリューションプロジェクト事業開発担当) 竹田 健二 コメント
「本プロジェクトからの受注をもって、当社の水素関連事業は事業化フェーズへと本格的に移行しました。Cefmofと連携を進め、寒冷地という厳しい条件下での導入を通じて、当社のアルカリ水電解システムの信頼性を実証します。さらに、Central Finland地区の脱炭素化に向けて、水素製造システムの導入から運用までを支えるワンストップサプライヤーとして貢献してまいります。」
Cefmof 事務局長 新井 春香コメント
「本プロジェクトは、Central Finlandで新たに形成されつつある水素エコシステムの重要な一翼を担うものであり、同地域におけるカーボンニュートラルな未来の構築に向けたCefmofの長期的な取り組みを示すものです。この取り組みは、フィンランドにおける実用的な水素充填インフラの実現を後押しします。」
旭化成は今後も、グリーン水素の需要動向に応じ、コンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3」から、長期安定的な稼働実績のある大規模システム「Aqualyzer™」まで幅広いソリューションを柔軟に提供し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
(IR universe rr)
関連記事
- 2025/08/01 NEDO CO2分離・回収型IGCCの調整能力向上を図る技術開発の実証試験を開始
- 2025/08/01 (株)タケエイでんき 太陽光発電施設『真岡発電所』売電開始
- 2025/08/01 富士電機と三菱ガス化学 水素燃料電池システム共同実証に向け検討開始
- 2025/08/01 TECHNO FRONTIER 2025から読み解く地域と技術が共創するものづくりの最前線
- 2025/08/01 欧州からの風:July 2025 「BASF・CATL、正極活物質の共同開発で提携強化」
- 2025/08/01 欧州からの風:July 2025 「EU電池サプライチェーンの現状と中国への依存」
- 2025/07/31 電力取引量(25年7月)
- 2025/07/31 JEPLAN、田中貴金属グループと脱炭素・循環型社会実現に向け事業提携発表
- 2025/07/31 中国核融合能源有限公司設立 核融合技術の応用が民生用エネルギー分野に広範囲に進出する
- 2025/07/31 旭化成と豊田通商、リチウムイオン電池用セパレータのキャパシティライト契約締結