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タングステン市場近況2024#1 春節控え中国市場がやや緊張、国際価格は変化なし

 2024年1月のタングステン市場は総じて硬直的。前年からの流れを引き継ぎ、供給の固定化と需要の弱含みの間で動意が乏しい状態が続いている。中国国内価格は2月初旬の春節(旧正月)連休を前にやや取引に緊張感が出始めてきたが、国際価格に対しては大きな変数になっていない。

 

 ■APTは2ヶ月横ばい

 ベンチマークとなるタングステンAPTの国際価格は2024年1月下旬時点で仲値$312.5/MTU。2023年11月下旬から2か月ほど横ばいが続いている。市場では「2023年からの地合いを引き継ぎ供給制限と需要不足による均衡が取れてしまい、動きが出にくい」(中堅金属商社の中国人担当者)との声があった。

 

過去3か月間のタングステンAPT価格の推移(EU Free market)($/MTU)

 

 Felloynetの最新レポートによると、中国のタングステン製錬所の一部は既に春節休暇に向けて生産を停止したり出荷を絞ったりし始めた模様だ。タングステンは中国での生産量が多い鉱物の1つだが、中国当局がそもそも輸出量を制限していることもあり、国際価格への影響は限定的。中国国内の取引価格にもまだ影響は現れておらず、取引は静かだという。

 

■鉱石価格は安定、酸化タングステンは横ばい

 

過去3か月間のタングステン鉱石価格の推移(中国、海外)(WO3 65%)

 

 原材料となるタングステン鉱石も安定した推移。国際価格は仲値$253.5/MTUで推移している。中国国内価格も2023年12月半ばから動きがない。中国では一部鉱山の春節休暇入りや在庫処理などの動きが伝わり、高値安定となっている。ただ、需要も鈍く、交渉価格は動いていないとみられる。

 

過去3か月間の酸化タングステン価格の推移(Wo3 99.99%min FOB China)($/MTU)

 

 酸化タングステン価格も相変わらず動いていない。2023年3月23日から仲値$346.4/MTUで横ばい。もっと長いスパンで見ても、2022年春からはほぼ横ばいが続いている。

 

■フェロタングステンには底打ち感も

 

過去3か月間のタングステンバー価格の推移(w-4 99.9% China)($/kg)

 

過去3か月間のフェロタングステン価格の推移($/kg)

 

過去3ヵ月間の炭化タングステン価格の推移(99.7%min 2.5-7.0um Fob China)($/kg)

 

 一方、タングステンバーとフェロタングステン、炭化タングステンは底を打ったようだ。タングステンバーは1月初旬から$39.3/kgで推移。2023年11月に付けた直近安値からは反発しているが、$40を超えていた前年の同時期の水準には届いていない。フェロタングステンも似た動きで、1月11日からは$39.75/kgに上げている。 炭化タングステン価格は仲値で$37.7/kgに回復した。

 

 Felloynetによると、これらの種類に関しては「中国では、タングステン関連企業が続々と復職し、市場の活力が徐々に回復しつつある」とみられるが、国際取引はなお「市場競争が激しく、取引価格が低く、1回の取引量も多くありません」という。本格回復にはもう一息といったところだ。

 

 タングステン市況の先行きに関しては、超硬需要が大きな鉱物だけに世界の製造業の回復が需要回復のカギとなりそうだ。ロシアのウクライナ侵攻やガザ紛争の長期化を受けて兵器向け需要を期待する声もあるが、こちらも関係者からは実感する声はまだ聞こえてこない。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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