中国の自動車チップは10年以内に自主化を実現し、輸入に頼らなくなる見込み
中国のIT系メディア、CNMOはこのほど、中国自動車業界のチップ国産化を分析した記事を掲載したことに注目した。現在、中国の自動車業界はチップの90%以上を日本、米国、欧州からの輸入に依存しているが、5年から10年以内には自主化が期待されている。
報道によると、中国は2030年までに70種類以上の車載チップについて独自の技術基準を制定する。車載用チップでは日米欧の大手が強みを持ち、中国国産比率は1割程度にとどまる。中国は10年以内に企業間協力を促進し、海外の大手企業の輸入を国産品で代替する態勢を整え、米国の輸出規制などの影響を受けない国内のサプライチェーンを構築する方針だ。
報道によると、今年初め1月上旬、中国工業情報化部弁公庁が作成・配布した『国家自動車チップ標準体系建設ガイドライン』が新たに発表された。この文書では、2025年までに、中国は30項目以上の自動車チップ重点基準を制定することが提起されている。2030年までに70項目以上の自動車チップ関連基準を制定する。
報道によると、完備した自動車チップ標準体系を構築することで、中国の自動車チップ技術の発展と製品の応用を導き、推進し、中国の自動車チップ技術の自主革新環境を育成し、全体的な技術水準と国際競争力を高め、安全で開放的かつ持続可能な自動車チップ産業生態を構築する。これは中国が世界最大の販売台数を誇る「自動車大国」から世界をリードする「自動車強国」に向かうことを目指す中で、チップが中国自動車業界の発展の「弱点」になるのを防ぎ、米国の制裁の影響を受けない独自チップサプライチェーンを構築する動きだ。
最新データによると、中国の2023年の新車販売台数は前年比12%増の3009万台、輸出も500万台に迫り、日本を抜いて世界トップに躍り出た。中でもEVを中心とした新エネルギー車は38%増の949万台となり、世界市場をけん引している。一方、EVは従来のガソリン車よりも多くの自動車チップを必要とすることが多く、調査会社の蓋世汽車研究院の調査によると、一定の条件下で自動運転が可能な「L4級」は3000個を超えており、これも中国が自動車チップ業界の発展に力を入れる必要がある理由の1つとなっている。
自動車関連政策の立案に関わる研究機関の専門家である高翔氏は、政府の支援策などの後押しで、技術的難易度が極めて高いチップでも、中国は5~10年以内に自動車用チップの国産化による代替が可能になるとの見方を示した。
『中国経営報』、『中国電子報』などの情報を総合すると、カーゲージ級チップには自動車内で使用されるすべてのチップが含まれる。自動車に使用されるチップの種類と役割は多岐にわたり、機能的に分けると、主に「機能型チップ」「パワー半導体」「センサー」の3つに大別できる。
うち機能系チップは主に車両の制御を担当しており、MCU(マイクロコントローラ)チップや現在普及しているスマート運転AIチップが含まれる。パワー半導体は、自動車内の主要部品の電力変換を実現する役割を担う。一方、センサーは自動運転シーンにおける各種探知レーダーが中心だ。
MCUはすべてのチップのうち、パワートレイン、車体制御、エンジン制御ユニットなど、車両に対するすべての制御機能を1枚のチップで実現できるため、最も重要で、技術力も最も高い。しかし現在、カーゲージ級のMCUチップ市場はほぼ海外メーカーに独占されている。
公開情報によると、現在世界シェアの98%近くを占めるMCU市場はルネサス、エヌジープール、インフィニオン、サイプラス、テキサス・インスツルメンツ、マイクロコア、伊仏半導体の上位7社が占めており、中国メーカーは1社もない。
新エネルギー車の販売台数の急成長に伴い、従来のMCUチップもスマート化に伴うレーザーレーダーなどのセンサーやスマートセンサチップも需要が急増している。
(趙 嘉瑋)
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