錫価格が1年10ヵ月ぶり高値 製造業回復や中東不安、中国は家電業者に需要
2024/04/11 11:20
錫価格が上昇基調を強めている。ロンドン金属取引所(LME)の錫価格は4月10日に$3万2925/tonと、2022年6月以来およそ1年10か月ぶりの高値を付けた。中国を中心に製造業の回復基調が意識されて銅やアルミニウムなどの非鉄金属が値上がりし、錫価格も歩を同じくしている。
■中国価格も高騰、家電業者の需要拡大
過去3年間のLME錫価格の推移($/ton)
金融アナリストの川上敦氏も「コモディティは全般に上がっている」と話す。4月1日のシリア大使館空爆をきっかけに中東情勢が不安定化する中で原油や金などが買われる流れが錫にも波及している。
過去3年間のSHFE錫価格の推移(RMB/ton)
上海先物取引所(SHFE)の錫価格も4月10日にRMB24万7310/tonを付け、やはり2022年6月以来の高値圏にある。3月31日発表の中国の3月の製造業景況感指数(PMI)が50.8と半年ぶりに好不況の節目となる50を上回り、中国の製造業に対する過度な減速懸念が後退している。
ネットメディアの亜州金属網(ASIAN METAL)は4月1日付の3月の市況レポートで、「(2023年から続く)家電への政府の支援方針を受けて中国の加工業者の需要が回復する一方で、ミャンマーやインドネシアからの錫インゴットの対中輸出は抑制されたままのため、錫価格が押し上げられている」と指摘した。
■再生錫使用の流れも追い風に
再生錫にも注目が集まる。米アップルは2022年、同社製品の再生素材の使用量が2021年に全体の2割まで拡大したと発表した。脱炭素や環境保護への意識高まりを受け、金属分野にも再利用の機運が高まっている。
(IR Universe Kure)
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