新着情報

2025/08/05   2025年6月 鉛...
2025/08/05   脱炭素の部屋#23...
2025/08/05   PCRプラスチック...
2025/08/05   欧州からの風:Ju...
2025/08/04   日本製鋼所:25/...
2025/08/04   日本触媒「日本触媒...
2025/08/04   バナジウム市場近況...
2025/08/04   JFE HD:26...
2025/08/04   双日、JOGMEC...
2025/08/04   三菱マテリアル、堺...
2025/08/04   三菱マテリアル、小...
2025/08/04   7月のアルミ概況お...
2025/08/04   日本の定置型電池(...
2025/08/04   7月の銅の概況及び...
2025/08/04   半導体向け ソーラ...
2025/08/04   中国のレアアースが...
2025/08/04   猛暑日本に! ヤー...
2025/08/04   タイヤ:25年6月...
2025/08/04   トヨタの有人与圧ロ...
2025/08/04   中国の電炉と高炉の...

オキサイド(6251)23/2期WEB決算説明会メモ ややネガティブ継続

24/2期単独9.5%減収、営業損失8.92億円と1/12予想比再減額着地、25/2期も低水準

株価2544円(4/16)  時価総額280億円   発行済株11005千株 

PER(DO予25/2期:742X)PBR(3.68X) 配当(25/2予)0円  配当利回り:-

 

要約

・24/2期半導体向け不具合影響し単独9.5%減収、営業損失8.92億円と減額予想比未達着地

・25/2期は下期から半導体向け部材供給正常化寄与し29.5%増収、営利2.02億円黒転予想

・新中計で27/2期に売上高110億円、営利率11%、EBITDA比率22%達成を目指す

 

 

4/2期半導体向け不具合影響し単独9.5%減収、営業損失8.92億円と減額予想比未達着地

 

 単結晶及びレーザ光源・装置などを手掛ける研究開発型企業。24/2期決算が4/15に開示され4/16にWEB説明会が実施された。24/2期は単独売上高51.28億円(1/12減額予想比0.76億円増額、9.5%減)、営業損失8.92億円(同1.40億円未達、前年比14.29億円悪化し赤字転落)と、半導体向け不具合影響で経常最高益から一転して大幅赤字に低迷した。なお24/2期Q2よりM&Aを実施したRaicol社を含めた連結では売上高66.06億円(1/12減額予想比0.95億円増額、前単独比14.8%増)、売上総利益18.84億円(期初計画比16.70億円未達、1/12予想比1.40億円未達、前期比17.3%減)、営業損失9.83億円(同1.50億円未達、15.2億円悪化し赤字転落)となった。

 

 連結セグメント別では半導体事業が売上高31.40億円(期初計画比18.38億円未達、0.90億円増額、3.1%減)、受注24.85億円(期初計画比14.05億円未達、43.1%減)、受注残高24.64億円(前期比21.0%減)に。同部門は一部部材不具合問題が生じ売上が計画比大幅減で微減となった。また不具合に対し、ユーザーへの確実な製品供給を優先するため下期受注を抑制、上期18.63億円(同期比18.4%)、下期は6.22億円(同61.3%減)とした。このため受注残高も21.0%減となった。なお、同部門の新規レーザ、単結晶他が売上高26.66億円(5.2%減)、メンテナンス売上が4.74億円(10.7%増)となっている。また利益面では全体で期初計画総利益が35.54億円から18.84億円へ16.70億円減少しているが、この内で約15億円減は半導体事業における一部部材不都合による稼働率低下など利益の逸失12億円と部品修理費など3億円の一過性の利益減が影響している。

 

 

 新領域事業は、売上高18.47億円(期初計画比2.21億円未達、1/12予想比0.30億円未達、前期比2.45倍)。Q2よりRaicol社が連結され、寄与が(23年19.03億円あり3/4で約14.3億円程度と推定)大きく、この分を除くと23/2期スポット売上の反動減で40%程度減少したとみられる。ヘルスケア事業は売上高15.92億円(同1.80億円未達、同0.22億円未達、10.2%減)と中国経済原則影響から主力ユーザーへ出荷が低調で低迷した。

 

 利益面では半導体事業の不具合影響が大きく、その他既存事業も伸び悩んだ中で、コスト面でR&D費10.49億円(期初計画比0.10億円増額、53.8%増)、設備投資20.35億円(期初計画比6.49億円減額、前期比50.2%増)に伴い減価償却費7.15億円(2倍)、加えてのれん償却1.3億円加わる等、先行投資実行のコスト増も赤字拡大の要因となった。

 

 四半期推移では、24/2Q4は売上高19.13億円(前年同期比40.8%増)、総利益4.45億円(6.5%減)、販管費7.97億円(82.0%増)、営業損失3.52億円(同期比3.90億円悪化し赤字転落)となっている。事業別に半導体事業は売上高8.58億円(同期比2.6%増、Q3比74.4%増)半導体事業受注3.90億円(同期比1.6%増、Q3比68.1%増)と、Q3で収益のボトムを確認した格好となっており、その他2事業もボトムを付けた状況にある。

 

 

25/2期は下期から半導体向け部材供給正常化寄与し29.5%増収、営利2.02億円黒転予想

 

 25/2期会社予想は、売上高85.53億円(29.5%増)、営業利益2.02億円(11.65億円改善し黒字転換)、経常利益1.29億円(同8.95億円改善し黒字転換)、税引利益0.16億円(同4.38億円改善し黒字転換)予想とした。半導体向けが第2ベンダーの生産拡大本格化が下期になるため、上期はQ1まで営業赤字が残り、Q2でほぼ収支均衡、下期に営業黒字定着予想とした。

 

 事業別では半導体事業が売上高44.25億円(40.9%増)予想。半期では上期18.80億円(同期比5.0%増)、下期25.45億円(同88.5%増、上期比35.4%増)を見込む。現在、セカンドベンダーの生産能力が需要に追い付かず、月間4~5台の対応であるが、下期は月産10台が可能となる見通しで、四半期で最高額更新、下期大幅拡大を想定している。また利益も一過性のコスト15億円分が削減される見通し。仕入れコストについてセカンドベンダー品はファーストベンダーの倍のコストとなっているが、歩留り100%で劣化しない仕入れ部材となっており、ファーストベンダーが5割の歩留りで同社が品質検査を実行して選別するコスト考慮すると、下期には採算面でも収益性が格段に向上するとしている。ヘルスケア事業は売上高16.0億円(0.5%増)予想。主力ユーザーの在庫調整が長引いており、頭部PET向けも本格拡大は26/2期となる見通しで、横ばい見通しに。新領域事業は売上高25.27億円(36.8%増)予想と、子会社化したライコル社がフル連結しこの分で5億円程度の拡大が見込まれるが、ライコル社の収益が着実に伸びていることも寄与しよう。またこれを除いて10%程度の成長を見込むが、この中では同社が出資しているLQUMO社の量子通信技術開発向けに波長変換素子を供給、加えてライコル社と共同で量子もつれ光子対光源モジュールを開発、これが4億円程度の売上となっている。溶液法を用いたSiC基板についてはサンプル出荷を下期に投入予定するなどが含まれる。

 

 利益面では25/2期も設備投資14.64億円を計画、償却費が10.57億円(24.9%増)、R&D費10.49億円(55.4%増)などのコスト増もあり、EBITDAでは12.59億円(13.96億円増)前提も、営利は2.02億円予想に止まるとしている。

 

 現状、円安傾向が加速しており、円安効果などで会社計画を多少上回る収益が見込めるものの、本格回復は26/2期を待つこととなろう。

 

新中計で27/2期に売上高110億円、営利率11%、EBITDA比率22%達成を目指す

 

 同社は毎年中計をスクロールして開示しているが、今回、中期経営計画として、27/2期に売上高110億円、営業利益率11%、EBITDA比率22%達成を目指すとし、新たな指標として先行投資を含めたEBITDA比率を加えた。なお24/2期が赤字転落となったこと、25/2期も下期回復を見込むことなどで前年発表の26/2期に売上高136億円、営利率11.6%(15.8億円)に対し今中計で26/2期は売上高93億円、営業利益率8%(7.44億円)予想と、大幅な減額となっている。

 

 

 新中計は大幅な減額となったものの、新事業においてはライコル社とのシナジー効果から、宇宙・防衛、美容、エネルギーなどの新事業、さらには量子分野など、10億円を超える事業が創出できる見通し。パワー半導体SiCの量産技術開発では、独自技術のDCCZ法(2重るつぼ法)での実用化がまじかとなるのに加え、様々な製造方法を有する企業としての優位性がある。具体的にはSiCに加え、酸化ガリウム(GaO.3)の低コスト製造法をベンチャーと大学と共同で開発を進める。またGANでも開発が進むなど、パワー半導体分野での事業拡大も加速してこよう。

 

 シリコン半導体向け事業では 先端半導体ウエハ検査装置用深紫外レーザの拡大が期待される。同社は266nmレーザを5nm以下のプロセスノードの最先端ロジック半導体製造プロセス向けにSiウエハ検査装置用光源として供給している。もともとはこの領域で米国コヒーレント社が100%シェアと独占していたが、同社が2020年以降に同製品を開発しシェア30%を獲得するに至っている。現在、先端ロジック開発ではTSMC、インテル、サムスンに加え、ラピダスなどを含め2nm以下のプロセス開発が実行され、更なる微細化ニーズに沿って257nm、244nm,213nmの新製品群を製品化した。同分野ではコヒーレント社は半導体検査向けでは販売しておらず、ドイツのTOPTICA社が大学向けの基礎研究用に販売しているものの、最先端ロジック向けには販売していないなど、同分野において同社が先行している状況とのこと。今後、各半導体メーカーの評価、認定を経て市場投入を目指すとしている。当然、主要株主であるレーザーテック向け、さらには今回第3者割当増資を受け、4位の株主である半導体検査装置のトップKLAテンコール社などでの拡大が期待される。このため26/2期以降の先端デバイスでの検査装置向けで大きく売上拡大の期待が高まる。

 

 ヘルスケア分野では頭部PET用シンチレータ単結晶の売上拡大が期待される。同分野はアルツハイマー型認知症の治療薬がFDAの承認を受けたことで、今後の頭部PETによるアルツハイマー診断の件数が大きく伸びる。世界のアルツハイマー型認知症人口は2019年の5500万人から2030年には7800万人に増加すると見られ、頭部PET用シンチレータ単結晶の需要は将来的にがん診断用を抜く規模が見込める。

 

 全体として25/2期までは半導体向け部材供給の問題が尾を引き、収益の低迷を脱しきれないものの、25/2H2以降、ネックとなる問題の解消、先端ロジック半導体生産の設備投資の大幅拡大、またパワー半導体ではSiCに加え酸化ガリウム、GaNでも大きな伸びが期待され、ヘルスケアでもアルツハイマーでの頭部PETの拡大によるシンチレータの拡大が見込まれる。さらに同社が富士通のスピンアウトとして成長してきた過程、第2位の株主がNTTアドバンステクノロジ、3位がNTTファイナンスであることを考えると、NTTの推進するIOWN構想の中で果たす役割にも期待が広がる。このため27/2期の会社想定の中期目標達成は十分可能とみられる。         

 

 株価は赤字転落を受け、4/16には2535円の昨年来安値更新となっている。現状、25/2期予想EPSが1.57円であり、PERでモノが言えない状況で、中計26/2期想定EPS51円程度と想定した場合でもPER50倍と割高感が拭えない。今後、先端ロジック半導体向けなどで収益の急回復が望め、26/2期には再度経常最高益更新が期待されるものの、大きな変化が具体化するまではまだ時間を要するとみられ、悪材料出尽くしと評価するものの、ややネガティブ継続としたい。

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る