LME Weekly 2024年5月6日-5月10日 銅10,000ドル台復帰、アルミ在庫激増
(為替概況)米雇用情勢悪化から年内利下げ観測再浮上、ドル売り優勢に
前週末の弱米雇用統計に引き続いて9日発表の新規失業保険申請数の予想以上の悪化が労働市場の緩みを示したことで、年内利下げ観測が再浮上円高ドル安の動きとなった。
―東京外為
前週末5月2日(木)
東京TTS
1ドル=157.14円
に対して
5月10日(金)
1ドル=156.70円
で44銭円高ドル安
(LME概況)
カッパーは米年内利下げ観測やドル安で10,000ドル台復帰も、アルミ・ニッケルは供給懸念緩和で下落
(カッパー)米年内利下げ観測を受けたドル安などで反発 10,000ドル台復帰
5月10日、3Mは10,004.0ドルが終値。前週末終値9,910.0ドルに対しては94.0ドル高の反発。8日それまでの高騰に対する修正売りで3ケタの下落となったが、10日、予想を超える米新規失業保険申請数を受けた米年内利下げ観測に支援され、それを超える上伸で、週間での100ドルに迫る反発となった。
キャンセルワラント比率は前週は21%から2週間連続低下して16%に。総在庫は3週連続減少もキャンセルワラントはそれを上回って減少した。(年初第3週からweeklyでの動き、以下同様)
LMEカッパー相場推移(セツル、USD/T)1年
国内建値は、LME堅調のなか円安の底上げで前週からの1,560円を10日1,580円に引き上げ改定。
LMEカッパーVS国内建値推移 3カ月
(アルミ)LME在庫急増、供給懸念緩和で3週続落
3日3Мは2,529.5ドルが終値。前週末3M終値2,551.5ドルにたいしては22.0ドル安の3週続落となった。LME在庫が10日42万トン余り(88%)急増(マレーシアPort Klang)したことが、米年内利下げ観測や欧米株高など買い材料を打ち消した。
キャンセルワラント比率は前週レポートでもふれたが前々週69%に対して55%と、2日にほぼ9万トンにもおよぶリワラントにより急速に低下(週初時点)。当週に入って新規42万トンのワラント在庫急増と14万トン近いキャンセルワラント減少が合わさり、週末時点では14%まで急低下している。リワラントされたロシア産アルミはtier2に格下げされ英国内(米国)顧客への販売は出来なくなるが、LMEのルール上保管料の半分が英国(と米国)外顧客へ販売されたときに保管料の半分が販売者の手に入ることとなる。
LMEアルミ(CASH/3M USD/T)3カ月
NSPはLMEの軟調で前週を引き継いだ482円から8日468円まで急低下、470円に戻して終了。
LMEアルミVS NSP推移 3カ月
(ニッケル)EV需要先行き懸念や根強い供給過剰警戒感で反落
10日3Mは18,952ドルが終値となった。3M前週末終値19,237ドルにたいして285ドル安の反落となった。テスラなどEV陣営の販売頭打ちでEV需要の先行きに懸念が生じていることやインドネシアからの供給過剰圧力警戒感などが、ロシア制裁による一時的混乱が沈静化した後クローズアップされている。キャンセルワラント比率は5-7%レンジで長期推移してきたが、その流れを踏襲して6%で推移。
LMEニッケル(CASH/3M、USD/T)3カ月
(鉛・亜鉛・錫)鉛・亜鉛は続伸、錫3週間ぶり反発
―鉛3Mは前週末2,215.0ドルに対し、10日2,222.5ドルで、前週から7.5ドル高で小幅続伸となった。
国内建値はLME小動きに応じて前週からの408円を引き継いだ。
LME鉛価格推移(セツル,USD/T) 3カ月
LME鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 3カ月
―亜鉛3Mは、前週末2,903.0ドルに対し3日3M終値は2,930.5ドルと27.5ドル高と続伸して終了。前週のスウェーデンBoliden社が労使交渉のため一時操業停止していた欧州最大の亜鉛鉱山アイルランドTara事業所の再開発表で、業界見通しが好転した。
国内建値はLME堅調のなか前週からの523円からスタートも円高を受け502円~508円で推移。
LME亜鉛(セツル,USD/T) 3カ月
LME亜鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 3カ月
―錫:3M前週末終値31,983ドルに対し、10日、3M終値は32,093ドル(110ドル 高)と3週間ぶり反発して終了。安値からの修正買いとドル安が支え。
LME錫価格推移(セツル,USD/T) 3カ月
(マクロ経済・重要イベント)
―マクロ経済指標結果
米国
5月8日(水)
*米10年債入札結果
最高落札利回り 4.483%(WI:4.473%)
応札倍率 2.49倍(前回:2.34倍) 5月1日(水)
5月9日(木)
米国新規失業保険申請件数
結果 23.1万件 予想 21.0万件 前回 20.9万件(20.8万件から修正)
予想 50.1 前回 50.3
5月10日(金)
5月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
結果 67.4 予想 76.3 前回 77.2
―今週の重要イベント
5月14日(火曜日)
米国
生産者物価指数 2024年4月(労働省)
5月15日(水曜日)
米国
製造業景況指数 2024年5月(ニューヨーク連銀)
5月16日(木曜日)
新規失業保険申請件数(労働省)
製造業景況指数 2024年5月(フィラデルフィア連銀)
5月17日(金曜日)
米国
景気先行指数 2024年4月(カンファレンスボード)
中国
住宅価格指数 2024年4月(国家統計局)
小売売上高 2024年4月(国家統計局)
鉱工業生産 2024年4月(国家統計局)
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
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