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三和油化工業(4125) 24/3Q3決算説明会メモ 悪材料織込みポジティブ継続

24/3期再減額修正し10.3%減収39.0%営利減予想と23/3期最高益から収益大幅低迷に

株価2443円(5/27) 時価総額105億円 発行済株4318千株

PER(2453期DO予:11.1X)PBR(0.88X) 配当40円  配当利回り:1.6%

 

要約 

・24/3期は10.0%減収32.1%営利減と半導体、化学等の低迷で収益低迷

・25/3期8.7%増収1.6%営利増、2.5%経常減益予想と下期に回復がずれる見通し

・中計減額も半導体・電池・電子部品業界増で27/3期売上高230億円、営利22億円目指す

 

 

24/3期10.0%減収32.1%営利減と半導体、化学等低迷で前期最高益から一転大幅収益低迷

 

 蒸留・高純度化技術で廃油等の再生・再資源化に強味を持ち、一方で電池・半導体向け化学製品も手掛ける。

 

 

 24/3期決算が5/14に開示され、5/17に説明会が実施された。24/3期は売上高156.33億円(期初計画比23.67億円未達、2/13減額修正予想比0.63億円増額、10.0%減)、営業利益12.71億円(同6.70億円未達、同1.29億円増額、32.1%減)、経常利益13.60億円(同6.09億円未達、同1.90億円増額、29.7%減)と前期の最高益から一転、収益大幅低迷に。

 

 

 事業別ではリユース事業が売上高30.85億円(期初計画比4.15億円未達、2/13修正予想比0.41億円増額、2.0%減)同期比4.9%減)と、再生製品の販売価格は上昇も半導体業界の低迷などで取扱数量が減少し減収に。リサイクル事業は売上高56.35億円(同1.15億円未達、同0.02億円増額、6.3%増)と新規顧客増による取扱量が拡大、能登震災で北陸地方からの廃棄物取引が一時的に減少も、廃油・廃液・廃アルカリの液体廃棄物と汚泥・廃プラスチック等の固形廃棄物が何れも増加し増収に。化学品事業は売上高35.54億円(同17.96億円未達、同0.02億円増額、37.4%減)に。これは半導体関連顧客の生産調整に伴う需要減に加え原材料の主要品目が大きく価格下落で溶剤販売数量が大きく減少、加えて2Qまで好調だった電池向け製品についてQ3で増設工事のために主力設備を停止したことも影響した。自動車事業は売上高26.77億円(同0.23億円未達、同0.14億円増額、10.6%増)と、自動車生産の回復も自動車部品メーカーでの在庫が依然高水準で金属加工油、潤滑油等の販売数量が伸び悩んだものの、売価への価格転嫁が進み増収を確保した。PCB事業は売上高6.80億円(同0.20億円未達、同0.05億円増額、16.8%減)と2027年の処理終結に向け計画通りの減少となった。

 

 利益面では半導体、化学業界の稼働率低下影響による売上減が大きく、限界利益が3.76億円減、これに人員増、償却費増などの固定費増が2.52億円加わり、大幅営利減に。但し、総利益率では利益率の高いリサイクル事業の拡大、解体工事の大型受注が寄与し、28.7%から29.6%へ改善されている。

 

 四半期推移では24/3Q4は売上高36.84億円(同期比8.2%減、Q3比6.4%減)、営利2.09億円(同53.5%減、同30.8%減)と、Q3比Q4でも収益の回復が進んでいない。事業別では微増も、営業利益は棚卸評価減や外部への廃棄物処理費増、販管費の職場改善費等の増で減益継続となっている。

 

 

 事業別ではリユースが8.31億円(同期比6.8%増、Q3比6.1%増)と堅調も、リサイクル13.02億円(同0.8%減、同15.5%減)と能登震災影響があり、化学は6.72億円(同41.0%減、同11.1%減)と半導体、化学品の低迷継続と電池設備休止影響も加わり大幅減に。

 

 

 利益面でのQ3対比では震災影響による減収、単価下落による限界利益の減少1.34億円、固定費型のリサイクル事業の固定費増などで31.1%営利減に。

 

 

25/3期8.7%増収1.6%営利増、2.5%経常減益予想と下期に回復がずれる見通し

 

 24/3Q4で収益低迷を脱しきれず、25/3期会社予想は売上高170億円(中計計画比35億円下方修正、8.7%増)、営利13億円(同9億円下方修正、1.6%増)、経常13.3億円(2.5%減)、税引9.5億円(8.8%減)予想とした。上期まで半導体、化学が回復せず、25/3H1を売上高80億円(0.1%減)、営利5.5億円(28.5%減)、経常5.6億円(28.9%減)。税引4.0億円(24.2%減)予想とし、25/3H2に回復を想定している。

 

 事業別ではリユース37.0億円(19.9%増)、化学品40.5億円(14.0%増)の拡大を見込む。リユースではMLCC関連の回復、溶剤再生が活性化、半導体メモリ関連でリン酸数量の増加を見込む。同事業での半導体・電池・電子部品業界向け売上を18.7億円(38.5%増)と見込む。化学品は電池用バインダ事業の再稼働、半導体向けの下期回復を見込むが、こちらでは半導体・電池・電子部品業界向け売上を21.1億円(11.1%増)と回復は下期本格回復を見込む。なお従来事業分野の中で自動車の中の解体・作業代を除外し、PCBと合わせてエンジニアリング事業として再編している。

 

 利益面では増収効果で限界利益6.26億円増を見込むが、償却費増や人件費増など固定費増が3.55億円、加えて退職給付会計の基準変更で2.5億円の一時費用が影響、営利ほぼ横ばい予想としているが、特別要因を除けば実質営利15.5億円(21.2%増)予想となる。

 

 現状、半導体、化学品の回復が下期にずれる見通し通りの状況があり、会社計画並みの収益が想定される。

 

 

中計減額も半導体・電池・電子部品業界増で27/3期売上高230億円、営利22億円目指す

 

 同社は「社会から必要とされる環境リーディングカンパニー」を目指すとしてグランドビジョン2030を掲げ、31/3期には事業規模倍増の売上高350億円、営業利益42億円を目指すとしている。この中で中期経営計画として25/3期に稼働予定の設備を含め、設備稼働率の向上、東西地域の新規顧客開拓、本社地区での車載用電池関連のリユース・リサイクルなどを実行し、確実性の高い安定的な事業成長・業績拡大を実行し26/3期に売上高230億円、営利26億円を目指すとしていた。しかし24/3期は半導体の不振、中国経済の減速、EV需要のスローダウンなど、策定時の想定から大きく前提条件が崩れ、24/3期大幅な進捗未達を余儀なくされた。現状、半導体については回復が半期程度遅れ、またEV、中国については不透明感が残ったままの状況にある。このような環境で、同社は新たに中計を見直し、新中計として27/3期に売上高230億円と1年後ずらしし、営業利益については市況下落やコスト高止まりなどから営利22億円を目指すこととした。但し、半導体、EVの中期的な拡大は変化しておらず、グランドビジョン2030目標は変更しないとしている。

 

 

 今回の中計では半導体・電池・電子部品に加え。解体・清掃事業を成長分野として捉え、成長分野の売上を24/3期の40.7億円に対し27/3期に105.5億円に拡大する計画。

 

 

 この実現に向け、25/3期は半導体向けに本社工場に蒸留塔を増設、また出雲村田製作所MLCC増設設備投資(470億円投資)を睨み溶剤廃液処理受託再生対応など積極的な設備投資を実行、26/3期には電池向け再資源化設備増強が本格始動する見通し。また半導体アイランド化となっている九州地区ではエア・ウォーターマテリアルと合弁でリユース・リサイクル事業を行う新工場を60億円かけて建設、蒸留塔新設も行い、26年春完工、26年中の稼働を目指す。この他、解体事業は日本のエチレン生産工場の閉鎖、再編に対し受注獲得を狙う。

 

 

 現状、半導体については急速に生産が回復、特に熊本ではJASMも24年中の稼働、その後第2工場建設、その他マイクロン、キオクシア、パワー半導体各社の設備投資が相次ぎ、半導体関連化学品などの生産工場も増設が相次ぐ状況にある。また電動車については遅れていた日本メーカーによる設備投資が本格化、加えてHEVの好調持続などもあり、電池関連も日系メーカーの需要拡大が見込まれる。MLCCについてはスマホの伸び悩みも自動車については電動化、自動運転など車載需要が本格拡大見通しで、同社事業も改めて拡大が見込まれる。この様な状況から、従来中計に対し大幅減額となった新中計の事業目標は十分達成可能と見られる。

 

 株価は過去最高益を達成した23/3期に対し24/3期が期初予想で最高益更新予想も、結果は期中に大幅減額し大幅下落、4/25には2262円と22/8/1の高値7320円の3/1まで下落し、その後も反発に乏しい動きとなっている。現状、25/3期も経常減益予想、中計も見直し減額したこと、また25/3H1まで減益が継続する見通し。現在、25/3期会社予想EPS220.01円に対しPER11.1倍はイボキンの10.3倍、エンビプロ12.3倍、TRE11.6倍とほぼ同様の水準となっている。但し、25/3期は会計上の一時費用2.5億円を含み、実質は21%増益予想で有り、半導体産業向け等の回復、電池の生産能力拡大などを評価、悪材料が織込まれたと判断し、PBR0.88と下値不安が少なくポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

                                                                                                

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