2023年のアルミ缶リサイクル率は97.4%へ アルミ缶リサイクル協会
21日、東京竹橋の如水会館で、アルミ缶リサイクル協会の2023年事業活動実績記者会見が行われた。
出席者
理事長 石原美幸(㈱UACJ 取締役会長)
副理事長 神崎敬三(東洋製罐グループホールディングス㈱ 常務執行役員)
理事・企画委員長 山田憲吾(アルテミラ㈱ グループ戦略統括 部長)
アルミ缶リサイクル率は97.4%へ
協会は、まず23年の活動報告を行った。
23年の飲料用アルミ缶の国内需要量は、前年比2.6%減の約210億缶(209億7,000万缶)となり9年連続の200億缶は維持されたとした。アルコールの飲食店需要が回復した一方で、昨年10月に増税となったビール類の新ジャンルが大きく落ち込んだ。
一方、清涼飲料向けは、清涼飲料の国内生産は、天候要因等で増加し、101.9%と増加したが、アルミ缶需要が、コーヒー向けボトル缶の値上げが影響し95.3%と落ち込み、缶数ベースでは、97%となった。
以上の要因から国内総需要は、やや減少という結果となった。
24年の需要予測は、昨年10月の酒税改定、物価上昇等の要因で、新ジャンルの需要の減少、ビール類の缶需要が減少すると予測したが、その他アルコール向け缶は、新ジャンルからの移行により増加すると予測。清涼飲料向け缶は、今後猛暑が予測されるが物価上昇により、良くて前年並みと予測した。
以上の要因から、国産アルミ缶全体の需要予測は、前年をやや上回る100.2%とした。
輸入缶については、為替動向が不明なため前年並みとしている。
(アルミ缶リサイクル協会データをもとにIRUNIVERSEで作成)
続いて、23年のアルミ缶リサイクル率は、97.4%となり、前年の93.9%から上昇した。
この要因としては、母数となる国内消費重量が5.6億缶減少し、前年比で12.200トン減少した事が影響した。
一方分子となる、UBC輸出については、タイ向けが大きく減少したが、韓国向けが前年と比べ約4,800トン増となり、UBC輸出全体では、58,891トンとなり、前年比で420トンの増加となった。
また、国内の再生利用重量は、国内の事業者の資源循環の意識が高まる中、再生地金の利用率が維持されたと見越し、微減にとどめた。
また、Can to Can 率については、前年比2.9%増の、73.8%となった。
リデュース率は前年比で6.8%の軽量化に成功したという。協会としては、2025年には、2004年比で、6.0%の軽量化を目指し、これで6.0の軽量化は3連続で達成されたとした。SOT缶の胴部や缶底の薄肉化が進み、前年よりも0.12g軽くなったことが要因としている。
(アルミ缶リサイクル協会のデータをもとにIRUNIVERSEで作成)
今後普及させたい「アルミカップリサイクルマーク」
協会としては、引き続き関係団体等への表彰制度を拡充させたいとし、さらなるリサイクル率の向上に努めたいとした。
また、昨今、イベント会場などで普及が始まっている「アルミカップ」について、アルミ缶と同じ素材でできており、リサイクルができる素材であるものの、アルミ缶識別マーク利用について、容器包装リサイクル法で、「飲料、酒類が充填されたもの」と定められているため、アルミ缶識別マークが利用することができない状態だという。
協会としては、業界統一マークとして「アルミカップリサイクルマーク」を定め、アルミ缶と一緒にリサイクルができることをわかりやすく伝えることを目指すとした。当マークについては、第三者への使用承諾等の管理、運用はすべて、当協会が行うこととした。
会見終了後の質疑応答では、韓国向けの輸出が増えていることについて、
「ウクライナ戦争の影響で、EU圏内からUBCが入りにくくなっているので日本からの輸入が増えたことに加え、韓国国内で、Novelis社が新たにアルミ缶製造工場を立ち上げたことも大きな要因となった」とのこと。
また、リデュース率について、これまですでに限界が近いとされていた薄肉化について、さらなる薄肉化が可能なのか、という回答については
「技術的には可能。ただ、運用面で実際に販売する過程で問題ないか、という検証が必要。」と回答した。
アルミカップについては
「このアルミカップは、500mlのアルミ缶がそのまま入るが、飲みきるまで冷たい状態を保てるのが特徴。あるサッカーの試合で、アルミカップを提供したところ非常に好評だった。協会としてはこのアルミカップの普及を目指したい。」と語った。
(IRUNIVERSE Hatayama)
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