廃棄物対象パネルから選別したリユース太陽光発電所、リサイクル企業や電力会社が建設計画
リサイクル業者や電力会社がタッグを組んで、廃棄物の中から選別した太陽光パネルだけを使ったリユース発電所が、広島県東広島市に建設されることになったーー。鉄スクラップやガラスなどのリサイクルを手掛ける「こっこー」(広島県呉市)は、電力会社を含む地元広島県の3企業と、使用済み太陽光パネルのリユースやリサイクルについて、業務提携を結んだ。大量廃棄時代に向けて、新たな循環システムの構築に向けて、4社が連携する。
こっこーの手動ガラス剥離装置
こっこーと提携を結んだのは、中国電力のほか、関連会社の設備メーカーである中電プラント(広島市南区)、リサイクル企業のスナダ(広島県東広島市)。こっこーとスナダは、太陽光パネルの処理施設をすでに導入した事業者だ。中国電力は今年度末までには太陽光発電所の建設に着手したい考えで、同様の発電所は全国的にも初めてのケースになると思われる。
今回の提携では、中電グループでの廃棄パネルを再利用(リユース)した太陽光発電所の建設から、発電電力の供給までを行う仕組みと、リサイクル企業の廃棄パネルを資源としての再利用(リサイクル)する両方を、一体的に進める体制を構築していく。
具体的には、こっこーとスナダは、一般家庭や企業、太陽光発電所などから排出される廃棄パネルを収集して運搬し、検査するなどしてリユースできるものを選別する。さらに、中電プラントがリユースできるパネルを引き取ったうえで、中電プラントが様々な規格のパネルを組み合わせた発電設備の設計、施工し、保守管理を手掛け
る。中国電力は、完成した太陽光発電設備で発電した電力を消費者に供給する役割を担う。
今後、中国地方の5県で廃棄されたパネルを回収していくことを想定しているという。
こっこー資源循環部の担当者は「多種多様な形状で、メーカーも様々。1枚1枚が発電効率も違うパネルを、どのように組み合わせて発電所としていくかが重要なポイントになってくる」とし、さらに「リサイクル企業としては、リユースとリサイクルの組み合わせを排出者へアピールすることも必要になる」と説明する。
回収したパネルのうち、リユースできないパネルについても、こっこーとスナダが専用の処理装置でリサイクル処理することになる。
この事業は、広島県の補助金を受けながら、県立総合技術研究所農業技術センター(同県東広島市)の敷地内に初めてとなるリユース発電所を建設する計画で、リユース発電所の性能や事業性などを検証していくという。
太陽光パネルは2012年7月から始まったFIT(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)以降、全国的に導入が進んだ。パネルの耐用年数は20~30年とされ、試算では、使用済み太陽電池モジュールは33年に排出量が一気に増加。年間17~28万トンに達すると見込まれている。
関連記事:中国電力他 廃棄太陽光パネルによるリユース発電所建設で業務提携締結
(IRuniverse Kogure)
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