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積水化学、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品化に向け事業加速

積水化学工業製のフィルム型ペロブスカイト太陽電池

 

 

 

 

 大手樹脂加工メーカーの積水化学工業が、軽量で柔軟なフィルム型ペロブスカイト太陽電池について2025年の製品化に向けて、事業を加速させている。国内で初めてビル壁面に取り付けた製品からの電力を再生可能エネルギーとして今年7月に社内で利用を開始。また、製品化後の「第1ターゲット」に見据える軽量屋根上への設置などに向けて、効果的な設置方法などを検証するため、大手石油元売り企業などと共同実証も始めた。積水化学の独自技術で向上させた耐久性を持つ同社製品は、現実的な実装フェーズが視野に入ってきている。

 

 

 同社がペロブスカイト太陽電池に注目し、開発に乗り出したのが2013年。それまではシリコン系とは違う別の種類の太陽電池の研究を進めていたが、課題だったペロブスカイトの耐久性に着目。「当社の技術を結集すれば耐久性が出せる可能性がある」(積水化学コーポレートコミュニケーション部)と見込んで、ペロブスカイト太陽電池開発に一気に舵を切ったという。現在は厚さ1ミリほどで、重さは1平方メートル当たり1キロ強、シリコン系の10分の1ほどになり、発電効率は15%ほどだ。

 

 同社製の最大の売りが、耐久性に優れている点だ。耐久性は、フィルム型を開発する上での「肝」ともされているという。

 

 ペロブスカイトは水分などに弱い。太陽電池をシートなどに挟んで樹脂などで密封し、水分などから保護している。同社はこれまでに液晶用の封止剤の生産で、世界有数のシェアを持つ技術蓄積があった。そのため、ペロブスカイト用に応用して、密閉技術を編み出したという。

 

 現状では、屋外での耐久性について「10年相当」とする強さを試験的に確認している。来年ごろまでには、耐久性を現状の2倍近くにまで向上させることを目指しているという。

 

 

壁面設置で発電、社内で電力活用

 

 

 同社内では、同社製のペロブスカイトで発電された電力を利用する取り組みも始めている。同社の大阪本社が入る大阪市のテナントビルで、リニューアル工事を実施していることに合わせて、同社製ぺロブスカイト太陽電池を組み込んだ建材パネルを開発。シリコン系では取り付けが難しかったビル12階の壁面に、縦1メートル・横1メートルの太陽電池計48枚を設置した。取り付けた昨年10月時点では、実際に建物壁面に常設設置したのは国内で初めての試みだったという。

 

 今年7月には、その太陽電池に蓄電ユニットやパワーコンディショナーなどを追加で実装。大阪本社内のコワーキングスペースで、社員らがパソコンでの作業などをする際の電力として供給され始めた。

 

 また、7月中旬からは、全国に石油関連施設や給油所などを展開しているコスモ石油などと協力。フィルム型ペロブスカイト太陽電池を、給油所や事業所のガソリンなどを貯蔵したタンク壁面に設置するための共同実証実験を、コスモ石油中央研究所(埼玉県幸手市)などで取り組み始めた。約1年の実証期間を予定。曲面を持つ設備への設置や施工方法の検証や実際の太陽電池による発電データの収集などに取り組む。

 

 給油所の屋根への普及も目指し、耐荷重の小さい屋根で設置や施工方法の検証のほか、発電データの観測を行う。「軽量屋根と呼ばれる耐荷重のない屋根が当社の第一ターゲット。どういう取り付け方が最適なのかを顧客とともに検証していく」(積水化学コーポレートコミュニケーション部)という。

 

 同社製品は、第1弾として、25年4月の関西万博で披露される予定だ。その後、シリコン系を載せるには重さが耐えられない工場などの軽量屋根への普及を目指し、公共施設の屋根や壁面などにも広げていきたい考えだ。

 

 

(IRuniverse Kogure)

 

 

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