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「持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター 第3回シンポジウム」開催

 2024年7月31日(水)に 2022年度4月に設立された東京大学生産技術研究所持続型材料エネルギーインテグレーション研究センターが第3回シンポジウムを開催した。

 センター初の対面でのシンポジウムの開催となった。八木副センター長の司会のもと、エネルギーデバイス研究部門の枝川圭一教授及び砂田祐輔教授等が講演された。岡部徹教授も登壇された。

 

 会場は東京大学生産技術研究所An棟2階 コンベンションホールで、交流会は、An棟1階 アーベ クッチーナナチューレで開催された。

 

 

持続型材料エネルギーインテグレーション研究センターは、

2004年~2006年 サステナブル材料国際研究センター、

2008年~2018年 エネルギー工学連携研究センター、

の二つの独立した活動により、持続可能社会実現のための「エネルギー・資源・素材」研究の中核拠点を形成するとともに、産学連携と国際連携活動を推進し、

2022年度4月に立ち上がったセンターである。

 

“インテグレーション”とあるように多くの分野の専門家が集結して研究をされている。供給側からの一方向からの研究から、循環を考慮した上で、需要側を含めた全体システムから将来を考慮しつつ全体最適化を図る研究を目指している。

 

 今回のシンポジウムでは、

エネルギーデバイス研究部門の枝川圭一教授及び砂田祐輔教授

エネルギー材料研究部門の岡部徹教授

材料エネルギーインテグレーション研究部門の大岡龍三教授及び馬場博幸特任准教授が講演された。

 

 副センター長、八木俊介准教授が司会を、センター長、鹿園直毅教授が、開会の挨拶及びセンターについて紹介した。

 

写真上:司会 八木俊介副センター長

ご専門は材料電気化学、エネルギー変換・貯蔵材料、湿式表面処理など。

 

写真上:開会の辞・センター紹介をされる鹿園直毅センター長

ご専門分野は機械:固体酸化物形燃料電池,外燃機関,ヒートポンプ,高効率エネルギー変換システム

 

持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター

 このセンターは、カーボンニュートラルに向けた新しいマテリアルプロセスの開発、クリーンエネルギー製造・利用のための新技術開発を進めるため、2022年度4月に設立された。

エネルギー供給から最終利用そしてリサイクルまで、材料研究とエネルギー研究の連携のもと、エネルギー問題全体を俯瞰した研究が進められている。

 

 本シンポジウムでは、センター発足後の成果や現在の取り組みを紹介。シンポジウムを通して様々な分野における研究内容を互いに理解しあうとともに、研究へのフィードバックがかかることを目指す。

 

持続型材料エネルギーインテグレーション研究センターについては下記よりご確認ください。

持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター (u-tokyo.ac.jp)

 

 講演内容の一部を紹介する。

 

 レアメタルの現状と環境破壊 東京大学 生産技術研究所 教授 岡部 徹氏

 35年以上レアメタル製錬の研究に従事

 

 岡部教授によれば、鉱物からの製造のみならず、スクラップからメタルを取り出すにも環境を破壊する。

 

 世界中は環境問題として“CO2”発生量“のみ”での環境負荷を評価しているが、

 “非鉄金属の生産は、有害物質の発生を伴うこと”を考慮すべきである。

 

 銅鉱石中の銅の品位は約0.5 %程度であり、1トンの銅を製造するには、200トンの鉱石を処理する必要があり、世界には膨大な廃棄物の山が蓄積され、すさまじく環境を破壊している。つまり、電気自動車に必要な約50 kgの銅を造るには、10トンの廃棄物をどこかに捨てていることになる。

 

 一般には知られていないが、電気を流す銅(99.99 %の銅)の生産には、As(ひ素)、Cd(カドミウム)及びHg(水銀)が随伴する。

 1年間に一つの工場で概算約1万トンのAsが動いている。これらは、人に住んでいないところに捨てられ続けている。このような状況下で本当に電気自動車は「環境にやさしい」と言えるのだろうか?

 

 さらに、レアアースをはじめとするレアメタルに関して最大の問題は、“鉱石の本来の価値”があまりに低く評価され、タダ同然に扱われていることである。

 

 最後に「バリュー・オブ・ネイチャー」についてもっと真剣に考えてほしいと訴え、リサイクル技術によれば、工業製品(スクラップ)から銅を取り出す場合には、鉱石由来の有害物質は発生しないことを強調された。

 

第3の固体「準結晶」の物質科学-熱マネジメント応用に向けて-東京大学 生産技術研究所 教授 枝川圭一氏

 

写真上 エネルギーデバイス研究部門 枝川圭一教授

ご専門は材料強度物性(準結晶, 非周期材料, 結晶転位)

 

 「準結晶」という単語をすっかり忘れていたが、二次元のベンローズ格子をみて、1980年代頃、一時注目されていたのを思い出した。2011年のノーベル化学賞は、1982年に準結晶を発見したテクニオン・イスラエル工科大学(ハイファ)のDan Shechtmanに贈られている。

 

参考文献:鉄と鋼 ja (jst.go.jp)

二次元のベンローズ格子 上記参考文献より

 

 枝川圭一教授のグループの最近の準結晶における研究成果は、下記のとおり。

 高温異常比熱の発見   _pdf (jst.go.jp)

 フォノン‐フェイゾン結合弾性の存在を実証

 ファンデルワールス層状準結晶の超伝導の発見

【記者発表】新発見:ファンデルワールス層状準結晶の超伝導 ――第3の固体「準結晶」の超伝導発現機構の解明に糸口―― - 東京大学生産技術研究所 (u-tokyo.ac.jp)

 

 枝川教授は大規模物性データベースを用いた高性能熱整流材料の探索をされており、ご講演では、熱伝導度の温度依存性の正係数が大きい準結晶と、負の係数を持つ材料を連結させることで、熱整流材料ができること紹介された。

 

 公開されているStarrydata(過去の論文に記載されているデータをデジタルデータ化したもの。)を統計処理することで約1万データの解析から、準結晶の熱伝導度の正係数が異常に大きいことを確認するとともに、最適な組み合わせを確認した。

 

 Al-Cu-Fe系準結晶とCu-Ag-Seの組み合わせにより熱整流比TRR=3.2を達成できる。

 

水素活用・貯蔵に向けた貴金属フリー触媒開発 東京大学 生産技術研究所 教授 砂田祐輔氏

 

写真上:エネルギーデバイス研究部門 砂田祐輔教授

ご専門は機能性金属クラスター科学(金属クラスター, 触媒, ナノサイズ機能性金属材料, 鋳型合成法)

 

 水素を効果的に貯蔵・運搬する技術の開発が望まれている。化合物の中に水素を貯蔵する技術として、砂田教授は、水素活用・貯蔵に向けた新しい水素キャリアの開発と、貴金属フリーである鉄系触媒開発について紹介された。

 

 通常Pt(プラチナ 白金)等の高価で貴重な貴金属触媒が用いられるが、水素分子を活性化できる安価な鉄系錯体触媒を開発し、その上で、水素を安全に貯蔵・運搬できる仕組みを構築する。

 

 本研究では、近年注目を集めている有機ハイドライド法に代表される化学的水素貯蔵法に注目し、骨格内にケイ素を組み込んだ独自の水素キャリアの開発を紹介された。

 

 例えば、水素をケイ素―水素結合をもつ材料として運ぶ。

 

参考資料 戦略的研究シーズ育成事業「貴金属フリー新規触媒技術の開発」 (kistec.jp)

 

 シンポジウム後、交流会が開催された。

 

写真上:乾杯の挨拶をされる鹿園直毅センター長と、シンポジウム参加者

 

中締めの挨拶をされる、八木副センター長と参加者及び講師

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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