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バーゼル国際バッテリーリサイクル会議(ICBR2024年)最終日

 スイス・バーゼルで開催されているICBR2日目(最終日)は、午前午後とも二部に分かれたセッションで多数のプレゼンテーションが行われた。バッテリーリサイクルに関わるステークホルダーによる議題は、昨年施行され、今後段階的に適用となる電池規則の要件に対応するための取り組みが中心となっている。

 

 焦点の一つは、リサイクル技術における現状とそれぞれのリサイクル企業の取り組みだ。そのなかでもリサイクル率ターゲット、材料回収ターゲット、再生材最低含有ターゲットへの対応は特に準備に時間を要するものだ。また異例の速さでEUが採択した重要原材料法(規則)の要件は、さらなるEU域内における再生材生産の引き上げを義務付けるものとなっている。加えて、リサイクラーは、再生材の生産のみならず、電池グレードという高品質の再生材を生産することも必要となる。それにはブラックマスの生産とその先の精製技術の向上が必須だ。

 

 独リサイクルAccurecは、電池リサイクルセクターにおける投資はこれまで前処理過程が中心となっていたが、規制との絡みもあり、精製過程への投資増加の重要性を強調した。同社はリサイクルバリューチェーン全体をカバーする戦略を展開、高品質で効率の高いリサイクル技術により、電池グレードの再生材生産を推進している。EU規制下では、リサイクル過程におけるCO2排出の削減、エネルギー消費の削減にも対応しなければならないため、Accurecは同時進行でこれらの項目の実践にも取り組んでいる。

 

 リサイクルHydrovoltは、ここに至って電池リサイクルにおける難しさとこれまでに学んだ教訓について語った。

 

 そのなかで、同社がスタートアップとして事業を開始した時期から現在まで、規制に係る顧客需要の変化が非常に早く、その都度対応していくことへの難しさが挙げられた。例えば、数年前まで「ブラックマス」という用語を聞くことさえ稀であったが、数年間でブラックマスへの注目度が一気に上昇した。その結果、顧客からの注文もブラックマスの生産、高品質な材料回収、回収率の向上というものに移行しているため、業者は対応しなければならない。また、電池の構造やパーツが調和化されていないため、リサイクルのオートメーション化が非常に困難であることも大きな障壁の一つであることにも触れた。

 

 日本から東レ・宮本氏からは、同社が開発した「ナノろ過膜(NF膜)」を用いた使用済リチウムイオン電池からのリチウム回収についてのプレゼンテーションが行われ、精製技術の改善を狙うリサイクル業者の注目を集めた。この技術は、NF膜によりブラックマスを濾過することでリチウムの回収率(80%)を大きく高めるもので、本格的な商業化は2027年を見込んでいる。

 

 午後の部のセッションでは、電池のリマニュファクチャリング・リパーパスにも焦点が当てられた。これらも電池規制下で対応が必要となる項目である。また、電池解体過程におけるオートメーション技術やダイレクトリサイクル技術なども紹介された。

 

 今回のICBRは、欧州の電池関連業界の方向性を左右するEU規制と規制要件対応に伴う関連業界の技術開発をめぐる議題が比較的バランスよく紹介されていたように感じた。現在、欧州ではEV売り上げの停滞に伴う生産の縮小が報じられ、電池市場の成長も懸念されている。これには、EU各国のEV購入インセンティブが一時的に終了したことや、EV価格が高いことなどが背景にある。一方で、会議に参加した印象では、2030年以降の使用済EV用電池の急上昇に向け、欧州の電池リサイクル業界は引き続きEU規制に牽引され前進し続けているようだ。EVとEV用電池については、成長予測に現実が追いついていないに過ぎず、スピードは一時的に減退してもこのままEVへの移行は進行するという見方もある。EVはすでに市場に準備されており、今後は消費者の購買意欲に頼るものが大きい。それには消費者の意識改革とEV用充電ステーションのインフラ定着が必須事項であり、OEMの大きな課題は価格を下げることだろう。

 

 

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SCHANZ, Yukari from Basel, Switzerland

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