フィリピン、初のLFP大型工場 ルソン島に豪中資本で、新エネルギーに期待膨らむ
フィリピンで初めてのリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)の大型工場が、9月30日に開所した。開所式にはフィリピンのマルコス大統領が出席。「非常に重要な産業への大規模な投資だ」と述べ、新エネルギー産業への期待を滲ませた。
■ルソン島に180億円投じた大型工場
開所式の後で取材に応じるマルコス大統領
(出所:フィリピン政府ホームページ)
フィリピン政府プレスリリース:StB Giga Factory a major investment in a very critical industry—PBBM – Presidential Communications Office (pco.gov.ph)
工場はフィリピン北部ルソン島のタルラックに位置し、投資総額は70億ペソ(約180億円)。年産能力は300MWhで、10月から商業運転を開始する。製品はフィリピン国内に供給するほか、アジア各地やオーストラリア、米国に輸出する。さらに2か所の工場建設を計画しており、2500人の雇用創出を見込む。
工場を運営するのは、オーストラリア系ファンドのStBキャピタル・パートナー(StB Capital Partner)の電池子会社StBギガ・ファクトリー(StB Giga Factory)で、中国企業も出資する。マルコス大統領は、2023年3月の東南アジア諸国連合(ASEAN)とオーストラリアの特別サミットの際に、オーストラリアとの間でこのLFP工場に関する誓約を結んでいた。
■半年で完工、EV振興と輸入燃料の減少目指す
この工場建設で話題になったのは、その工期の短さだった。着工は2023年7月だったが、2024年3月に計画が大幅に拡大され、本格建設が始まってからわずか6ヶ月で開所に至った。マルコス大統領は記者団に、「それを成し遂げたことを誇りに思う。短期間での実現には、非常に感銘を受けた」と話した。
フィリピンの新エネルギーや再生可能エネルギーへの期待は強い。10月1日付のマニラ・スタンダードなどの現地メディアによると、マルコス大統領は「この工場は、フィリピンが支援する電気自動車(EV)市場をサポートし、輸入燃料への依存をさらに減らす」と説明。さらに、「この(大規模な)投資は、フィリピンが今、イノベーションを起こす準備ができており、ハイテクでインパクトのある投資の頼りになる目的地になる準備ができているというメッセージを世界に送るものだ」と話したとも伝えた。
(IR Universe Kure)
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