JOGMEC、海外と相次ぎ協業 リチウムやニッケル、LNGなど 10月に活発化
経済産業省が管轄する独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が10月に入り、海外との協業を活発化している。10月7日と10月3にはオーストラリア企業との天然ガス(LNG)やリチウム事業での協業を発表。イタリア企業ともLNG供給で覚書を交わした。10月3日には欧企業がニッケル採掘でのJOGMECとの提携を発表した。
■鉱業分野では豪リチウムと欧ニッケル
鉱業分野では、10月3日にJOGMEC側と企業側からそれぞれリチウムとニッケルを巡る協業について発表があった。
まず、リチウムについては、JOGMECは「9月27日付で豪探鉱のアルケミー・リソーシズ(Alchemy Resources)との間で、西豪バースのローヒルズ地域でのリチウム鉱山での共同探鉱契約を結んだ」と発表した。JOGMECは今後5年間で600億豪ドル(円)を拠出し、権益の51%を得る。
プレスリリース:オーストラリア連邦西豪州でリチウムの共同探鉱契約を締結 : ニュースリリース | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
一方、英王室属領のマン島を本拠とする金属採掘企業であるライフゾーン・メタルズ(Lifezone Metals)は自社ホームページ上で、「東アフリカ・タンザニアで開発を手掛けるカバンカ鉱山でのニッケル採掘事業を巡り、JOGMECから支援を受けることで覚書を交わした」と発表した。生産したニッケルはバッテリー材料向けに日本に供給する。覚書は拘束を持たず、支援額は明かされていない。
プレスリリース(ライフゾーン)Lifezone Metals and Japan Organization for Metals and Energy Security (JOGMEC) Sign Memorandum of Understanding - Lifezone Metals
■LNGでは豪州とイタリア、産消会議で成果
LNG方面の動きは、経済産業省と国際エネルギー機関(IEA)が10月6日に広島市で開催した「LNG産消会議2024」に伴うものだった。
JOGMECはまず、豪石油・ガス大手のウッドサイド・エナジー(Woodside Energy)と、メタンガスの排出課題の解決で協力する。メタン管理に関する日本の企業技術の紹介や、豪側との意見交換を通じ、メタン管理ニーズとシーズのマッチングを図る。両社はかねて協業関係にあった。
プレスリリース:豪州Woodside Energyとメタン排出課題解決に向けた覚書を締結 : ニュースリリース | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
また、イタリア半国有石油・ガス会社のエニ(Eni SpA)とは、ガスセキュリティ強化とLNG供給・調達の多角化に関する協力の拡大のための覚書も締結した。エニによる日本へのLNG供給機会や、モザンビークのコーラル・ノース・プロジェクトに対する日本の金融機関の支援を含む、平常時におけるガス安定供給の向上や突発的なLNGの供給途絶事態への対応を念頭に置く動き。今回の覚書をもとに、今後、両社間で対話を進める。
プレスリリース:伊Eni S.p.Aとガスセキュリティ強化及びLNG供給・調達多角化に向けた協力覚書を締結 : ニュースリリース | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
(出所:ライフゾーン以外の図表はJOGMECホームページ)
(IR Universe Kure)
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