TMEICが提案するユニークな未来技術~第17回 [国際]二次電池展【秋】~
TMEICブースでは、系統・太陽光・風力発電に対応する大規模蓄電システムの提案や、新たなエネルギーマ ネージメントシステム「TMAurora」およびパワーコンディショナ(PV-PCS)新機種の展示など、エネルギーソリュー ション分野におけるTMEICの取り組みを紹介されていた。
TMEICとは
公式ホームページより
TMEICは、2003年10月に設立された企業で、株式会社東芝と三菱電機株式会社の製造業向け電気設備事業、大型モータの製造部門、およびティーエムエイエレクトリック株式会社と東芝GEオートメーションズ株式会社の各事業部門を統合したことにより誕生した。豊富な経験と技術を基盤とし、製造業における電気設備のリーダーとして、常に未来を見据え、絶え間ない成長を続けている。
本展示で特に興味深かった2つの開発中のプロジェクトを紹介していく
重力蓄電
公式ホームページより
重力蓄電は、位置エネルギーと電力エネルギーの相互変換を利用した蓄電技術である。重い物体を高所に持ち上げることでエネルギーを蓄え、必要なときにその物体を落下させて発電する仕組みとなっている。地形条件に応じて設置可能で、狭いスペースでも活用できる点が特長である。既存の廃坑や山間部などを利用すれば、コストを抑えつつ蓄電量を増加させることも可能で、安定した電力供給に貢献できる。
例えば、重量物10tを100m持ち上げると、理論的には2.7kWhのエネルギーを貯めることが可能だ。
微生物電池
微生物電池は、微生物が有機物を分解する際に生成される電子を用いて発電するシステムであり、同時に水質浄化も行える技術である。
具体的には、電極上に生息する「発電菌」が有機物を分解し、その過程で放出される電子をアノード(負極)に送ることで電流を生み出す。従来の活性汚泥法に比べて「ばっ気」工程が不要で、エネルギー消費を抑えつつ廃水を浄化することが可能である。
公式ホームページより
また、廃水処理や災害時の電力供給など幅広い用途が期待されている。TMEICは制御技術と連携し、効率的な微生物電池システムの早期実用化を目指している。
TMEICの微生物電池と重力蓄電の技術は、異なる手法でありながらも、持続可能なエネルギー供給のための革新を目指している点で共通している。微生物電池は廃水の浄化と発電を同時に行い、環境保護とエネルギー供給の両立を可能にする一方、重力蓄電は高度差を利用し、効率的にエネルギーを蓄える仕組みを備えている。両技術が社会に浸透すれば、将来的にエネルギー問題への大きな解決策となる可能性を秘めていると感じた。
(IRuniverse Imahoko)
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